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   5 王都への旅

自分の考えた力が他者に通用するか

出発の日の早朝門の手前の広場に行くと既に冒険者らしい人影があった、近づいていくと

「アローさんですね」

そう声をかけられたが冒険者にしては優しそうな声だった

「はい、アローですが」

「ご一緒する天空の翼のリーダーをしていますケリーです」

大先輩だろうに威張ったり威嚇する気配はない

「よろしくお願いします」

「こちらこそ、メンバーを紹介しましょう」

そう言って少し離れた所にいる一団の傍に行くと

「こいつが盾役のワイズで、双剣使いのサモン、弓のサリー、僧侶のめい、俺はロングソードが武器だ」

「アローです、剣と魔法を少々、よろしくお願いします」

「魔法って何を」

ワイズさんに聞かれ本当の事は言えないから、無難なところで

「風魔法を初級の入り口くらい、無いも同じようなもので使うのはほとんど剣と体術で処理してます」

「そうなのか、まぁ平民が強い魔法を覚えるのは難しいからな、魔法は貴族のか大商人の子供じゃなきゃ無理だ」

そんな話をしていると蹄と馬車の車輪の音が近づいて来た

「来たな」

見ると馬車が三台連なって近付いて来る

「三台も」

「護衛は初めてらしいな」

「ええ、もともと護衛何てやるつもりは無いんです、ギルド長がどうでもと言うので受けたんですが」

「そうなんだ、じゃあ分からないよな、一台はお嬢様で護衛の俺達が前と後ろに一台ずつ、お嬢様の馬車を守る形で分かれて乗るのさ」

「へえ~、そうなんだ、知らなかった、そんなに王都までの旅って危険なの」

「ああ、魔物は毎日出るだろうな、運が悪いと野盗に襲われる」

「野盗って何十人でしょうこの人数で大丈夫なの」

「野党は数を頼んで襲って来るけど、食うに困った百姓や行商人が集団を作っているだけなんだ、腕の立つ者は少ないので俺達は戦闘に慣れてた者にはかなわない、相当大きな集団でなければ何とかなる」

「何だか王都の行くって思っていたより危険な旅なんですね」

「貴族が指名するくらいだから、アローさんは腕が立つという事だよな」

サモンと紹介された人が言ったが

「いや、俺はそれ程じゃないですよ、何で指名されたか分からない」

「ご謙遜を、期待しているよ」

馬車が止まってあの時のお嬢様が下りて来た、相変わらず美しいという一語につきる美しさだ、もし平民の女の子でこんな美しさの人がいたら、俺はものも言えないくらい上がってしまうだろうが、相手は貴族で俺とは違う世界の人と思えば何ともなかった、ケリーさんが近づいて行き何か話していたが、話が終わったと思ったらお嬢様が俺の傍に来ると

「無理を言って悪かったわね」

そう言ったが、悪いと思うなんて貴族らしくないなとは思ったが

「本当に悪いぞ、迷惑な話だ」

そんな事を言ってしまった、すると一緒について来ていた護衛騎士が

「伯爵家のお嬢様に何と言う無礼な、平民の分際で」

そう言って俺を叱責して来た、するとお嬢様が

「黙りなさい、無理やり頼んだのは私なのです」

「はっ」

騎士は素直に下がって姿勢を正したが思わず

「これだから嫌なんだよ」

そう呟くと

「ごめんなさい、今後は気を付けるようによく言って置きますから、気分を害さずよろしくお願いします」

そう言って頭を下げたので俺は驚いて固まってしまった、貴族でもこんな人がいるんだと驚き貴族への見方を変えなければとその時思った

「わ、分かりました、全力を尽くします」

「よろしくお願いしますね」

そういって馬車に戻って行った

「あんた、凄いじゃない、貴族が平民に頭を下げるなんて、初めて見たわ」

サリーさんにそう言われ

「俺も驚いた、貴族にあんな人もいるんだね」

「貴族だって人間だもの、お高く止まった奴ばかりじゃないわよ、良い人だっているわよ凄く少ないけどね」

その後、前後の馬車に三人づつ分かれて乗り王都の向けて出発した

一日二日と狼の魔物が出るが簡単に倒す事が出来て順調だったが、三日目の昼頃道の前方に森が見え始めた場所を走っていると、森影から集団が現れた

「拙い野盗団だぞ」

まだはるか先で人が点のように見えるが、ケリーさん達経験者には分るらしい

「止まれ~」

馬車を止めると

「野盗の一団が襲ってきます、馬車から出ないでください」

そう声をかけて迎えうつ体制を取っていたが、近づいて来る一団を見てケリーさんが

「拙い、これは終わった、こんな所で彼奴に会うとは」

人数は三十人くらい五人ほどが馬に乗っているが後は走って来ている、今の処は一団となっているが近くに来たら囲んで来るだろうが、何が拙いのかわからなかった

「あの魔法師の恰好は暴風のゴロワが率いる風鬼団だ」

先頭を馬で走る魔法使いの服装の男が目についた

「あの先頭が暴風のゴロワと言ってあの一団の頭だ、風魔術で相手を殲滅してしまう情け容赦のない野盗団だ」

「そんなに凄い魔法使いなの」

「国軍の中隊が全滅下と言う話だ、今迄彼奴に襲われて生きている者はいないらしい、噂だがな、そんな凄い魔法を防ぐ事が出来るものはいないし、どう考えても勝ち目はないこれで俺達は終わりだ、あんたも運が無かったな、お嬢様には申し訳ないが観念してもらうしかない」

完全に諦めている

「俺はお嬢様に事実を告げに行ってくる、奴らにつかまれば慰み者になるだけだからな、その前にあいつの暴風で死ぬ過疎の方がお嬢様の為だな、此処襲って来るなら力の限り戦う事も出来るが、暴風の魔法では防ぎようがない」

他の仲間もあきらめの表情で無言だ、嘆きの言葉を聴きながら近づく一団を見ていると、先頭の魔法師のからだから魔方陣が出現した、俺の風魔法と全く同じ魔方陣だった、咄嗟に魔方陣の核を狙い光魔法を放つと見事に消滅した、俺の光魔法は目標の場所で出現し小さな範囲だが破壊する絶対に外れる事は無い、そして俺の風魔法を強めにして意識して野盗団にお見舞いした、ゴロワと言う魔法師は自分の魔方陣が消滅した事に気付いていない

「行け」

呟いたのが見えたがこっちは何事もなく、野盗の一団の方で突然暴風が吹き荒れ野盗達を巻き込んだ、暴風派は暫くして消えたが後には一面に死体が転がっていた

「上手く行った」

心の中で叫んだが皆呆然とそれを見ていたが

「何があった、どうなって居る」

辺りが静まり返っている中、ケリーさんの呟きは良く聞こえた

「暴風のゴロワ、自分達に暴風の魔法を」

「自分の術に溺れたって事か」

「こんな事ってありなのか」

「ありも何も現実に怒ったじゃないか、運が良かった、助かったんだ」

「良かった、もう終わりだと思たが神様が助けてくれたんだな」

野盗達の死体が転がる場所にに近づいて息のある者がいないか調べたが全員死んでいた

「ゴロワの顔を見て見ろ、損じられない驚いたという顔で死んでいる」

「自分の魔法で死ぬなんて思わなかったんだろうな」

皆助かった事に興奮していたが、俺は

「全員が即死なんてやり過ぎたかな」

そう思ったが他人の魔法陣を消滅出来た事に満足していた、今迄何百人も殺して来たであろう野盗達を殺した事に少しも心が痛む事は無かった

「アローは嫌に落ち着いているな、野盗が現れても平然としていたが、あんたの仕業とか言わないよな」

ドキッとしたが

「冗談でしょう、俺にそんな力があるはずないでしょう」

「ハハハ、冗談だよ、出来る訳がない事は分かっていると、しかし奇跡が起こったような、兎に角助かったよ」

「こんな事考えられないわね、あの悪名高い暴風のゴロワでしょう、国軍も滅ぼしたと言う」

何時の間にかお嬢様リリアが傍に来ていた、この悲惨な場でも顔色一つ買えていない

「よくご存じで」

ケリーさんが言うと

「有名だもの、旅の為の下調べで知ったけど、出会ったら運の尽き生きては帰れないってあったわ、それがどういう事なのかしら、その盗賊は全滅して貴方達は無傷」

「どうもゴロワの奴自分の魔法で自滅したようなのです」

「そんな事があるの」

「いえ、聞いた事も無いのですが、現にこうして起きているので信じるしかありません」

「そう、不思議ね」

そう言いながら俺の顔を見た、俺を疑っている眼だが俺は知らんふりをしていた、言い訳をすればボロが出そうだから無視するしかない

「自滅でも何でも、ゴロワが死んだと分かれば皆が喜ぶ、国から報奨も期待できるところだが、自滅したのはどうなるんだ俺達の手柄になるのか」

「そんなの分からんが、ゴロワが死んだのを確認できるだけでも報奨ものだろう」

「そうだよな」

ゴロワの首だけ証拠として持って行く事になり、次の街に向い出発した



味方は無傷で相手は全滅、めでたしめでたし

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