たこ焼きのタコ抜き
たこ焼きが目の前にある
美味しそうだし
好きだ
でも私はタコを食べるのに躊躇う
アレルギーがあるわけじゃない
禁じられてるわけじゃない
ただ単に嫌いだから
たこ焼きは好きだ
タコは嫌いだ
たこ焼きを食べるにはタコを食べないといけない
昔はタコを抜いて食べていた
誰かにあげて
私はまわりだけ食べた
たこ焼きが食べたい気持ちに負けて口にする
やっぱり美味しくて
タコは美味しくなかった
噛みたくないのに
噛んで飲み込んだ
食べれるようになったのではない
我慢しているだけ
大人になったのではない
めんどくさくなっただけ
ハンバーガーのピクルスとか
ピーマンの肉詰めのピーマンとか
昔は除いて食べていた
でも もうやめた
食べれるようになったのではない
食べたのだ
これは成長なのか
怠惰なのか
人は変われるものではない
変わらないけど 変わって見えるだけ
新しいことが増えていくだけで
違って見えるだけ
変わらない
違って見えるなら
それは見えていなかっただけ
気づいていなかったのだ
飲食店でバイトしてた頃に
ほうれん草とキノコのパスタの
ほうれん草とキノコの抜きを頼んだ人がいた
その時は意味が分からなかったけど
今 たこ焼きを食べて気づいた
私もだと
出来事は変わらないのに
見え方が変わる
印象が反転する
たこ焼きのタコ抜きが好き
たこ焼きの具でタコ抜きではダメなんだ
きっとあの人も
ほうれん草とキノコ抜きのパスタがいいのだ
あぁやっぱりタコは嫌いだなって
口から出して ゴミ箱に捨てた
ありがとうございました!