世界の最後
先ほど予感で見たいつかの記憶……。
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功国支部には明国の神官が訪ねてきていた。
「これはこれは……ようこそお越しくださいました。権威あるお二人様に出会えて光栄です」
「悪を放ってはおけないので」
白い輝く衣装に空色のバッジを身に着けている、水色の髪の青年は言った。
「そう、黒いものには粛清ですよ」
白い輝く衣装にサクラ色のバッジを身に着けている、ピンク髪の少女は言った。
「素質に更に磨きがかかりましたね」
「わかります?ゾルさんのその能力は唯一無二の宝ですね」
「ええ、素質が輝いて見えていますよ」
◇
「それで早速本題なのですが、奴らのアジトは判明しています。
ここから北の商業都市カノンの近くのこのあたりにあります。どうかご武運を」
「……情報があるなら楽じゃないですか?」
「そうですね。実に簡単な仕事です。サラ、例の能力は問題なく使えそうですか?」
「大丈夫。問題ないですよ」
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そして今まで起きてきた事をよく考えてみれば……どう考えても不自然な流れ。
やはり協会の大神官はとんでもない人物のようだな。
これは俺の怒りもより増幅しそうだ……。
「じゃあ……行ってきます」
クロアは虹色に輝いている大きな扉をこじ開けた。
◇
「ようこそ、クロア君……。私が大神官でびっくりしたかな?」
「あの、もう別にわかってたんで、そういうのいいですよ」
「そうかい?いや、あの時、あの場所で見つけてからね。
これは実に良い逸材だなと思ってね」
「そうですか……」
「で?今更ここに来て何をしようというのだね?」
「一応、話してみます?」
「私は構わないよ?」
「とりあえず……。引く気はあるんですか?」
「ないよ」
「そうですか。どうやら協会を信じている人達はかなり減らされたようですが?
それでも?」
「そうかい、それでも協会のこの体制を変えるわけにはいかないよ。
朝の運勢は強制的に聞かされるし、所持能力は他言無用。
運勢が悪いものには強制的に白☆チェンジを掛ける。
これで平和が保たれている。
この世界の確立したルールになっているのだからね」
「そうですか……体制を変える気は全くないということですね」
「……もうそんなことはいいから早速やってみようじゃないか、
どちらの能力が勝つか。ワクワクするだろう?」
◇
「まだ俺の話は終わってはいませんが」
「……知っているだろう?
君の黒☆黒い炎の能力は白☆チェンジで打ち消すことができるんだ」
「そうらしいですね」
「君の力はどれほどのものなのか、私に試してみたくはないか?」
「白と黒の能力は人の感情に……。喜怒哀楽に対応してるらしいじゃないですか?」
「そうだね?」
「白☆チェンジが対応しているのは……。確か嬉しい感情か……。
今、その気持ちがあるんですか?」
「もちろんあるとも。ここ最近では今が一番嬉しい時間であるんだよ。
こういう状況もね、実に嬉しいんだ」
「なるほど……。
俺にここでこの能力を使わせることも、全ては初めから仕組んでいたって事ですよね?」
あの時も……。あの時も、か……。
「そうだよ……?私の素晴らしい能力で感じ取ったんだ。この未来をね」
「誘導するのがうまいですね……。
これで俺の怒りを募らせて、世界諸共ぶっ壊したいってことですか」
「うん、そうだよ」
「どうしてそういう思想になってしまったんでしょうね……」
「はは、君にはわからないだろうから言っても意味はないよ」
「……でも、正直なところ俺はどっちでもいいんですよ」
「そうなんだ?」
「この世界がどうなろうが別に……。どちらにしろ、もう帰るのでね」
「そっかあ」
「でも、その挑発に乗ってしまうのもね、負けな気がしてるんです」
「そうだね、どちらにしても君は勝つことができないんだよ。
このまま逃げて帰っても君の負け。
私の挑発に負けて、怒りの感情でこの世界を滅ぼしても結果的には君は負け。
どっちにしても負けなんだよねえ」
「本当にその二択しかないと思っているんですか?」
「それ以外に何があるというんだ?」
「……こういうことですよ」
◇
二人は目を合わせると、一瞬の内に同時に能力を発動した。
クロアの拳から黒い炎がまるで獣のようにうなり、大神官に向かう。
そのまま黒い炎は真っ直ぐに大神官に向かっていく。
大神官はチェンジの能力で体全体に白いオーラを纏い、黒い炎の能力を無効化する。
二つの光はその後しばらく……その均衡を保っていた。
だが、クロアの怒りの感情が徐々に能力に反映されていく。
クロアは過去の自分の怒りの感情を頭に思い描いていき、黒い炎の力を増大させていく。
時間が経つほど、思いだせば思い出すほど、黒い炎の光は増幅していった。
クロアの怒りの力は衰えを知らず、やがて大神官の白いオーラをかき消した……。
そして黒い炎はその広がりを止めずに、辺り一面に溢れて出ていき……。
明国の中心にある五つの柱は、瞬く間に黒く燃え広がっていった。
その柱から炎はさらに増大していき……。
巨大な黒い花火のようになって、世界中へと降り注いでいった。
そろそろ感情を抑えなくては……。怒りの反対の感情ってなんだっけ?
わかんないけど、とにかく別のことを考えなくては……。
止められない……。
このままじゃ世界が……。大神官の思う壺だ……。




