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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第八章 明国編
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トルシュの街


「……明国の街に着いたわね」


「早かったですね。ここに来るまで、とてもスムーズでした」


 これが組織の力というものなのか。


 それにしてもここは独特の雰囲気があるな。占い師らしき人が街中に溶け込んでいるし。

 トルシュの街……か。功国や風国とは明らかに違うな、何かが。

 何というか……ここには占いの力が満ち溢れてるというか……。


「……そこの豪華な馬車、一体どこから来た?」


 一人の黄色いローブを着た男が話しかけてきた。

 この街の見回りをしている占い師だろうか?


「……私よ」

 小声で仮面の人物は言った。


「……?」


「これを見て頂戴」

 仮面の人物は小声でそう言うと、男にあるものを見せた。


 あれは何だろう……?輝くバッジみたいに見えるが……?


「失礼致しました……」


「……見回りは大丈夫だった?」


「はい、あれから特に気になる人物は目撃されておらず」


「そう。ほら、これを取っておきなさい。

また何か少しでも異変があったら連絡するのよ」


「わかりました、ボス」


 あれは……。相当高価そうな宝石だな……。

 あんなに軽々しく部下に渡せるなんて、太っ腹な姉貴ですね。

 下に付きたくなるのもわかりますわ。


 そう言うと黄色いローブを着た男は、見回りに戻っていった。


「あの人は組織の仲間ですね?

……もしかして、さっき見せたものは、それがボスの証明になるんですか?」


「そうよ。仮面を被っていると、誰だかわからないでしょ?これが証のアイテム。

そしてここに描かれている黒いウサギのマークは組織のマークなの。覚えておくことね」

 仮面の人物は黒く輝くブローチを見せながら言った。


「……わかりました」



「街に着いたし……。じゃあこれから数日間は別行動をしましょう」


「え?もうお別れですか?」


「大神官に攻め込むには、それ相応の準備がいるの。

その為には水面下でたくさんやるべきことがある。

アイテムの調達。黒い扉の設置。味方の占い師の招集。その他諸々ね。

もし本当に協力してくれるつもりなら、数日後に組織の人間を使ってこちらから呼ぶわ」


 黒い扉って、あのアジトにあった運気を下げるやつか……?


「わかりました……。

それで、あの……エルクさんに会ってあげることは可能なんですか?」


「……向こうから来るならまだしも、なんで私から?

私を想っているんなら、あちらから来るはずでしょう?」


「まあ、確かにそうですね……」

 エルクさん……。ボスを探すために俺を呼んだんだから、

 すぐにここに来るべきだろうに、何をやっているんだ。


「……やっぱりまだまだ占いの力が足りないようね。

そうね、誰がいいかしら……。今度腕の良い神官をあなたに紹介するわ。

とにかくもっと占い力を高めるのよ?」


「わかりました。けど……まさか組織は神官とも裏で繋がっているんですか?」


「そりゃあ一部の神官とは良い関係を結んでいるわ。

特にこの明国に関しては数十人はいるわね。

でなければとても、大神官に歯向かうなんてことはできないもの」


「御見逸れしました……」


「じゃあここで一旦別れるけど……。良い?

この数日間その占い力をどうにかして……。そうね……占い力15000が目安よ。

そこまで自分の占い力を高め上げること。良い?

もちろん嫌になったら、別に帰ってもらってもいいのよ?」


「何とか頑張ってみます。だめだと思ったら実家に帰らせてもらいます」


「もしも急用がある時は裏から組織の者を回すわ。それじゃあ頑張るのよ」


 そして仮面の人物は早々に馬車から降り、去っていった。



 馬車から降りたクロアは、街中で一人考えていた。


「……はあ、占いの力を高めろと言われてもなあ。

どうしよう……?やっぱり帰ろうかな。でもビアさんの居場所はわからないし……」


 エルクさん、ビアさん、シロンさん、ミアちゃん。

 四人はあれからどこに行ったんだろう。これまで何の連絡もなかったし。

 ……でも向こうも俺の居場所がわからないと思うから、無理もないか。

 今、明国に誰かがいるのなら会うのも手だけど……。


 ビアさんに会えれば……。元の世界に帰れるし、約束していた占いの書上級を貰える。

 エルクさんに会えれば……。色々と有益な話が聞けるだろうし、ボスに会わせられる。

 シロンさんに会えれば……。何かと俺の力になってくれるだろう。

 ミアちゃんに会えれば……。能力で俺のこれからの運命を聞けるのに……。


 みんなに聞きたいことはたくさんあるのに……。


 探す方法はたくさんある。

 神官の権力を使い、この辺りの占い師に聞くとか……。

 俺の能力の刹那で、何とか誰かの運命を変更してここに呼び寄せるとか……。


 それとも情報屋に裏からの情報を聞くか?

 こういう時は組織に入っておけば良かったと思うけど……。

 ……今更風国に戻って青の兄妹に聞く訳にもいかないしな。


 俺には人探しができる能力は無いしな……。

 いや……待て。あの能力があったか。


 クロアはグレー☆予感の能力を発動した。


 ……頭にいつかの映像が浮かんでくる。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「そうですね、どこにいるかがわかる、というよりも……。

いつどこで出会える運命か、ということならわかると思いますよ」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 これは確か……ミルさんと初めて出会った時の記憶だな。


 どういうことだろう……?赤占い師に聞けば良いということなのかな。

 少なくともちょっとしたヒントになっている事は間違いない。


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