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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第七章 青い世界編
78/111

秘密を知っちゃったのに、今まで通りでいられるのかな

「……さっき、私に何を願ったの?」


「あ、わかりました?」


「余計なことしないで」


「すいません」

 良い案だと思ったんだけど、ガードの能力が発動したのか?


「ガードの能力はね、あなただけが使える能力じゃないの。

上級の占い師なら皆持っている可能性がある。覚えておきなさい」


 ……まさか俺の思考まで読めるんじゃないよな?



「……あの、そういえばその格好で外で行動していたら怪しまれないんですか?」


「そりゃあ着替えるわよ、目立たずも私が誰だかわからないような格好にね」


「でも、さすがに国境を越える時には怪しまれませんか?」


「組織の力を甘く見ているの?そんなもの裏からお金を回せばすぐよ」


「……そうですか。組織はそんなにも力を持っていたのですか?」


「そうよ?表の世界の人間には想像し難いだろうけど……。

いまや裏の世界は確実に組織が握っている。それこそ協会と一対一ぐらいの力の差よ」


「それは初耳でした。……組織にそこまでの勢力があったとは。

なんだか思っていたより、組織のスケールが大きくてびっくりしました」


「だからね、組織を頼りなさい?大抵の事は何とかなるから。

でもね、時と場合によっては神官の力も必要かもしれない。

たとえ敵でも……。表の力もうまく使ってこそなのよ?」


「なるほど」


「じゃあ、もたもたしていないで早く行動して」


「……はい?」


「着替えるから別の部屋で待っていて。絶対に覗いちゃだめよ?」


「あっ、はい」


 そう言われると見たくなるな。

 ……ボスの素顔が。やっぱりビアさんに似ているのかなあ?


「……間違えたわ、もう出かける準備はできているのでしょう?外で待っていて」


「はぁ……」



 家の外で待っていたクロアは、一人考えていた。


 確かにあんな話を聞いてしまった手前、じゃあさよなら、とは言えなくなってくるな。

 このまま行動を共にしてもっと事情を知ったりしたら、なかなか帰れなくなるかも。

 運命は流れに乗ったら中々変えられないとは、こういうことか。


 数分後、仮面の人物は先ほどとは違う仮面、違う洋服を身に着けて外に出てきた。


「待たせたわね、じゃあ行くわよ。近くに私専用の馬車を待たせてあるの」


「何だか、あんまり変わっていませんね?さっきよりも派手にはなった感じですけど」


「仮面を外すのは……やめたわ。だってあなたに私が認識されるのはまだ怖いもの」


「そうですか……」

 どうやら俺はまだ警戒されているらしい。



「……それにしても豪華な馬車ですね、中も広いし」


「ここに入っていれば、誰にも怪しまれることはないわ」


「外から遮断されてますもんね」


「すぐに着くと思うけれど……。少しだけこれから行く明国のことを教えておきましょうか?」


「じゃあ、お願いします」


 クロアはそれから馬車の中で、仮面の人物の話を聞いた。

 明国には占い師がとても多くいて、神官もこの世界で一番多くいること。

 白の神官が多くいて、占い師の中でも階級制度があること。

 特に神官の順位による影響力は凄まじく、トップ3の神官は神のように崇められていること。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「……ねえ、昨日のこと覚えてる?」


「はい……。いまだに夢かと思っています」


「私があの能力を使わなかったら、きっと気付かれてた」


「そう……ですね」


「これからどうする?」


「……」


「でも私はアイさんが悪者とは思えない」


「そうですよね。アイ先輩は……。きっと何か事情があったんですよ。

だから、今まで通り接しましょう。何もなかったということで。

そのほうがお互いのためにも良いと思います」


「でも私たち……。秘密を知っちゃったのに、今まで通りでいられるのかな」


「それは…………。

結局会えなかったので、あの事も聞けませんでしたね」


「……あの二人はどういう関係で、何故あんなものがあの場所にあったのか。

これは調査する必要があるかもしれない」


「やっぱり、神官様に一言言っておいた方が良いんじゃないですかね?」


「エミールは真面目過ぎるよ。それじゃあ事の真相はわからないよ?

自分の手で探さなきゃ」


「……それなら良い考えがあります。僕の知り合いにシーフの方がいるんです。

アイ先輩の調査を依頼しましょう」


「それは良いかもね、でも私たちも調査に参加しなきゃだめだよ?

人に頼ってばかりじゃ」


「やっぱりレナーテちゃん……。あの時から何かが変わってますね」

 エミールは小さな声で呟いた。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


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