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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第七章 青い世界編
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学校に通っている時に告白されたの

 朝、ロルドの家に仮面の人物はやってきていた。

 二人は以前に話した時のように話し合っていた。


「……どうしてついて来ることにしたの?もう帰って良いといったはずでしょう?」


「そうですね、昨日いろいろ考えて……。結局この結論に至りました」


「そう……。別に自分からそういうのなら止めはしないけど」


「ところで、まさかこの展開も未来予知で見えていたんですか?」


 ……俺はこれが結構気になっていたんだ。


「……いいえ、この状況は見えてないわよ。

そもそもあなたの未来を見ても、コロコロ変わってしまうし。

でも見て欲しいなら、今見てあげることも可能よ?」


「そうですか……。見てもらうのはいいです。どうせ変わるのであれば」


「……あなたはどちらかといえば考えはこちらよりだと思うけど、まだ組織に入るつもりはないの?」


「いや、俺はたぶんいつまでも中立派ですよ」

 何かに縛られたくはないしな。


「そうなの……。聞いていると思うけど私は、これから明国に行くわ。

それで打倒大神官の準備を進める……。

本当に私についてくるつもりはある?そしてそれは自分の意志?」


「いいや、帰りたくなったらいつでも帰るつもりですよ。逆にそれでもいいですか?」


「……それがあなたの選択ならば。

でもきっと、ついてきたら簡単には帰られなくなる。

運命は、流れに乗ったらなかなか変えられないものなの。

知っているでしょう?それでもいいの?」


「でもビアさんに会えば、俺はすぐにでも帰れるんでしょう?

そしてビアさんの居場所は、裏の情報網の力を使えばすぐにわかるはずですよね?」


「そうね。裏の情報網が使えれば、の話だけど」


「怖いこと言わないでくださいよ。

組織が俺が帰られるように、ビアさんの居場所を把握しておいてください」


「それは、あなたが組織に入るなら考えてあげてもいいわよ?」


「……だから、組織には入りませんって」

 この人も頑固。俺も頑固。


「じゃあ後で何が起きても自分の責任。そうでしょ?」


「そうですね……わかりましたよ」

 これじゃあ他の人の行方も、教えてはくれなさそうだな……。


「……ところでエルクさんとは、過去に何があったんですか?

それを聞きたかったのもあって、俺はここで待っていたんですよ」


「……」

 仮面の人物は俯いて、沈黙した。


「あれ……どうしたんですか?」

 俺、気に障ること言っちゃったかな?

 でも今ここで聞いておかないと……。何だか昨日から無性に気になっているし。


「……あのね、結構失礼なことを聞いているのよ?自覚はある?」


「すいません。でもエルクさんは今でも探しているようでしたよ。

事情は分かりませんが、俺はそのために呼ばれたんですから」


「本当にエルクがそんなことを?」


「はい、知っていたんじゃないんですか?

俺が呼ばれたのはあなたを探すためなんです。だから聞く権利はあるんじゃないですか?」


「……少し昔話を聞いてくれる?」


「はい……」



 仮面の人物は暫しの沈黙の後、ゆっくりと話し始めた。


「……エルクに、学校に通っている時に告白されたの」


「そうだったんですか……」

 エルクさん、勇気あるな。


「いや、言い方が悪かったわね……。それを見てしまったの」


「え……?告白されたのでは?」


「いいえ。それを見たの」


「未来予知の能力で?」


「そうよ。それでね……。そのことをね……私は、仲の良い親友に言ってしまったの」


 それね……。告白されたのを仲良い親友に言っちゃうパターンね。

 それだめだよ。それ絶対友達黙ってないやつだよ。


「そしたらね……。協会に私の能力のことがばれて……」


 うん、やっぱりね。協会も協会だけど。


「っ……。だから協会にひどい仕打ちをされた。

……それからよ、この組織を立ち上げようと思ったのは」

 仮面の人物は今にも泣きそうな声で言った。


「……何だかすいませんね。過去の話をほじくり返してしまって」


 これは思った以上に闇が深い。


「エルクは別に何も悪いことはしていないの。私のせい……。いや、協会のせいよ。

規則のせいよ、大神官のせいよ。協会は本当にクソみたいな組織よ」


 うーん、これは誰が悪いんだろうな?……しかしその暴言はまずくないですか?


「とりあえず、お、落ち着いてください」


 仮面をつけていても……。中の表情が何だか想像できる……。

 この人やっぱりビアさんに似ている……。


「とにかくそういうことなの……。わかった?」


「はい……」



 ボスが協会を憎む理由がよく分かった。この間の話と照らし合わせるとさらに。

 それにボスはエルクさんの手記を持っていた。

 ということは別に嫌っているわけじゃないんだろう。


 むしろどう対応していいのか、悩んでいる可能性まである。


 ……これはちょっとした出来事から、今や組織を作って反抗するまでに大きな出来事になったんだな。

 こんなことが発端で呼ばれた俺はいい迷惑だが。


 でもそれって、この世界で言えば運が悪くなったということか?

 未来予知が使えるまでに占い力を持っていたのに、そんなことが起きるんだろうか?

 まさか誰かが陥れたとか……?

 いや、運が良ければそんなことが起きることもないはずだ。

 うーん…………。謎だな。


 ……しかし話を聞いたら、より二人を会わせてみたくなったな。

 どうやら俺もリンさんみたいに、すっきりして気分良く帰りたいらしい。


 だからそうさせるように動くのが、今俺ができることだ。

 ……そうだ、能力を使ってみよう。

 しかし、なんて念じればいいんだ……?普通に実現可能な事を念じてみるか。

 これなら複数人の運命は絡み合っていないはずだ。


 エルクさんと仮面の人物は、数日以内に必ず出会う。

 エルクさんと仮面の人物は、数日以内に必ず出会う。


 クロアはできる限り念じて、赤☆刹那の能力を発動した。


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