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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第七章 青い世界編
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青いお姉さんの告白

 青い鳥作戦は事前準備のお陰もあり滞りなく進行した。

 警備の占い師に気付かれる事もなく、作戦は終息を迎えようとしていた。


「偵察も終わり、運命の変更も完了した。

予定通りに事は進んだようだな。あとは物を探す能力で目的のものを頂くだけか」


「……いざやるとなると、何だか気が引けるなあ」


「ここから先はもう俺たちだけで十分だ。君の赤と緑の能力は、とても役に立ったよ。

……妹が砦の入り口付近で待機しているはずだ。

そこに向かい作戦の終了を伝え、一足先に家に帰っていてくれ」


「わかりました」


 クロアは砦の入り口へと来た道を戻った。



「……あ、リンさん?どうやら作戦は終わりみたいです」


 覆面を被っているから、誰が誰だかわからないな。


「じゃあ無事に青い鳥の像は借りられたんだね?」


「たぶんそうじゃないかと……。先に家に帰って待っていてくれと」


「わかったよ、じゃあ……元の青い服に着替えなきゃだね」


「……もうこの格好は二度としたくないな」


 そして二人は人目に付かないところで、青い服に着替えた。



 二人はロルドの家に戻ってきて、一息ついていた。


 ……これでようやく終わりか。

 ボスとの約束も果たしたし、あとはビアさんに会って元の世界に帰るだけだ。


「……あのね、なんだか恥ずかしかったんだけどさ」


「どうしました?」


「言いたいことがあるんだ」


「え?今ですか?」


「逆に今じゃなきゃダメなんだよ。……私、あのね……」


 そこでリンは言葉に詰まった。


 一瞬の静寂の時間が、場の空気を緩やかにした。


「……言葉に詰まるなんて、何だかいつものリンさんらしくないですね」


「今無性に話したくなっちゃってね。私がミスティックの一員になった理由。

……もしかしたらこれでクロアは帰ってしまうかもしれないでしょ?」


「じゃあ聞きましょうか……」


「……話が終わるまでさ、黙って聞いていてくれる?」


「できるだけ努力します」




 リンは真剣な表情で話始めた。


「……あのさ、その……。私も呼ばれたんだよね」


「……えっ、まさかリンさんも日本から?」


「ちょっと、早速びっくりしちゃってるじゃん?」


「いや、それはビックリしちゃうでしょ」


「少し静かに聞いていてよ……。それで……組織に手を貸してくれって言われてね」


「……まさか。ロルドさんに?」


 いやロルドさん、それはさすがに……。

 妹が欲しいからって、勝手に呼び出して妹にしちゃうのは……。


「……いやいや、さすがにそれはないよ。妹にされたのは……違いないけどさ。

今は正体を怪しまれないために、仮に妹としているだけであってね」


 ここに一緒に住んでいる流れを考えたら、普通に勘違いしますけどね……?


「……え、じゃあ誰に呼び出されたんですか?」


「誰だと思う?」


「ロルドさんじゃないとすると……。まさか仮面のあの人?」


「……そうなんだ、それで組織のために手を貸してほしいって。

でもね私は最初、元の世界に返してほしいって頼んだんだよ。私は、戻りたかったんだよ」


 まあ普通はそうなるよね。


「でもそれから、いろいろ話を聞いて状況を十分に理解してさ……。

ちゃんと願いを叶えてあげるまで、ここにいようって思ったの。せっかく私を呼んでくれたからさ。

……それが私がミスティックの一員になった理由かな」


「なるほど……」


「それでね、ボスが教えてくれたの」


「何を?」


「人を異世界から呼んだ人はね、必ず何らかの理由を持ってるんだって。

その強い願いに同調したから呼ばれるんだって。

呼ばれる人は同じ境遇だったり、同じ性格だったりするらしいよ。

まだそのあたりは私はまだよくわからないんだけどね……」


「そうなんだ……?」


「クロアがここに呼ばれた理由も……。

おそらくエルクさんから聞いたんじゃないかな?」


「そういえば、言っていたような気もする」


 何だっけ……。確か結局、俺にカード勝負をさせるためだったっけ?

 いや、その目的の元になったことは……。


「それで願いを叶えてあげたらさ、なんだかすっきりするじゃん?

だから私は……。協会の体制が変わるまで、ボスの命令を聞き続けることにしているんだよ」


「そうだったんですか。……でもそれって、言うほど恥ずかしいことですか?」


「こういうこと言い出すのってさ、中々難しいでしょ?」


「まあ……」


 確かにリンさんの名前は、この世界にしっくりきていなかった。


 思えば最初に会ったあの時から……。

 俺にアイと呼ぶか、リンと呼ぶか、どちらでもいいと言ってきたのも……。

 その時点で怪しかったんだよな。この名前はやはり仮の偽名なんだろうな。


「だからね……。もちろんクロアは帰っていいよ。自由にしていいと思うけど。

呼んだ人の願いは、叶えてあげられるといいよね」


 エルクさんの願い……か。

 それはおそらくボスの居場所を知りたいことだったはずだ。

 俺はその願いを果たせたのだろうか?


 確かにあの時……。ボスの声で正体に気付いていたかもしれない。

 でも面と向かって話せてはいないだろう。

 今でも居場所はわからないのだろうし……。

 二人がちゃんと話をする事ができたら……その願いは成就するんだろうか。


 ……そもそもあの二人は、過去に何かがあったんだろうな。

 俺にはそんな、予感がする。これは……能力が発動したんじゃないと思うけど。


 これはボス本人に直接……話を聞いてみたくなったな。



 ロルドは作戦を無事に終えて、家に帰ってきた。


「ようやく任務が終わったよ。クロア君のお陰で作戦は無事に成功した。協力ありがとう」


「俺はあくまでも直接関わってませんからね。

それに組織の一員でも何でもないですから」


 果たしてこれで本当に良かったのだろうか?

 青い鳥の像……。どのくらいの力を秘めているんだろう?


「ボスは明日の朝、またこの家にやって来ることになっている。

……できるなら、君もボスと共に明国に向かってほしいんだがね?」


「そうですか……。でも俺は元の世界に帰りますよ」


「そうか」


「これで心残りだった約束も、無事に果たしたので……。

確かにこの先の組織がどうなっていくのか、行く末が気にはなりますが」


「なら、もう少し組織と行動を共にしてもいいんじゃないか?

元の世界に帰って、やりたいことでもあるのかい?」


「それは……」


「まあ好きにするといいだろう。

どちらにしろ、もう俺は一緒に行動することはできないみたいだからな」


「そうですか」


「……君の成長を近くで見守るのが俺の最近の楽しみであったのにな。とても残念だよ」


「……」

 この人、俺の事そんな風に見てたのね。



「…………」


 この風国とも明日でようやくお別れか……。

 そんなに長くなかったけど、意外と楽しかったな。

 いや待て、この世界ともお別れすることになるのか……?


「なに感傷に浸っているの?それに今日は家に泊まるだなんて?

どうやら私の話がよっぽど心に響いたみたいだね?」


「え?顔に出てました?……まあ、実際結構響きましたね」


「はあ……。なんだかいろいろと疲れたよ。

……本当はね、あの時からここで一緒に生活するつもりだったんだよ」


「あの時って、最初に会った時?」


「そう。それで私が色々教えて力をつけて、立派な私の補佐役になってさ……。

それで組織に入ってもらって、力を合わせて任務を遂行。組織に貢献してもらってさ」


「……そんな夢があったと?」


「そうだよ」


「俺がそんなことを許すと思いますか?」


「今は……全然思わないかな」


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