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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第七章 青い世界編
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青い鳥作戦

「ねえ、どうして気が変わったの?今日になって急に作戦に参加するだなんて」


「一度した約束を、破れなかったからですかね」


「なにそれ」


「……まあいいじゃないですか。

ところでどうして俺は占い師から盗人になってしまうんですかね?」


「盗るんじゃないよ借りるの。借りた後は元の場所に必ず返す。

そういう話になっているんだよ」


「……やっぱり気が乗りませんね」


「少し協力してくれるだけでいいんだからさ。悪いことではないんだよ。

協会は私たちを操ってるんだからね、喝を入れなきゃだめなんだ」


 たぶん、操ってまではいないんじゃないかな?



 ロルドは一人、部屋の片隅で作戦を考えていた。

 クロアはロルドに話しかけた。


「これは一体何ですか?色が付いた占い師の駒がありますけど」


「これは青い鳥の像がある場所の内部のマップさ。君も見てくれ」


「……砦の地下にあるんですね。サムロス砦か」


「さて、始めるとするか……君も見ていてくれ」


「何をするんです?」


「ちょっとした作戦のリハーサルさ。

このチェスのような駒を使い、こちらの勢力がどう攻めるかを決めるんだ」


「なんだか、司令塔みたいですね」


「そうだよ?俺が作戦のリーダーだからな。

……こちらの勢力は組織の占い師4人と俺たちを加えた計7人だ。

あちらの勢力は占い師が10人で警備をしているらしい」


 ロルドはそう言うと、陣地に駒を配置していった。


「数では負けていますね?」


「そりゃあそうさ、何しろ急に決まったことだからね。

でも各々の能力を適材適所で使えば、案外勝てるもんなんだよ」


「何だか、シミュレーションゲームみたいですね」


「なんだそれは?」


「いや、こっちの話です」


「……まず青占い師で相手の様子を探るんだ。こちらには俺を含め三人いる」


 青い駒は偵察ユニットか。


「状況が分かったところで赤占い師の登場だ。こちらには二人いる。

ここで青占い師が得た情報を元に、相手の運命に変更を加える」


 赤い駒は、まあ一般兵ユニットみたいなものか?


「そして警備の手薄になった場所から侵入し、黄占い師がその直観で場所を探り当てる。

青い鳥の正確な位置はわかっていない。こちらには黄色い駒は一つだ」


「なるほど……。でも黄占い師にそれが務まりますかね?」


「仲間の黄占い師には物を探しだす能力がある。それを活用するんだ」


「そんな能力が黄占い師に?この作戦にうってつけじゃないですか」


「そうだな、仲間の能力を把握していれば、作戦は自然と決まるもんだ。

……そして困った時に、君の力を借りるとしようじゃないか。

どの色の能力も使えるんだろう?」

 ロルドは白く輝く駒を置きながら言った。


「まあ……」


「……そして潜入する時にはこの覆面と、この目立たない服を君も身に着けてくれ」


 ロルドの目線の先には大量の覆面と、目立たない服が用意してあった。


「はあ……」


 今度は俺が覆面をするんだ……。逆の立場になったわけか。



「もちろん事前に準備をすることも必要だ。赤の能力で運命に干渉するんだ。

対象者は……この二人だ」


 ロルドはクロアに、似顔絵が書いてある紙を見せた。


「この二人は……」

 あの新米占い師の二人じゃないか。


「この二人は、明日の警備に出てくる予定になっている。

君はちょうど二人を知っているそうじゃないか。それなら能力をかけられるだろう?

……二人が明日警備に来なくなるように、一人一人の運命を変えてくれ。できるか?」


「……やってみます」


「そう言えばその能力では、相手の運命を一瞬の内に変えられるらしいじゃないか?」


「……俺の能力を知っていたんですか?」


「まあな。……でもこれも作戦のためなんだ。悪く思わないでくれよ」


「はあ……。仕方ない、できるかわからないけどやってみます」

 まさかとは思うけど、俺の全能力がこの人にもばれてるんじゃないよな?


 クロアは赤☆刹那の能力を発動した。


 レナーテちゃんは明日、サムロス砦の警備には来ない。

 エミール君は明日、サムロス砦の警備には来ない。


 クロアはできる限り念じて、能力を二回発動した。


 これで……いいのかな?



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



「それで何でも明日あたりにミスティックがこの辺りに攻めて来るって、

アイ先輩が言っていたんですよ」


「そうなんだ。アイさんの情報は結構的確だからね」


「いつも当たっていますからね、どこから情報を掴んでくるんでしょうか……。

でも明日は一緒に警備の任務があるじゃないですか?怖くないですか」


「そんなことよりもさ、私最近すごいことがあって」


「……何ですか?」


「クロア様のチェンジの能力を受けた後、能力が二つも身に付いたの!」


「え?それは本当ですか?」


「……誰にも言わないなら、私のとっておきの能力を教えてあげるよ」


「一体、何の能力なんですか?」


「あのね…………」

 レナーテはひそひそ声でエミールに話した。


「それは……。そんな能力見たことも聞いたこともありませんよ」


「でしょ?」


「良いなあ。やはりチェンジの能力はすごいんですね。僕にももう少し運があれば」


「……で、なんだったっけ?」


「そうだった、ミスティックのことですよ。相手は覆面を被っているらしいんですよね。

青の能力が使えないなら、警備も何もできないと思いませんか?」


「でも覆面をしていても、効く能力もあるってマルコス様が前に話していたけど」


「それは一部の能力か、もしくは力でごり押ししただけでしょう」


「そうなのかなあ?何か方法は……きっとあると思うけどな」


「……しかし、なんだか気が乗らないですよね、明日の警備」



「そういえばさ……。なんで嘘ついたのかな……」

 レナーテは俯いて、低い声で話した。


「え?急にどうしました?」


「……あの二人ってやっぱり恋人かもしれない」


「……あの二人って、アイ先輩とクロア様?どうしてそう思うんですか?」


「こないだ、二人が一緒に食事しているところをみちゃった……」


「……」


「そこでさ、今思いついたんだけど……。明日ロルドさんの家を訪ねてみない?

アイさんは今そこで一緒に住んでるらしいよ」


「でも……急に尋ねたら迷惑なのでは?」


「大丈夫だよ。アイさん、いつでも遊びにおいでって言っていたし」


「でも、明日は警備の任務が……」


「どうせ他にも占い師の警備の人はいるんだし。ちょっとぐらい遅れたってさ」


「うーん……」


「エミールは気にならないの?アイさんのこと。

明日はアイさん休みって知ってるしさ、家に直接聞きに行ってみようよ。

そしたら、本当のこと教えてくれるかもよ」


「……じゃあ、少しだけなら」


「警備の前に寄ってみようよ。

確か協会支部の近くに家があるって聞いたことがあるから」


「……何だかレナーテちゃん、チェンジを受けてから性格変わってないですか?」


「……え?何か言った?」


「いや、何でもないです」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


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