それが余計なお節介ってこと
「では最後に何故私がこんな活動を始めたか。
それはあなたが今回の青い鳥作戦に協力してくれるなら話しましょう」
「じゃあ青い鳥の像を何故奪うのかも、話してくれますか?」
「……いいでしょう。
簡単に言うと、私が協会から酷い仕打ちを受けたからよ。
……こんな話があります。これはある人が書いた手記なんだけど、見てくれる?」
そう言うと仮面の人物は、一枚の紙をクロアに見せた。
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その日も僕は先生に教わっていた。
暖かい日差しの中で。
エルク・ウィン君わかりますか?
そのバランスは均等に保たれています。
例えばお金を儲ける人と失う人がいるように……。
例えば朝と夜のようにバランスが取れていたのです。
人の運勢も良い人と悪い人がいます。
でもその範囲が広がりすぎてしまった。
そうしたらどうなるのか?
バランス良くなるにはどうすればいいか。
わかりますか?
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「これは……?」
普通に名前出ちゃってるじゃん。これエルクさんの手記じゃないの?
「この答えがわかる?」
「……この文章を普通に考えたら。
運が良い人が増えたら、バランスをとるために運が悪くなった人がその分増えることになる」
「実際そうなっていると思う?」
「……いや、そんなことはないと思いますよ。
確かに世界的に、大規模で見たらそう見えるのかもしれないけど。
例えば家族単位で見たら、幸せそうな家族はみんな運が良いかもですし」
「そうなの。つまりそういうことなの」
「……?」
「そのバランスを取ろうとするのが協会で、そんなの知らないってのが私たち」
「なるほど?」
「だから運勢が悪いものには、良くするようにチェンジの占いを掛ける」
「そうですね、さんざんやらされました」
「でもそんなのいらないじゃない?お節介じゃない?」
「いや、いるんじゃないですか?この世界では特に」
「それは望む人には良いだろうけど、望まない人には?」
「……そう言えば運勢が悪い人たちを、良い方向に影から支えてましたね」
「それが余計なお節介ってこと。それを支持しているのが私たちの組織」
◇
「それで、このお節介についてどう思った?」
「確かに望まないのに勝手に能力を掛けるのは、自分勝手ですね」
「でしょう?
……そして協会は勝手に占い師の所持能力を他人に言うことを禁止にした。
いけないことだと思わない?」
「確かに」
「……今日からクロア君も私たちの仲間ね」
「……いや、違いますけど?」
何故いきなりそうなった?
◇
「とりあえず何となくですけど、言いたいことはわかりました」
「そう……。なら良かった」
何だか不機嫌そうな声だな。
「それで、青い鳥の件は?」
「占いの力を上げるアイテムなの。
攻め込むときに必要になる。大神官に対抗するための手段よ」
「そうですか。大神官に……。今の協会の体制を……。
余計なお節介を……。これ以上させないために組織は戦うんですね」
「そういうことよ」
「やっと理解できました」
「……でもね、私は」
「……はい?」
「今すぐにでも帰っていいと思っているの」
「え?俺がですか?」
「そうよ、あなたは協会に振り回されてこちらに来たに過ぎない。
私たちのゴタゴタに巻き込まれた被害者よ」
「それは確かに」
「私が協会に振り回されて……。
その私を探そうとしたエルクが呼んだのだから、私にも責任があるわ」
「なるほど……」
やはりそういうことでしたか。
「その気があるのならビアには伝えておくわ。元の世界に必ず返すようにと」
「ありがとうございます、じゃあ……。しっかりと伝えておいてください」
「いいえ、これを持っていって……」
豪華な仮面の人物は、クロアに手紙を手渡した。
「これは?」
「私は妹に会えないかもしれない。だからこの手紙をビアに見せてあげて。
きっと元の世界に返してくれるわ。
……今すぐにでも向かうといいわ。今ならまだ国境付近にいるかもしれない」
「なぜ急にこんな親切に?」
「言ったでしょう?私にも責任があるって。
だからあなたは今すぐにでも元の世界に帰っていいの。
これからの事は、あなたには全く関係ないのだから」
「はい……」
なんだかそう、すぐ帰れと言われると……釈然としないが。
◇
◇
そしてボスはクロアに別れを告げ、どこかへと出かけて行った。
別の部屋にいたリンは、二人の話が終わったことを確認すると、クロアの元に駆け寄ってきた。
「ねえ、どうだった?ボスに会ってみて」
「たくさんの情報が聞けましたよ。考えることが山積みになった」
「そっか。話の分かる良い人だったでしょ?」
「それは、まだわかりませんが……。
少なくとも組織のボスとしての器は感じましたね」
「……それでね、青い鳥作戦は明後日の決行に決まったらしいんだよ。
クロアも結局参加するんでしょ?」
「いいや、別にしなくてもいいらしいです」
「え?ほんとに?」
「元の世界に……。今すぐにでも帰ってどうぞと、言われました」
「そうなんだ」
「なんだか、結局最後にそういう流れになりましたね」
「なんだかさ……。それって寂しいよね」
「…………」




