夢の共同生活
何だか頭が痛い。
何かが頭の中に浮かんでくる。これはいつかの……。
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「なあに簡単なことだよ。私が用意した服を着て」
「はい」
「私が用意した家に住んで」
「はい……?」
「私が用意した食べ物を食べて」
「は……い……」
「私が用意したスケジュールで行動するんだよ」
「……わかりました」
「じゃあ今日から一緒に共同生活だね。一緒に頑張ろうね」
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なんだ今の光景は……。
「いてて、ここはどこだろう」
クロアはベッドで寝ていた。
お約束の天井か。どうやらまたやってしまったらしいな。
少し頭痛がするが……。体は大丈夫そうだ。
……そうだ。あの時、カード勝負で負けて……。
仮面の人が何かをやって、俺はまた……。
クロアは周りを見渡した。
それにしても綺麗な部屋だな。埃一つない。
そして風水的に最高の家具配置。まさかこの部屋は……。
近くでドアをノックする音が聞こえた。
数回のノックの後、カチャッと音がして扉が開いた。
「あ、クロアようやく起きたの?おはよう」
「なんだ、青いお姉さんか」
「そうだよ、ついに私との夢の共同生活が始まるんだよ」
「えーっと……。悪い夢を見たようだな。
こういう時はもう一度寝て夢を改変するに限る」
そう言うと、クロアはベットに逆戻りした。
「こら、現実を見て」
「はあ、夢は怖いな。実に怖い」
「ねえ、聞いてるの?」
「そうだな、どうせなら次はシロンさんあたりと一緒がいいな」
「ちょっと……」
「次はいい夢を見れますように」
「……これは現実だよ!」
リンの大きな声が部屋中に響き渡った。
「うるさっ……」
「現実を見よう」
「……だっておかしいじゃないですか。目が覚めたらリンさんと同じ家に」
「おかしくないよ、本当に私との夢の共同生活が始まるんだよ。嬉しい?」
「やっぱりもう一度寝てみて……」
「こらーーー」
◇
それからクロアは体を起こし、リンに連れられ家の二階から下の階に降りた。
クロアはリンと向かい合って椅子に座り話をしていた。
「……体は本当にもう大丈夫?」
「それよりも一体どういうことですか?なんとなくの状況は掴めましたが」
「じゃあ言ってみてよ」
「あのカード勝負の後、ミスティックがやってきて、俺に例の力を無理やり使わせた。
そして俺が気絶して倒れた。起きたら青いお姉さんがいた」
「うんうん」
「つまり……。これは夢だ」
「なんでそうなるの?」
「展開がおかしい」
「よーく、考えてね」
「はあ……。青いお姉さんはミスティックの一員だった」
「せいかいー」
「それで俺をどうするつもりですか?せっかく元の世界に戻れると思ったのにな」
「そんなに帰りたいの?」
「あ……」
つい口が滑ってしまった。
「え……?」
「それも知ってるんですか?」
「そうだね」
「……ということは」
「ということは?」
「どうせ知ってたんでしょ?最初に会った時から……。
それで俺に近寄ってきたんですね?
……思い出したらもう何か嫌になってきたよ」
「まあまあ……」
「ますます人が信じられなくなりそう」
「大丈夫。心が傷ついても私が癒してあげるから」
「え?ほんとに?何でもしてくれるの?」
バシッ……。
「……じゃあ俺はそろそろ帰らせてもらいますね」
「自分だけ良ければいいの?」
「自分だけ良ければ……?うっ、急に頭が」
クロアはすかさず頭を抱えた。
「大丈夫……?」
「とにかく俺はみんなのところに戻ります」
「みんなって誰?」
クロアは立ち上がり、部屋にある近くのドアを開けようとした。
が、外から鍵がかかっていた。
「ドアが閉まってるじゃないですか?」
というかこの扉はなんだ?内側と外側に鍵穴があるだと……?
「ミスティックのボスからのご命令でね、ここからは勝手に出れないよ」
「はあ……?え、まじ?」
「うん。そう言えばさ……。家に二人っきりだね……」
「あの、もうそういうのいいです」
◇
「なぜ俺はこんなことをされなくてはいけないのか。
こっちに来てから人生がめちゃくちゃですよ。最近は運勢がとても良かったのに」
「そりゃあ力を持っているからだろうね」
「……大体どこまで知ってるんです?俺のこと」
「知りたい?」
「まあ知りたいかな……」
「おしえてあげないよーっだ」
「……少し痛い目に合わせてもいいですか?」
「こわーい」
「冗談ですよ」
「冗談でも駄目だよ?女性にそんなことを言っちゃ」
「ごめんなさい。ちょっと遊びが過ぎました」
◇
「どうせここから出れないなら教えてくださいよ。リンさんが知っていることを」
「いいよ、話せる範囲のことなら」
「まず、この家は何ですか?」
「兄の家だよ」
「兄?」
「クロアも知っていると思うけど、あの青いローブの人だよ」
青いローブ?まさか……。
「……つまりロルドさんはリンさんの兄だと?」
「そうなんだよ」
「はあ……。なるほどそういうことね。通りで……」
「どうりで?」
「なんだか雰囲気が似てるかなと」
「やだ、一緒にしないで?
青い服を着ている所以外はぜんぜん違うんだから」
「そうか……?」
「そうだよ」
「……ところでなんで俺に、一番最初に会った時声をかけたんですか?」
「それは……。まあ上からの命令かな……」
「そうですか……」
◇
「……じゃあ俺を成長させるために?」
「そうだね。結果的にそうなったから良かったよ」
「結構な苦労をしましたけど」
「そうだね。でも今や神官になっているんだからすごいことだよね。
……それで、もう質問はないの?」
「大体今聞きたいことは聞けました。……でこれから俺はどうなるんですか?」
「とりあえず今日はね、一日私と一緒に行動するんだよ」
「まさか本当にこれから共同生活を?」
「……それで明日はね。ロルドもここに来るから一緒に話し合うんだよ」
「あの人も来るのか……」
「え?今なんて」
「いや」
「今なんか嬉しいことを言っていた気がするなあ」
そういう意味じゃないんだが……。
「いや、何も言ってませんよ。
それよりも……。ずっーと気になっていたんですが。なかなか言えなかったことがあるんですよ」
「なに?」
「ここ、どこ?」




