君をこの世界に呼んだのはこの日の為だったんだよ
「部屋を用意しよう、存分に話し合ってくれ」
◇
四人は部屋に案内され、互いによく考えて意見を出し合った。
が、なかなか他の良い案は出てこなかった。
……そして脅迫に屈したくはないが、泣く泣く合意するという結論に至った。
しかしミアちゃんは完全に機能停止してるな……。
さっきビアさんが体を揺さぶっていたけど、ロボットのように「はい」としか返事をしないし。
会いたかった人に今ようやく会えたのに、嬉しいのではないのか?
まあ状況は状況だけども。
◇
「部屋から出てきたか……。そろそろ話は纏まったかい?」
「……仕方ないから、勝負に乗ってあげるわ。でも私たちが必ず勝つ」
「そう来ると思ったよ。ではまずはルールを説明しよう。説明してくれ、ロルド君」
ロルドがやって来て、四人をカラフルなテーブルの前に案内した。
「……ここに白蛇のトランプがある。トランプはわかるね?」
四人は静かに頷いた。
ロルドはトランプを華麗に混ぜながら、説明を始めた。
「数字は1から13まである。引いた数がそのまま得点となる。
だが指定された条件がある。縁起の良い数字3、5、8なら得点は二倍として、
縁起の悪い数字4、9、13ならその数字分減点だ。そしてスペードのマークは死。
得点はゼロ点。ジョーカーも同様に0だ。それぞれカードを三枚引き、その得点で勝敗を決める。
それを5回行い、勝ちが多いほうが勝者だ。わかったか?」
「……ルールは理解したわ。それで一体何人でやるつもり?」
「そりゃあ、こちらとそちらの代表者の一人ずつだ」
「だがこちら側は……。クロア君に任せようと思っている」
は……?エルクさん何言ってるの?
「それは……。どういうこと?クロアはこちら側の人間よ」
「それはクロア君次第じゃないか?ちょっとクロア君、こっちに来てくれ」
呼ばれてクロアはエルクの元に一人向かった。
「クロアに変な吹込みをしないでくれる?」
「そんなことはしないさ。……少し二人だけで話をいいかい?」
「まあ……話だけなら」
二人は隣にある部屋に、向かっていった。
「一体、あの二人は何を考えているのかしら……」
「ここはひとまず状況を冷静に見守りましょうよ」
「シロンはこんな状況でも冷静で偉いわね。ミアちゃんは……相変わらずか。はぁ……」
◇
「……やっと話せるね。君をこの世界に呼んだのはこの日の為だったんだよ」
「どういうことですか?」
「詳しいことは、そうだな……。面倒だから後回しにして」
今話してほしいけど。いつも何でもかんでも後回しにするよな。
「とにかくこちら側の代表者として君には勝負をしてほしい。
それが君に能力を授けたことへの借りだ」
そういえば能力を貰った時、そんなことを言っていたような?
でもそもそも俺は勝手に、この世界に連れてこられたんだぞ……。
「乗り気はしませんね」
「君はただカードを引くだけでいい。何も考えずに。
クロア君、今君は自由だが自由ではない」
「俺は……。なんだか納得できませんね。
こちらに呼ばれたのもエルクさんが勝手にやったことでしょ?」
「じゃあ君が勝てばなんでも言うことを一つ聞こうじゃないか。
それなら問題はないはずだ。そして君は自由になれる」
自由、自由って何なんだ?元の世界に帰れないことが不自由ってことか?
「……一体何のためにこんなことをするんですか?
俺を呼び出してまでしたかったこととは、こんなことですか?」
「そうだな、何の説明も無しに今まで悪かったと思っているよ……。
ある人のためだ」
「ある人?」
「まあ君には関係のないことだろうけど……。君には好きな人はいるのかい?」
「まあ……。いないことはないですけど」
つまりそういうことね?
「じゃあわかるだろう?人への思いの強さがどれ程のものか。
ある人の為ならある人に協力を求める。それだけのことさ」
まあ言いたいことはわからないでもないが……。こちらとしては普通に迷惑だし。
あと脅迫だけは駄目だと思うよ。
「……断ってもいいですか?」
「良いのかい?君はこの世界が炎に塗れても」
「いやそれは……。また脅迫ですか?」
俺にも脅迫か。エルクさんそれは卑怯すぎるよ……。
だけど……。それは恐らくビアさんが見た未来の光景だ。
何かが違ったら……。俺はエルクさんに加担していたかもしれない。
それが何らかの力によって変えられて、俺は今この道に進んでいる。
……そんな予感がした。
「……脅迫じゃないさ、今君がここで勝負をしてくれなければ世界が炎に塗れる。
そしてそれは私の手で行われるわけじゃないんだ。詳しく説明できないのが惜しいが……」
これはどうやら何か事情がありそうだな。
「……じゃあたとえ俺が勝負をして、負けても文句は言わないんですね」
「ああ、そうだ」
「何故それを許せるんですか?」
「もう疲れたのでね。もし君が戦ってそうなるのであれば、諦めがつくんだよ」
「じゃあ、自主的に負けを認めたらいいんじゃないですか?」
「いいや、それでは私の気が収まらない。
君が勝負をして負けてこそ、ようやく私の気が晴れるんだ」
「勝手な人ですね」
「そうだな、今は自分でもそう思うよ……」
それなら……。こんな勝負すぐに負けてやる。
そうすれば俺はビアさんにお願いして、元の世界に帰れるし。
エルクさんへの怒りも少しは収まるだろう。
そして元の世界に帰り、すべてが終わり元に戻るんだ。
そうだ……保険をかけておこう。
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赤☆刹那
対象者一人の運命の一つを一瞬のうちに変える。
複数の人間の運命が絡み合う場合は無効になる。
力があるほど正確に願った通りに変わる。
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複数の人間の運命が絡み合っている気がするけど、やらないよりはましだろう。
今から始めるカード勝負に俺は勝てず、相手が勝つ。
今から始めるカード勝負に俺は勝てず、相手が勝つ。
クロアはできる限り念じて、能力を発動した。




