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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第六章 上級
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出会い

 クロアの家ではみんな和やかに会話が弾んでいた。


 なんだか話をしてたら、心が軽くなったような気がするな。

 お祝いされる仲間がいるのっていいな。ここに来た時が嘘みたいだ。

 最近何事もうまくいってるもんな。やっぱりチェンジの重ね掛けのおかげなのかな。


 クロアがそう思っていると家のドアをドンドンと叩く音が聞こえた。


「あれ?誰か来たみたいだよ?」


「まだお祝いに来てくれる人でもいるのですか?」


「まさか……エルク様……なの?」


 こんな時に誰なんだろう。他に誰とも約束はしていないはずだし。

 まさか本当にエルクさんが来たのだろうか?

 あの人は突然来るから可能性は無くはないが。


「私が開けてきましょうか?」


 セリスはそう言うとすぐに玄関のドアに向かった。



 セリスが扉を開くと、二人の白い輝く衣装の女性が立っていた。


「あら、ビア様と……」

 ビアは表情が強張っていていつもと雰囲気が違った。セリスはそれを感じ取り無言になった。


「ビア様だ……」

 玄関のようすを見に来たミアは言った。


 その後続々と玄関に人が集まり玄関は人でいっぱいになった。


「……あれ、ビア様まで来られたんですか?」


「クロア……これは一体どういう状況なの?」


「ちょっと神官になったお祝いのパーティをしていて……」


 クロアの周りではみんながこそこそと話しだした。


「なんだかビア様の様子が変ですね」


「シロン様まで来ています……」


「ねえねえみんな、いったい何が起きたっていうの?」


「私はクロアと大事な話があるわ。申し訳ないけどみんな、一度席を外してもらえる?」


 ビアはみんなの声を断ち切るように、大きな声で言った。

 そしてビアは四人を家の外へと連れ出した。



 外に連れ出された四人は、小さな声でひそひそと話す。


「せっかく盛り上がっていたのに、このまま引き下がれる?」


「ビア様のあの表情は気になりますね」


「なんだか嫌な予感がします……」


「じゃあさ、盗み聞きしちゃおっか」


「それは……」


 一瞬その場の空気は固まった。しかし四人の考えは一致していた。


「……仕方ありませんね」


「これは神官として放っておけないかもしれないわ」


「クロア様、どうかご無事で……」


 そして四人はドアの前で、中の会話を聞こうと必死に耳を澄ませた。



「あ、ビアさんお久しぶりです。あのそちらの方は」


「……シロンよ」


「初めまして、クロアさん。白の神官シロン・メッカです」

 白い輝く衣装の少女はクロアに丁寧にお辞儀をした。


「白の神官クロア・ナッツォです。よろしく」

 シロンにまじまじと見られるので、クロアもお辞儀をして見返す。


 他の国の神官だろうか、初めて見る人だ。でもなんだか懐かしい感じがするな。気のせいかな?

 ここは能力で力を確認しておくべきか。


 クロアは能力の目視を発動した。

 ビアさんの力は15668です。シロンさんの力は20071です。あなたの力は9852です。


 クロアは二人の圧倒的な数値に意気消沈して、途端に頭を抱えた。

 いや、どうなってんのこれ。シロンさん、俺の二倍の力があるだと?


 クロアが考えているうちに、ビアは興奮した様子で早口で話しだした。


「本当はここでみんなと何をしていたの?エルクと作戦はどこ?共謀して世界を燃やす計画は?」


「えっ……」


「前にクロアを捕えようとしたことは謝るわ。でもこんなことは今すぐにやめるべきよ。

私たちはきっと理解しあえるはずよ」


「ビアさん……とりあえず、落ち着いてください」


 一体俺のどんな未来が見えていたのだろうか。


「どんな未来を見たのか知りませんが、俺はやましいことは何もしてないですよ」


「嘘ついたって……なにも良いことはないのよ?」


「本当にそんなことはないです」


「だって黒い炎が町を燃やす計画を……」


「炎?」


「そうよ」


「そんなこと、全然計画していません」


「本当に」


「はい、本当に確実に」

 クロアははっきりと言い切った。


「どうやら話が違うようですよ、ビアさん。冷静になって話し合いましょう」

 それまで黙っていたシロンが口を開いた。



 ビアはようやく落ち着きを取り戻した。


「じゃあ最近エルクと会ったのはいつ?」


「最近は会ってませんね。それで何があったのか理由を話してもらえませんか」


「こうなったら、話してしまったほうが良いのかもしれません」


「シロンがそういうなら……」


 それからビアさんは見えていた未来のことを俺に話してくれた。


 簡単に言うと俺がエルクさんと共謀して、世界を黒く燃やす計画が見えていたらしい。

 ひどい話だ。どうしてそうなったのだろうか気になったが、詳しい経緯は教えてくれなかった。


 俺は全くそんなことをするつもりはないと、ビアさんを説得した。

 シロンさんの協力もあり、ビアさんはわかってくれたみたいだった。



「ねえ、今の話聞こえた?」


「よく聞こえないですね、もう少し大きな声で話すべきですわ」


「私は聞こえたわよ」


「セリスさん……地獄耳ですか」


「そんな縁起の悪い言い方しないで、せめて兎の耳と言ってちょうだい。これも日々の任務のたまものよ」


「ウサギは可愛いもんねー」


「黒い……なにか……と聞こえたような気がします。怖いです……」


「あれ黒いウサギってたしか」


「一体どういうことなんでしょうね」



「じゃあエルクさんに会いに行くから力を貸してほしいと?俺に何かメリットはあるんですか?」


「それはもちろんあるわ」


 ビアさんが言うには協力してくれたら、上級の書を全巻読ませてくれるという。

 確かにこれは今の俺にとって大きすぎるメリットだ。自力ですべてを集めるのは困難を極める。

 とても貴重なものなのだ。


「どうしてもエルクに今から話に行かなければならないの。その時クロアが協力してくれると助かるわ。

それと……あなた達、聞いているんでしょ?もうこうなったら入ってきていいわ」


 四人は家に入り、ビアはこれからエルクに話をしに行くことをみんなに話した。

 その話は他言無用だった。そしてその協力を四人に頼み、四人は快く承諾した。

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