☆話し合い☆
「ええ?」
「その時はもうすぐ訪れるの。そうしたら二人が行動を起こして、大変なことになる」
「それって黒の能力の放つ能力?塗り替えるってどういうこと?」
「そう。クロアは黒い炎を放出する能力を持っているの。それを世界に向けて放つのよ」
「そんなことが可能なの?」
「前に、私が一度止めようとしたのだけどね」
「その時はどんな状況だったの?」
「そうね、あの頃はロルドと……」
「ロルドって?」
「当時の私の一番の護衛よ。あの時起きたことを話しましょうか」
ミリアは過去に起きたことを話し始めた。
シロンはミリアの話を静かに聞いた。当時の状況が頭に浮かんでくるようだった。
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颯爽と馬で大地を駆け抜けていく、ビアとロルドの二人。
その先には、漆黒の塔を捉えていた。
「未来予知の結果はどうなったんですか?」
「わからない。でも少なくとも未来は変わっている」
「やはりあの少年は……危険ですか?」
「とにかく鎮めに行きましょう。話はそれから」
「はい、お供します」
◇
「これは……。塔が一面真っ黒になっています」
「塔にいた人たちは?」
「どうやら、概ね避難されているようですが……」
「これがクロアの力なの?あるいは……。塔に残っていた人たちは……どうなったの?教えて」
ミリアは塔から出てきたであろう、係員に尋ねた。
「塔にいた人達は……何ともなっていません」
「え?」
「黒い炎は塔だけを燃やし尽くし、建物全てを漆黒に変えました。
今のところ人体には、実害はないものと思われます」
「良かった……。すぐに塔を何とかして白く輝く塔に戻すのよ。明日までに」
「上から強引に塗りつぶしてもいいんですか?いくら頑張っても数日はかかりますよ?」
「それでは相当の額がかかりますが、よろしいのですか?ビア様」
「良いの、すべての責任は私が持つわ、一刻も早く作業を始めて頂戴。
それと至急、塔の中にいるであろう気絶したクロアを私のお城に運んでおいて頂戴。傷を付けては絶対にダメよ」
◇
「あの黒い炎が人体には実害はないですって?おかしな話ね」
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「人体に実害が無いのなら、大丈夫じゃないの?」
「明華もそう思ったの?それじゃあ考えが甘いわよ、もっと疑り深く生きなきゃ」
「うん……」
でもあの大きな塔を全て黒くする力なんて……。
「その後に私は黒の書というものを入手したの。黒の能力のことが書かれている占いの書上級の八巻よ」
「そんなものがあったんだ。非常に気になるね。一体誰がそんなものを書いたんだろうね」
「良いところに目を付けたわね……って、
今はその話じゃなくて、そこに載っていたことで重要な事実があるのだけど……。
これが本に載っていた能力の一覧表よ」
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放つ能力。
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黒☆黒い炎
黒い炎が自身の体から溢れ出す。炎はあらゆる物を黒く燃やす。
力が大きいほど威力は強くなる。
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留める能力。
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黒☆ガード
相手から能力を受けた時、自動的に無効化する。
力が大きいほど正確に無効化できる。
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引き寄せる能力。
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黒☆ブラックホール
一人の人間を自分の近くに呼び寄せる。
自分と似ている人間の中から、選択されることになる。
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あとは最後に能力を受け渡す能力も記載されていたわ。
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黒☆チェンジ
能力を受け渡すことができる。
送る側、受け取る側の互いの合意がないと、無効になる。
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「黒の能力はこの四つだけが存在するらしいわ。この中の黒い炎が世間で恐れられているものよ。
実際の能力にはまだ秘密があるかもしれないけどね」
「人を呼び寄せる能力。これって私が呼ばれた……?」
「そうよ。でも今問題なのは黒い炎の能力の方よ。
力が大きいほど威力は強くなる。あの時のクロアの力は精々3000程度。
でも今は神官になるほどの力がある。それがもし発動したらどうなると思う?」
「人体に影響が出る?」
「そういうことね、まあそれで終わればいいんだけど」
「……最悪死ぬかもしれない?」
◇
「ということで、黒い炎の能力はとても危険なものだと判明したの」
「確かに想像しただけでも何だか怖いね」
「私が見た未来ではクロアはその黒い炎の能力を使い、世界を漆黒に焼き尽くしていたわ」
「クロアという人はなぜそんなことをするの?」
「さあ?よくわからないけど。エルクにそそのかされたのかしらね」
エルクさんは聞く限りでは、悪い人には思えなかったけどな。
「わかるでしょ?クロアはエルクが呼んだ人間なの。似たような思想を持っているのよ。
だから簡単に操れるの」
「じゃあエルクさんはなぜそんなことを?」
「わからないけど、いつまでもお姉様に未練があって自暴自棄になってるんでしょ。
それ以外に何か考えられる?」
「……あるにはあるんだけどね。まだ確証はないね」
◇
「じゃあ世界の闇を正すということが、クロアを止めるということになるわけね」
「そういうことなの。だから明華、私に力を貸してほしい。
その時はもうすぐそこにやってきているの。今すぐにでもクロアの家に一緒にいってくれる?」
「話し合って未来を変えるのね。家の場所はわかっているの?」
「もちろん特定済みよ」
◇
シャボンの町の南東にあるクロアの家の前にやってきたビアとシロン。
「シロン、準備は良い?同じ日本から来たシロンなら、きっと説得してクロアを止めることができるはずよ。
私には止められなかったけど」
「私にも止められるかわかんないよ」
「大丈夫、シロンならできるわ。自信をもって。言葉で無理そうなら能力で止めるのよ」
「能力?」
「あるでしょう?それだけの力があれば、この状況を打開する能力が」
そして二人はクロアの家に突入した。