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青いお姉さん

 青いお姉さんもソファに座り、再び話し合いを始めた。


「なるほど。よーし、大体わかったよ」


「何がですか?」


「君はさっき占い師がどうとか聞いてたね?」


「まあ、参考程度に」


「なりたいのかい?」


「なりたいんじゃなくて、運勢を変えたいんです」


「そっか、でも君は今、私が占った結果……」


「はい……」


 ごくり……。


「あちゃー、カオスバリケードホールマグマの状態のようだ」


「うっ……頭が……」

 なんなんだよそれ、その言葉はもういいよ……。


「大丈夫かい?」

 頭を押さえてよろける俺を、青いお姉さんは優しく支えた。


「な、なんとか……でもそれってどういう意味なんですかね?」


「まあ簡単に言うとね、ものすごく障害があるってことかな」


「障害?」


「そう、障害。何故か今の君の運勢にはたくさんの障害がある。

そしてこれは一日や二日で取り切れるものじゃない」


「そんな……」


「下手すりゃ一年、いや十年単位でやっとマグマが消えるだろう」


「十年でマグマが消える?じゃあ残りのカオスバリケードホールは?」


「カオスはあと20年ってところかな」


「じゃあ全部取り切れるのは?」


「そうだなー。このままいくと80年後かな?」


「嘘だあああああああ!」

 俺は響く声で叫んだ。


「嘘じゃないよ」


「さっきの人も詐欺にはお気を付けくださいって言ってたし、またインチキだな?」

 俺は少し興奮気味に早口で話した。


「ちょっとちょっと落ち着いて落ち着いて。ほら深呼吸して……」


「すーはー、すーはー」



「その証拠があるんだよ、ほらこれを見てごらん?」


 その胸には青いバッジが輝いていた。


「ほう……これはこれは豊かなことで……」


「こら、どこ見てんの」


 ペシッ……っと叩かれた。


「あ、青属性の人ですか」


「そうだよー……ってそうなんだけどそうじゃない」


「ほいじゃ、そういうことで」



「ちょっと待てーーーー」


「何ですか、もう話は終わりましたよ青い人」


「急にカタコトになるなーーー」


「どうせそれ偽物なんでしょ、今偽バッジが流行ってるらしいですよ」


「そんなわけないじゃん。

このバッジは全国シークスフィア協会に正式に認可されたバッジなんだよー」


「へえ、そうですか、じゃあ俺はこれで」



「もーーー何でここから立ち去ろうとするのー?」


「だって俺はあと80年クソ人生なんでしょ……逃げたくもなりますよ」


「そんなことはないよ」


「えっ、運勢を良くする方法があるんですか?」


「その方法があるとしたら……?」


「試したい」


「じゃあさー、私の言うことを聞いてくれる?」


「……」

 なんだか嫌な予感がする……。



「……あーでも確か神官様の施しを受ければ、運勢は好転するって聞いたなあ」


「えっ」


「あーそういや、こないだ神官様を見かけたんだったなあ」


「そうなの!?」


「確か、俺に言いたいことがあるって言ってたんだよなあ……」


「そんなことあるのっ?」


「神官様って格が上なんだよなあ」


「あーもーーーーわかった、わかったから」


「へ?」


「君の意見も聞きながら、改善策を考えてあげるからさ」


「なに?」


「君の言うことも聞くからさ」


「えっ、何でも言うことを聞いてくれる……?」


 バシッ……。



「でも、お高いんでしょう?」


「運勢が良くなって儲けが出たら、くれる感じでいいよ」


「え?本当に」


「うん、大体占い師っていうのは、結果が出ないと報酬をもらえないの」


「なるほど、そういうシステムなんだね」


「そうだよ、だから安心して」



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



「それで俺は、具体的にどうすればいいんですか?」


「そうだね。どうやら君はまだあまり占い師のことを知らないみたいだから、

まず少し占い師について話そうか」


「簡潔で分かりやすく頼みます。俺には時間がないんで」


「うん、わかってるよ、毎日つらいんだもんね」


「いや、本当なんだよ」

 お姉さんが思ってる以上にね……



「占い師には四種類の色があって、それぞれ得意なことが違う」


「あー確かそんなこと聞いたな、お姉さんは青属性だよね」


「まあそうなんだけど、それで……」


「あっ、お姉さん名前は?」


「ああ私?アイ・リンだよ」


「アイちゃんか、リンちゃんかどっちなんだ……?」


「どっちでも好きなほうで呼んでいいよ」


「じゃあリンちゃんで!」


「ほうほう、そっちを取りますか。ところで君の名前は?」


「あ、俺?俺は……」


 元の世界の本名を言っといたほうがいいのかな?

 ……いやしかし、偽名もありなのか?


 だがどうせだったら本名にしたい気もするし……。


「ねーどうしたの……?君の名前は?」


「………クロ」


「え」


「クロだよ、名前が」


「ああそっか。あはは……。クロねー、クロなのねー」


 え、何このあからさまな嫌がる反応は……。

 そうか、黒は縁起が悪いから……。ダメだったのか……?



「あー、ちょっと間違えてるなああ……。続きあるしい」


「ええ?まあ確かにそれだけだと短すぎるよねー」


 仕方ない名字がだめなら、名前だ……。


「…………ナツオ」


「え?」


「……ナツオだよ」


「あー……ナッツォ君ね、なるほど、なるほどー」


「ん……?あれ……?」


「えーっと、まとめると」


「はい」


「クロア・ナッツォ君だね?」


「ううん……?まあそうかなあ……」


 あれ、なんか発音が随分外国風になったな……。


「ああ、わかった、国によって発音になまりとかあるもんね、きっとそれで違う風に聞こえたんだ」


「あー、あはは……そうかもなあ」


「そうでしょ、そんな縁起が悪い名前な訳がないよねー」


「うん……」


「この名前なら、姓名判断的にも最高だしね」


「そ、そうなんだよね」


 そうだったのか……。

 だいぶ元から改変されてるけども。これからはこの名前でいくか……。



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