……あ、思い出した。お金くれた人だ
あとはセリスさんは逃げ切れたかな。
クロアは水晶玉に向かい念ずる。すると頭の中に何かが見えてくる。
……セリスさんが目を閉じて瞑想をしている。
あの虹のソファは……功国支部だ。
おそらく無事に逃げられて、策を練っているんだろう、良かった。
しかしあの一緒にいる人は……。ぼやけて見えない。あと少しでいいから鮮明に……。
クロアは意識を集中させた。
その直後、水晶玉から何やら音がした。
あれ、急に見えなくなった。
あ……もう水晶玉にヒビが入っている。まだ二回しか使っていないのに。
これはもう駄目だな……。でも結構使えたから、今度ショップで見かけたらまた買っておくか。
◇
クロアが地下牢に入れられてから、時が流れていた。
……閉じ込められて、もう何日になるんだろう。
最低限の食事は出るので死にはしないが、毎日が退屈で仕方ないし。
俺はこういう拘束されるの心底嫌だから、精神的にも辛い。
そろそろ明国の神官が何とかして、俺を助けてくれてもいいと思うのだが……。
クロアは暇なので目を閉じて考えていた。すると、ある記憶が頭の中に蘇ってきた。
そういやあんなこともあったっけな……。
あれは占い師だと間違われて、少女を占った時のことだった。
俺はあの時、お金に困っていたので快く応じたんだったな。
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「ねー、お兄さん占い師さん?」
「そ……そんなもんだよ」
「わたしを占ってくれる?」
「うーん、まあいいよ」
「ありがとう」
まずは容姿を確認して……と。
小さい子供ながら、笑顔が溢れ人相は良さそうだ。
身なりを見るに、どこか良い所に住んでいる人かな?
「何をじろじろ見ているの?」
「気にしないで、見るのも占いのうちだから」
「お兄さんの属性は?」
「お兄さんは白属性だから、どの方法でも占えるよ。どの色の占いで占ってほしい?」
子供でも属性のことを知っているものなのか。学校とかで教わるのかな。
「じゃあ黄色の占いで!」
「そうか、じゃあ……」
よりによって黄色の占いか。今持っているのは……これしかないか。
そう思うとクロアは一つのサイコロを鞄から取り出す。
「じゃあ占いたいことを話してから、これを振って」
「わかった。えーっと……」
そして、この能力を発動する。
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黄☆カミングパワー
運を引き寄せる能力。勝負事で使え、力があるほど強く運を引き寄せる。
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「お父さんは今日帰ってくるか!」
そう言うと少女は思いっきりサイコロを振った。
サイコロは勢いよく転がり、やがてピタッと止まった。
「3が出たよ」
「……そのようだね、3は縁起がいい数字なんだよ。
だから……その願いはかなうはずだ」
「ありがとう。占ってもらってよかった。
あの……はい……これお金」
そういうと笑顔の少女はクロアに硬貨を手渡した。
こんな子供にお金を貰うなんてな。
そんなものいらないよ、とか言えるようになりたいが。
今はそんなこと言ってられないか。
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あの時は持っている知識で切り抜けたが。
使えないと思っていた、黄色の能力の可能性を感じたんだったな。
案外使えるのかもしれない。
一時的にでも運勢を上げたい時に効果を発揮する。たしか本に載っていたな。
だからこそあの時いい結果が出た。
今は一時的でも良い。黒い扉で下がった運勢を上げなければ。
暇で時間もあることだし、自分自身を占ってみるか。
クロアの鞄には正式な占い師になったということもあり、様々なアイテムが入っていた。
その中からタロットカードを取り出し、無造作に混ぜる。
一応黄色の能力も使い、思うままにカードを一枚取り出した。
うんこれだ、このカードがしっくりくるな。クロアはカードを見る。
これは……月の逆位置か。
どうやらもうすぐこの状況は終わるらしいな。
◇
「おい!」
牢屋の扉の方から声が聞こえた。
占ったお陰があったのかはわからないが、どうやら救いの手は来たようだ。
「おい、出ろ少年」
クロアは慌てて牢屋の扉の方に近付いた。
どこか変わった格好をしている青年。
あれどっかで見たことがあったような……誰だっけ?
「待っていたぞ、少年。鍵は開いているから、出るんだ」
「……えーっと、失礼ですけどどちらさま?」
「覚えていないか?」
必死に記憶を辿るクロア。
「……あ、思い出した。お金くれた人だ」
「とんだ思い出だな」
◇
「俺は新たな力を手に入れたんだ。
もう一度ギャンブル勝負をやってくれないか?」
新たな力ねえ……。
「仕方ないですね、やりますか」
「本当か……」
本当にこの人はギャンブルマニアなんだな。
「……っていうわけないでしょう。今の状況わかってますか?」
「少年、今言ったことは本当だったのか?」
「本当じゃないです。あとその少年っていうのやめてもらえますか?」
「だって少年だろ?」
「名前があるんですが」
「わかったわかった、でも少年としか捉えられん」
癖みたいなものなのかな。
「もちろん今すぐにじゃないさ。ギャンブル勝負はここを出てからおこなおう」
「もちろんそうですよ」
その話を今ここでしてくることが問題なんだよ。
またすぐに覆面に見つかるかもしれないのに。
「ここを出る手助けをしてやろう。その代わりにギャンブル勝負をする。どうだ?」
「まあ……いいですけど」
出られるんならいいよな?鍵も開けてくれたわけだし。
しかしこの世界って選択肢多いな。どれが正しいルートだかわかんないよ……。
「じゃあとにかく外に出ますか、覆面が来ないうちに」
「了承……ということでいいんだな?」
「賭けるものの条件によりますね」
「そうか、そのあたりは互いが納得いくまで交渉しようじゃないか。
じゃあ出口まで連れて行ってやろう」
クロアはレイに連れられ、アジトから脱出した。
◇




