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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第五章 中級 続・占い師の仕事編
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……あ、思い出した。お金くれた人だ

 あとはセリスさんは逃げ切れたかな。

 クロアは水晶玉に向かい念ずる。すると頭の中に何かが見えてくる。


 ……セリスさんが目を閉じて瞑想をしている。

 あの虹のソファは……功国支部だ。

 おそらく無事に逃げられて、策を練っているんだろう、良かった。

 しかしあの一緒にいる人は……。ぼやけて見えない。あと少しでいいから鮮明に……。

 クロアは意識を集中させた。


 その直後、水晶玉から何やら音がした。


 あれ、急に見えなくなった。

 あ……もう水晶玉にヒビが入っている。まだ二回しか使っていないのに。

 これはもう駄目だな……。でも結構使えたから、今度ショップで見かけたらまた買っておくか。



 クロアが地下牢に入れられてから、時が流れていた。


 ……閉じ込められて、もう何日になるんだろう。

 最低限の食事は出るので死にはしないが、毎日が退屈で仕方ないし。

 俺はこういう拘束されるの心底嫌だから、精神的にも辛い。

 そろそろ明国の神官が何とかして、俺を助けてくれてもいいと思うのだが……。


 クロアは暇なので目を閉じて考えていた。すると、ある記憶が頭の中に蘇ってきた。

 そういやあんなこともあったっけな……。


 あれは占い師だと間違われて、少女を占った時のことだった。

 俺はあの時、お金に困っていたので快く応じたんだったな。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「ねー、お兄さん占い師さん?」


「そ……そんなもんだよ」


「わたしを占ってくれる?」


「うーん、まあいいよ」


「ありがとう」


 まずは容姿を確認して……と。

 小さい子供ながら、笑顔が溢れ人相は良さそうだ。

 身なりを見るに、どこか良い所に住んでいる人かな?


「何をじろじろ見ているの?」


「気にしないで、見るのも占いのうちだから」


「お兄さんの属性は?」


「お兄さんは白属性だから、どの方法でも占えるよ。どの色の占いで占ってほしい?」


 子供でも属性のことを知っているものなのか。学校とかで教わるのかな。


「じゃあ黄色の占いで!」


「そうか、じゃあ……」


 よりによって黄色の占いか。今持っているのは……これしかないか。

 そう思うとクロアは一つのサイコロを鞄から取り出す。


「じゃあ占いたいことを話してから、これを振って」


「わかった。えーっと……」


 そして、この能力を発動する。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 黄☆カミングパワー

 運を引き寄せる能力。勝負事で使え、力があるほど強く運を引き寄せる。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「お父さんは今日帰ってくるか!」


 そう言うと少女は思いっきりサイコロを振った。

 サイコロは勢いよく転がり、やがてピタッと止まった。


「3が出たよ」


「……そのようだね、3は縁起がいい数字なんだよ。

だから……その願いはかなうはずだ」


「ありがとう。占ってもらってよかった。

あの……はい……これお金」


 そういうと笑顔の少女はクロアに硬貨を手渡した。


 こんな子供にお金を貰うなんてな。

 そんなものいらないよ、とか言えるようになりたいが。

 今はそんなこと言ってられないか。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 あの時は持っている知識で切り抜けたが。

 使えないと思っていた、黄色の能力の可能性を感じたんだったな。

 案外使えるのかもしれない。


 一時的にでも運勢を上げたい時に効果を発揮する。たしか本に載っていたな。

 だからこそあの時いい結果が出た。

 今は一時的でも良い。黒い扉で下がった運勢を上げなければ。


 暇で時間もあることだし、自分自身を占ってみるか。

 クロアの鞄には正式な占い師になったということもあり、様々なアイテムが入っていた。

 その中からタロットカードを取り出し、無造作に混ぜる。

 一応黄色の能力も使い、思うままにカードを一枚取り出した。


 うんこれだ、このカードがしっくりくるな。クロアはカードを見る。

 これは……月の逆位置か。

 どうやらもうすぐこの状況は終わるらしいな。



「おい!」


 牢屋の扉の方から声が聞こえた。

 占ったお陰があったのかはわからないが、どうやら救いの手は来たようだ。


「おい、出ろ少年」


 クロアは慌てて牢屋の扉の方に近付いた。


 どこか変わった格好をしている青年。

 あれどっかで見たことがあったような……誰だっけ?


「待っていたぞ、少年。鍵は開いているから、出るんだ」


「……えーっと、失礼ですけどどちらさま?」


「覚えていないか?」


 必死に記憶を辿るクロア。


「……あ、思い出した。お金くれた人だ」


「とんだ思い出だな」



「俺は新たな力を手に入れたんだ。

もう一度ギャンブル勝負をやってくれないか?」


 新たな力ねえ……。


「仕方ないですね、やりますか」


「本当か……」


 本当にこの人はギャンブルマニアなんだな。


「……っていうわけないでしょう。今の状況わかってますか?」


「少年、今言ったことは本当だったのか?」


「本当じゃないです。あとその少年っていうのやめてもらえますか?」


「だって少年だろ?」


「名前があるんですが」


「わかったわかった、でも少年としか捉えられん」


 癖みたいなものなのかな。


「もちろん今すぐにじゃないさ。ギャンブル勝負はここを出てからおこなおう」


「もちろんそうですよ」


 その話を今ここでしてくることが問題なんだよ。

 またすぐに覆面に見つかるかもしれないのに。


「ここを出る手助けをしてやろう。その代わりにギャンブル勝負をする。どうだ?」


「まあ……いいですけど」


 出られるんならいいよな?鍵も開けてくれたわけだし。

 しかしこの世界って選択肢多いな。どれが正しいルートだかわかんないよ……。


「じゃあとにかく外に出ますか、覆面が来ないうちに」


「了承……ということでいいんだな?」


「賭けるものの条件によりますね」


「そうか、そのあたりは互いが納得いくまで交渉しようじゃないか。

じゃあ出口まで連れて行ってやろう」


 クロアはレイに連れられ、アジトから脱出した。



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