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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第五章 中級 続・占い師の仕事編
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そういや俺、救出フラグ立ててたかな?

「ところで俺をどこに連れていくつもりですか?」


 クロアは手を縄で縛られて、変な覆面に連れていかれる。

 逃げ出さないように、覆面たちは周囲を取り囲んでいた。


「君らが忍び込んだアジトだよ。気づいてないとでも思っていたのかい?」


 あんなに暴れていたらやっぱり気付くよな。


「計画の全貌を見たんだろう?

それならばこちら側に、占い師の仲間もいることは知っているね?

私たちは占い師そのものではなく、シークスフィアに恨みがあるんだ。わかるかい?」


「まあなんとなく」


 実質、シークスフィア協会が裏で支配しているようなもんだからな。

 情報を知ったうえで考えると、何とも言えないな。

 少なくとも俺は今、中立派だ。


「じゃあ君が連れて行かれる理由もわかるよね?」


 おそらく俺の黒の素質が理由だろう。


 反抗勢力にとっては俺は好都合な人間なんだ。

 シークスフィアに染まっているわけでもないから、

 仲間に引き入れやすいと思ったんだろう。

 しかし……俺の情報をどこで入手したのか……。


「……わかりませんね」


「返事が遅いが……まあそんなことはどうでもいい。ボスは君に会いたいと言われているんだ」


 ジョーダン・ヒルトンか、どんな人なんだろう。

 まあこんなことをするぐらいだから、碌な人じゃないことは確かだな。



 クロアは数分後、アジトに連れてこられた。


 あの時は忙しくてよく見る暇なかったけど、結構広いしちゃんとしてるな。


 大きな階段を降り、入口の扉を開ける。

 そこには広大な空間が広がっており、先には部屋が何室かあった。

 全体的に内部は薄暗く、外のカラフルな建物と比べると真逆であることがわかる。

 その部屋の先は迷路のように入り組んでいて、侵入者を拒むようにできていた。


 どこに連れていかれるんだろ。


「こっちだ、変な気を起こすんじゃないぞ」


 どう見ても逃げ出せない状況なんですがね。


 こっち側は前に侵入した時は行かなかったけど……。

 いったい何があるというんだろう。



 またこれか。光を通さない色の黒い扉。

 これはこの先が重要な部屋ということだろうな。

 あの時のセリスさんの状況を鑑みるに、

 この世界に住む通常の人間なら開けることができないかもしれない。


 つまり機密情報が外に漏れないようにするバリアとでもいうべきか。

 ただの黒い扉がこれほどまでに脅威になるとは。

 改めて考えると恐るべき世界だな。

 

 でもこれ、どうやって開けるんだろう。


「……ほらクロア君、開けたまえ」


 って俺かい。


「なぜ俺が……」


「君なら開けることができるんだろう?私たちの手を汚させないでおくれよ」


 自分の運勢を下げたくないからって……。

 しかしこの変な覆面はどこまで俺の情報を知っているんだ?


「……何をしている?早くするんだ」


「……はい」


 今は仕方ないか……逆らっても報復が怖そうだ。

 扉はゴゴゴと音を立てて、少しづつ開いていった。

 なんか前のより力が必要だな。何だか扉が重いぞ。



 扉の先には薄暗い部屋。その先には豪勢な部屋が広がっていた。

 そしてクロアはボスがいる場所まで連れていかれた。


「……ボス、クロアを連れてきました」


 煌びやかな椅子に座っていた、覆面姿の人間がこちらに向かってくる。


 やっぱりまた覆面か、もう見飽きたよ。

 でも、さすがにボスだけあって豪華な覆面だ。


 豪華な覆面は何も言わずにクロアの目の前にやってきた。

 クロアは、顔をまじまじと見られ、続いて全身を隈なく見られる。


 卑怯だ、一方的に見られるのは。こっちは見れないのに。

 この間は……能力を使っているな?でもこちらは使えないのか……。

 服も奇妙な感じで男か女かもわからない。

 しかも一向に喋らない。ばれないようにしてるのか。


「そんなにじろじろ見て、何か俺に用でも?」


 豪華な覆面は何も言わない。ただじっとクロアを見つめた。


 だんまりのままか。声を出すと俺がわかるからか?

 だとすれば俺が知っている人物なんだろうか。

 しかしガードが発動していない。能力を使っていないのか。


「……何か言ったらどうなんです?」


 無言のまま豪華な覆面は、再び煌びやかな椅子に坐する。

 そして変な覆面に手で指示を出した。


「なるほど、下に……。では、クロアを地下牢に閉じ込めておきます。

おい、こっちだ」


 おいおい嘘だろ。地下牢に閉じ込められるなんて。

 このまま引き下がるわけにはいかない、何か言わなくては。


「取引しないか!」


 クロアが大声でそう言うと、豪華な覆面は体を少し動かしたように見えた。


「ボスの命令だから仕方ないんだよ、観念するんだな」


 変な覆面にそう言われ、クロアは連れていかれる。

 あれでも話さないのか。頑なな信念を持っていると見える。

 何か理由がありそうだ。


 ……そういや俺、救出フラグ立ててたかな?



 クロアは地下牢に閉じ込められていた。


 俺は何か勘違いをしていた。

 確かにこの世界に武器はないかもしれない。

 でも、それが必要ないほどに権力や能力の力があったんだ。

 戦わないで勝つ、一対一じゃなく全体的に見ればよくわかる。

 こういうことか。


 しかし、なんで武器はないのにこんなものはあるんだ……。

 でも、牢屋はあるのに手錠はしないんだな。

 武器がないのなら出られはしないって考えているのか……。


 ……そうだ、今更だけどあれを使ってみよう。

 セリスさんとのデー、いや仕事の時に偶然見つけて買ったんだったよな。


 クロアは鞄から光り輝く水晶玉を取り出し、床に置き、それに向かい念じた。


 誰を占う対象にするべきだろう?少し先の未来が見えるわけだから……。

 取り合えず真っ先は……神官ゾルの未来か。

 水晶玉に向かい念ずる。すると頭の中に何かが見えてくる。


 ……ゾルさんの目の前で二人の神官らしき人物が話をしている。

 見たことない人だ。

 白い輝く衣装のピンク髪の女性と、白い輝く衣装の水色の髪の青年。

 何だかぼやけてうっすらしか見えないけど。でも見る限り、相当な力がありそうだ。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 功国支部には明国の神官が訪ねてきていた。


「これはこれは……ようこそお越しくださいました。

権威あるお二人様に出会えて光栄です」


「悪を放ってはおけないので」

 白い輝く衣装に空色のバッジを身に着けている、水色の髪の青年は言った。


「そう、黒いものには粛清ですよ」

 白い輝く衣装にサクラ色のバッジを身に着けている、ピンク髪の少女は言った。


「素質に更に磨きがかかりましたね」 


「わかります?ゾルさんのその能力は唯一無二の宝ですね」


「ええ、素質が輝いて見えていますよ」



「それで早速本題なのですが、奴らのアジトは判明しています。

ここから北の商業都市カノンの近くのこのあたりにあります。どうかご武運を」


「……情報があるなら楽じゃないですか?」


「そうですね。実に簡単な仕事です。

サラ、例の能力は問題なく使えそうですか?」


「大丈夫。問題ないですよ」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 別の国の神官だったのか。少し先の未来ってことは数日ぐらいかな。

 どうやらこちらに向かってくるらしいから、手紙は無事に届いていたんだな。

 あの二人の力を見る限り、事件は何とかなりそうな気がするな。



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