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占い師とは

 この世界は職業も元の世界と違っている……。

 今日はその辺りを調べてみることにした。


 こちらの世界に来てからというもの、こういうことを調べる機会は今まで無かった。

 単純に、まずこの世界に適応するので精いっぱいだったからだ。


 で、やってきたところが、職業協会。

 職を探してくれるところなんだろう。よくわかんないけど。

 やっぱり派手な外見、結構立派な風格をしている。

 とにかく占い師について聞かないとな。



 建物に入るとやはり内装も派手派手な、彩に満ちた部屋が広がっていた。

 俺は一通り周りを見渡した後、案内をしている女性に声をかけた。


「すいません、この占い師という職業についてですが、詳しく教えてもらえますか?」


「えーっと、占い師ですね」


 ちょっと鼻で笑われた。多分この国の人は知ってて当たり前なんだろうな。


「……この用紙を見てください。

占い師は、この国ではシークスフィアの卒業資格をもった者のみがなれます」

 女性は用紙を見せながら言った。


 シークスフィア……?

 確かこの世界における、占い師の学校みたいなものだっけか。

 そこでは当然占いについての勉強をするんだよな……?


「正式な占い師の資格を持つ者には……その素質に伴い四種類のうち一つの勲章が授与されています。

白、赤、青、黄の四色の輝く勲章です」


 つまりバッジをつけてれば、本物ってことか。


「注意点ですが、近年占い師の資格を偽って、占い師を名乗るものが多数目撃されています。

怪しいと思ったら、まずはバッジの有無をチェックしてくださいね」


 この辺りでたくさん見た気がする……。


「もう一つ注意点ですが、最近巧みに似せられた偽バッジが流行しています。お気を付けください」

 女性は、注意書きが書かれている部分を指さして言った。


「……じゃあどうすればいいんですか?」


「正式なバッジはこちらでも照合できますし、様々なお店でも照合が可能です」


 照合できるなら、一応はちゃんとしているって事かな?


「くれぐれも詐欺にはお気を付けください。

正式な占い師には正式な勲章が授与されております。相談する前に必ずご確認ください」


 見てもらう前に確認すればいいのか。

 さすがに占い世界の占い師だからきちんと管理されてるんだろうな。


 ……他にはどんな変わった職業があるんだろう?


「あの……この神官というのは……?」

 用紙にはやたらと目を引く、神官の文字が書いてあった。


「……神官は、通常は占い師から数十年の時を経てごく一部の人がなれます。

神じみた才能が有ればごく稀ですが、数日でも職に就くことができます。

神官は占い師よりも、格がかなり上になります」


 こないだ見た神官さんか……。

 元の世界の神官とは全然違うんだな、占いと神に何か関係でもあんのかな。


「えーっと、仕事内容とかはないのですか……?」


「神官は人々の運勢に対して助言をする。

運勢を変化させるなどして人々の幸福を守ります」


 え、運勢を変化させるだと……?


「そんなこと可能なんですか?」


「はい」


「つまり神官の力をもってすれば、無一文が億万長者になれると……?」


「……そうなりますね」


「まじですか」


「そう簡単にはいかないと思いますけどね」


「具体的にはどういう……」


「まず神官は人数が著しく少ないです。

この辺りにはビア・チェレーチェ様しかおられません」


「それって白い服を着た、少女みたいな?」


「そうです。駄目ですよ、神官様にはなるたけ敬語を使わなければ。

基本的には位は一番上なのですから」


「は、はい……」

 あの少女そんなにすごい人だったのか……。


「そして仮に神官様の施しを受けるにしても、

施しを受けて瞬時に運勢が良くなるわけではありません」


「というと…」


「本人の力と神官の力の相性もありますから、

人にもよりますが、運勢が極端に悪い人が好転してくるのは精々20年後ですかね」


「えっ、そんなにかかるんですか?」


「はい」


 もし俺が施しを受けても、おそらく20年間は事態は好転しないらしい。

 おお、神よ、あなたは無慈悲か。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 この国の二大職業も分かったことだし、他の参考資料も漁ってみるか……。

 俺はカラフルなソファーに腰かけて、資料を読み始めた。


 なるほど、この世界では占い師がなりたい職業1位。

 高収入、好待遇と良い事尽くめで人気なわけだ。

 でもこの辺りでは全然見かけてないな。やっぱ競争率高いのかな。



「兄さん、職探しかい?若そうなのに頑張るねえ」


「そうなんです、なかなか良い職が見つからなくて……」


「そっかー、どれどれお姉さんが少し見てあげよう……」


「えっ……」


 よく見たら全身ブルーのお姉さんじゃないか……。


 全身の服装が青で統一されている。

 同じブルーでも濃い藍色と薄いものを組み合わせていて、全体としてはうまくまとまっていた。

 そんなお姉さんにじいっと見つめられて少しドキドキした。


「あの……人の顔をじっと見て何かあるんですか?」


「まあまあいいからいいから、次は手を出してごらん?」


「は、はい」

 俺は優しく手を握られた。

 うまく乗せられている気がする。これがお姉さんパワーか……。


「どれどれ……ふむふむ……」


 手を握られてきゅんとしちゃう、俺も俺だけど……。



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