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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第四章 ☆もう一人の来訪者編☆
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いいえ、私のことはお気になさらず

「いや、シロン様は知らないはずですよね」


「まさか、本当にそんなことをする人がいたんですか?」


「そうですね、どこからかその情報が洩れて大変な思いをした人がいたと聞きました。

悲しいことです……」

 ミアは俯きながら悲しそうな声で言った。


「そうですね……」

 何かがあったんだろうね……。


「とにかくこの話は他言しないでください。

基本的に信頼できる占い師以外に中級以上のことを他言するのは禁止されています。

覚えておいてください」


「……わかりました。

あともう一つ、正統な継承者しか使えない能力というのはどういうこと?」


「それは、親が使える場合、その子供も使える能力です。

そうやって代々受け継がれてきた能力です……」


 つまり未来予知は、その人の親か子供しか使えないってことね。

 私が習得するのは無理なのか。残念。


「もう少し話をしていたいですが……今日はここまでにしましょう。

急に知識を詰め込みすぎも良くないですよ」


「そうですね、ミアちゃん教えてくれて本当にありがとう」


「いえいえ……シロン様のためですから」


 能力が身に付きました!



「……ペンダントが無いと、やっぱり落ち着かないです」



 シロンは夜、ベッドで一人考える。


 勉強して、外出して、協会支部に行って、お店巡りをして。

 あっという間に一日が終わってしまったよ。

 実に充実してたよね。


 でも今、現実世界はどうなっているのかな……。

 色々心配だけど考えても仕方ないか。

 時間が止まっているとかなら、いいんだけどね。

 未来が見える人に会ったら、そのこともわかるよね。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 シロンは朝早くから、ベッドから起きていた。

 今日は朝から目が覚めたよ。気持ちのいい朝だね。


「今日のあなたの運勢は……」


 シロンの頭の中で運勢を告げる声が聞こえる。

 ああ、またこれね。確か占いの書上級のどれかにその意味が載っていたね……。


「ピーキーケイオスシルバーソルトです」


 昨日もこんなんだったね。メモをしておいて、後で意味を確かめてみよう。

 

 ……その数分後、ドアをノックする音が聞こえた。


「シロン様、入らせていただきます」


 ミリアがシロンの部屋に入ってきた。


「シロン様、今日は起きられたようですね」


「そうだね。きっとミリアのお陰だよ」


「え?」


「昨日たくさん話して、起きれる方法も一緒に考えてくれたじゃん」


「そんな……私は何も」


「謙遜しなくても、とっても役に立ったよ、ありがとう」


 そして二人は仲良く食堂に向かった。



 さて、今日はどこに行こうかな。

 まだこの街で行っていないところに行ってみたいな。

 それでこの街を全て見終わったら、違う街にも遠出して……。

 

 そうと決まれば、早速地図を見てみよう。

 シロンはこの周辺の地図を広げた。


 あれ?ここは何だろう。何か書いてあるね。


 南東の方角。ここには立ち寄らないほうがいいです。

 占い師の恰好をした偽物や、薄暗い路地裏があり、大変危険です。


 行くなと言われると行きたくなるけど……。

 ちょっと見るぐらいなら平気だよね。

 危なそうならすぐに立ち去ればいいしね。

 シロンは、南東の方角に向かった。



 この辺りかな。


 昼なのに大きな建物のせいで出来ている陰の仕業で、薄暗い路地裏。

 周りにはそういう場所がいくつも見えた。


 たしか協会支部に置いてあった観光ガイドには、

 この辺りには運勢が悪くなっている人たちのたまり場と、

 裏に通じるお店があると書いてあったね。


 シロアは周辺を見渡した。


 これは……ちょっと想像してたのと違っている……ね。

 周りは表と違い、人や店が少なく賑やかさは消え、閑散としていた。


 華やかな街の裏の顔を見てしまったよ。

 もう少し何とかならないのかな。

 そういう人たちの居場所も確かに必要かもしれないけど。

 


 薄暗い路地裏では男たちの声が響いていた。


「本当なんだ、あの塔が黒く変わってから蔓延し始めたんだよ。

あの少年が悪さをしているのさ」


「あの少年?どこのどいつだ?言ってみろよ」


「誰だったか忘れたけど、情報屋に聞けばわかるだろ?」


 少年が塔を黒く?

 触れないほうが良さそうだけど、その情報は初耳ね。


「そんな金がどこにあると思ってんだ?」


「聞けばわかるんだから、嘘じゃねえって言ってんだよ」


「おい、お前らそろそろやめろ。神官様がお見えになっているぞ」


 大きな男がそういうと、男たちは皆一斉に姿勢を正した。

 そして少しの沈黙の後、一人の男が口を開いた。


「神官様、今日は一体こんなところに何の御用でしょうか?」


 さすがの神官の権力ね。何物をも寄せ付けない。


「いいえ、私のことはお気になさらず」


 いかつい人たちからは逃げましょう。そうしましょう。

 シロンはその場からすぐに立ち去った。


 ここでは裏の情報が得られそうだね。



 夜の食堂では、自慢の料理の数々が、溢れんばかりに置かれていた。


 毎日毎日よくやるね。今日の夕食も本当に美味しそうだね。


 毒見役の見習いメイドが料理を食べた後、皆でお祈りをして食事をいただく。


「美味しそう、ではいただきます」


「では私も……いただきます。

シロン様、今日はどこに行かれていたのですか?」


「今日?街の南東のあたりとか」


「あの辺りは危険ですよ」

 ミリアは少し声を張り上げて言った。


「大丈夫。ちらっと見て帰っただけだから」


「本当ですか?何かあってからでは遅いんです。あの場所は危険なんです。

もう行かないと約束してください。心配なんですよ」


「ありがとう。でも本当に何もなかったから……」


「本当に……無事でよかった……」


 こんなに心配してくれるなんて、ミリアも心配性だね。

 えらい神官が、酷いことされるわけがないのにね。



 今日はびっくりしたこともあったけど、やっぱり充実してたね。

 ……あれ、約束の日まであと何日だったっけ。

 あっという間に時が過ぎていく気がするよ。

 こんな毎日が、ずっと続いていけばいいのにね。


 でも、私をこの世界に呼んだ人ってやっぱり……。


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