私の占い力は11920です
シロンはお城の三階、勉強スペースで意気込んでいた。
よし、能力の事を勉強しよう。
なるたけ早く知識を身に着けておいたほうが実戦で役に立つよね。
それから出かけるのが効率的だよ。
まずはこの占いの書中級をささっと片付けちゃおう。
ひたすら読んでその知識を入れる。
重要な点を書き出す。
……こんな勉強なら一生やっていられるよ。
でも占いの書って誰が作り出したのかな。
こんなに詳細に書けるなんて。神官が束になって作ってるのかな。
でも私からしたら、能力なんてすこし邪道だな。
使えば簡単に占えたりするのは何かおかしいよね。
もちろん勉強をしなければ、能力は身につかないと書いてあるけど。
現実と違いすぎるよ。夢だから何でもありなのかもしれないけど。
早く占いの書中級を勉強し終えて、上級に移ろう。
能力が身に付きました!
能力が身に付きました!
◇
今日は行ったことのない、協会功国支部とやらに行ってみよう。
いったいどんな場所なのだろうね。
私は神官、とってもえらい。
なんてもう思わなくてもよかった。
本当に神官なんだから問題ないんだよね。
そうだ、地図を持っていたんだった。
シロンはこの周辺の地図を広げた。
功国協会支部が功国の中心点にあるね。大きな虹色の建物なんだね。
ここから南西みたい。
◇
ここは……。宝石をあしらっていてとてつもなく大きい。
まるで虹の宮殿。うちのお城とはまた違った良さがあるね。
早速入ってみよう。
宮殿の内部には虹の模様が一面に張り巡らされていた。
すぐに受付があり、フロアが上下左右に広がっている。
奇麗なところだけど……見入ってる場合じゃない。
確かここにくれば運命に導かれて、イベントが起こるんだよね。
まずは案内の人に聞いてみよう。
「すいません」
「はい何でしょうか。……ああ、シロン様ですね。お話は伺っております。
本日は、二階の二番の部屋で、ある占い師がシロン様を待っておられます。
どうぞ行かれてください」
「わかりました」
私を待つ占い師。さしずめ先生といったところかな。
私をこの世界に呼んだ人は本当に用意周到だね。
シロンは階段を駆け上がった。
◇
二階の二番の部屋にやってきたシロン。
ノックをして部屋へと入った。
「失礼します」
「こんにちわ、待っていました。シロン様」
これはまた随分と小さなかわいい子が来たね。
茶髪でボブのかわいい髪形に紫色のローブ。
紫色のバッジを身に付けている……。赤と青の能力を持っているんだね。
「シロン様、あんまりじろじろ見られると恥ずかしいです……」
「あら、ごめんなさい。でも占い師は
まず相手のことを見るのが基本だと本に書いてあったので」
「それはそうですけど……」
ミアはもじもじしていた。
なんだか可愛い。まるで小動物みたい。
「ごめんなさい……取り乱してしまって……。
この度シロン様の指導をするように言われたミア・ステイシーです。よろしくお願いします」
「シロンです、よろしくね」
会話の後二人は、虹色のテーブルの前に向かい合って座った。
「あの……指導といっても質問に答えるだけです。
わからないことがあったら、回答できることなら答えます」
「じゃあまず、ミアちゃんは今いくつなの?」
「……15歳です」
「そうなんだ、やっぱり若いね。あと、早速だけど能力を使ってみてもいい?
試してみたくなって」
「大丈夫ですよ」
「じゃあ早速、きええええええええい」
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青☆目視
対象者一人の占いの力の程度を見破る。
自分を基準に相手の力量を把握する。
力があるほど正確にわかる。
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ミアさんの力は6234です。あなたの力は11920です。
「……いきなり大きな声を出すから、びっくりしました」
ミアは両手で頭を抱えて、机にうずくまっていた。
「ごめん、ごめん、大丈夫?」
あの占いの塔の時に癖がついちゃったみたい。直さなくちゃね。
◇
「自分の能力を明かさないほうがいいらしいけど、目視って能力わかる?」
「わかりますよ、私も使えます。……あ、言っちゃった」
「私も言ったようなもんだから、お互いさまってことで納めましょ。
……それで力の数値の目安はどんな感じなのかな?」
「普通の、全く何も知らない一般人は100程度です。
ごく普通の新米占い師は3000程度です。神官様は10000以上です」
「なるほど、すごくわかりやすいね。
……あとこれも本に載っていないから聞きたいのだけど、
相手からの能力を防ぐにはどうしたらいいの?」
「それは……相手に自分のことがわからなければ問題ありません。
大体、相手に接触しなければ能力が使われることはありません」
「やっぱり名前も容姿もわからなければ、能力は使われない?」
「はい。見られることで発動する能力。名前と見られることが必要な能力。
ほかにも特殊な例がありますが、基本は名前と容姿を知らなければ使えません。
オリジナル能力のことはわかりませんが。あとは黒の能力のことも……」
「じゃあ例えば、近付く場合には覆面をして名前を出さなければ大丈夫?」
「シロン様、その話をどこで?」
ミアは深刻そうな顔をしながら言った。
「え?」