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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第四章 ☆もう一人の来訪者編☆
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私は神官……

 シロンは街に戻ってきた。

 うう、苦しい。歩いて少しでも運動しないと。夢だと思って調子に乗りすぎたね。

 確かにここは私が望んだ世界だけど、お腹の世界は現実じゃん。


 今のこの苦しさのせいで、夢と現実の勝負が5対5の割合で引き分けになってしまったよ。


 もしこの世界が現実なら何らかの影響で私はこの世界に来たんだよね。

 私は占いマニアだから運命に導かれて、とかだったら嬉しいんだけど……。

 原因はわからないよね。

 なんなら死んで転生説もあるけど、昨日は死ぬような運勢じゃなかったし。

 四柱推命でも、死ぬような年回りでは無かったはず。


 そういや今日の運勢はかなり良いはずだけど、この仕打ち。

 悪いことは起きないはずなのになあ。昨日から一日経っているならだけど。

 とりあえず、どちらにしてもこのあたりを散策して調査と運動をしないとだね。


 そういやここどこだろ、スマホでマップ見なきゃ。

 と思ったら、無いじゃん。私のスマホ。

 持ってきてなかったのかな?

 この世界に来た時のこと思い出さなきゃ。


 えーっと、私の目が覚めた時、持っていたものは……。

 パジャマは着ていて他には……。

 私のお気に入りの鞄も無かったし……。

 スマホは……。やっぱ一緒に来てなかったね……。


 こうなると今はなかなか厳しい状態なのでは?

 なんだか急に不安になってきたよ。スマホもお金も無いし。

 現実世界にどうにかして戻れないかな。

 夢なら起きれればいいんだけど、どうしたものか。



 太陽は、東から昇るから……。

 シロンは空を見上げ、太陽を観察した。


 太陽は歩いてきた方向にあったから、最初の白いお城は東にあって。

 今は西に歩いて来たでしょ?

 それでお店が西に続いていってるから、この辺りは商店街で……。


 地図がかけるといいんだけど、紙もペンもない。

 普通看板とかに地図を書いておくものではないのかな。

 科学技術がないなら猶更のこと。でも見回してもそんなものはない。


 ああ、誰か……スマホをくれなんて言わない。

 せめて地図みたいなものを私に恵んでおくれ。

 ……なんて願っても、無理か。

 このままでは、夢と現実の勝負がついに、ひっくり返ってしまいそう。


 ……なんだか向こうからくる風が心地よいね。あっちの方に行ってみようかな。

 シロンは街から北を目指し、歩みを進めた。



 シロンがきょろきょろしながら歩いていると、背後から一人の青年に声を掛けられた。


「神官様。何か、お困りですか?」


 うわ、びっくりした。急に話しかけられるなんて。落ち着いて、念じなければ。

 私は神官……。私は神官……。


「そうですね。少し道に迷ってしまって」


「それは大変ですね、きっとこの辺りは初めてだったのですね?」


「そう、ですね」


 うーんこれは。困ったときに現れるイケメンか。どうしたものかな。

 私にはイケメンは信じるなという、揺ぎ無い信念があるので。


「地図を携帯していないのですか?」


 こういう時、どう言えばいいんだろ……。


「……部下に、渡したままで」


「ああ、護衛の方に」


「そう、護衛です」


「でしたら、ここから北西の方角に占いの塔があります。あちらの方角です。

そこなら地図もありますし、占い師も居られます。きっと神官様の助けになるでしょう」


「わかりました。教えてくれて、ありがとう。行ってみますわ」

 何なのその心に響く単語は。


「もしまた会えたらでいいので……いやなんでもないです。頑張ってください」


 そう言うと、青年はどこかに走り去っていった。


「あっ」


 行っちゃった。何を言いかけてたんだろう。珍しく、良いイケメンだったね。

 しかし、なんだかさっきから頭が騒がしい。


 能力が身に付きました!

 能力が身に付きました!

 能力が身に付きました!

 能力が身に付きました!

 能力が身に付きました!

 能力が身に付きました!


 うん? やっぱりなんだか頭が変だね。

 頭の中で文字が浮かんでくる。不思議な感覚だ。


 能力?まさか、白いお城にあった本に書いてあったことって本当にあるの?

 頭に浮かんでくる文章はなに……。


 まあいいや。さっき聞いた占いの塔とやらに行ってみるしかないね。

 なんだか聞いただけでワクワクするね。

 占いの塔。一体どんな建物で、中では何が行われているのかな。

 実に気になる。

 向こうの方角……。ここからでは塔が見えないけれど。運動にもなるだろうし、歩こう。



 ふう。結構歩いたけどようやく見えた。白くて大きな塔。

 こんな場所に占い師たちが集っているなんて。

 すごく良いね。ここでまた夢と現実の勝負が引き分けになったね。


 そしてシロンは占いの塔の入り口の扉の前までやってきた。


 入っていいのかな。なんだか威圧感がある。

 嫌なものじゃないんだけど、なんていうか……。

 入ったらすぐに占い師さんがいる光景が目に見えて……緊張。

 

 ああ、もう大丈夫。やっぱりこれは夢だった。

 占いの塔なんて建物があるんだもの。

 私の夢に違いない。

 夢と現実の勝負は6対4になって再び夢が勝ち越した。

 よし、私は神官……。そう、とっても偉い人。私は神官になりきれるの。


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