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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第四章 ☆もう一人の来訪者編☆
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これが国産A5ランクの牛肉の力か

 そうだね。ここは本名をもじった、あの名前にしよう……。

「シロン・メッカというのですよ」


「あの……」

 青い服の女性は少しうつむきながら言った。


 あれ、どうしちゃったの?私何か変なこと言った?


「さ、最高ですね、お名前。姓名判断的に最高のお名前ですよ。

やっぱり神官様になられるお人は、生まれた時から最高のお名前を授かるんですね。

シロが入っているなんて何てことでしょう。

生まれた時から、未来の境遇さえも決まっていたのですね」

 青い服の女性は興奮気味に言った。


「それはどうもありがとう」

 だよね、姓名判断で最高の運勢を叩き出したこの名前。

 さすが私の夢!よくわかっている!

 その辺の住民の会話すら本当に気分がいい。


「では、私はこれで。励むように」

 なんだか位が上の者らしいので、それなりのことを言って去ろう。

 まあ夢なんだし、これくらいいいよね。


「はい。話を聞いてくださり、ありがとうございました。神官シロン様」


 そう言うなり、青い服の女性はニコニコしながら立ち去っていった。


 やっぱりここは私の理想の夢の世界らしいね。

 こんな服を着ていても怪しまれるどころか、尊敬の眼差しだ。

 お姫様じゃなかったのは謎だけど。

 神官か。良いじゃない、神に仕える身。

 さっきの様子を見るに、民に憧れられる職業なんだろうね。

 こういう普通に生きていたらなれない職業、一度体験してみたかったんだよね。


 じゃあもう少し、この世界を探索してみますか。



 シロンは良い匂いに惹かれて、ふらふらとあるお店の前までやってきていた。


 この街の建物はどれも派手だけど、このお店はまた一段と豪華。

 ここはどうやら飲食店らしい。キラキラした看板が実に縁起が良くて好きになる。

 私、お金無いけど食べられるかな。高そうなお店だけど。

 なんだかお腹空いてきたんだよね。

 これは夢の世界だったはずなのに、おかしいな。でも中が気になるから入っちゃおう。


 シロンはその衣装に負けないぐらいの気持ちで、堂々と店に入った。


 中もやっぱり良い感じ。

 清掃も行き届いているようで、店内はピカピカ。

 装飾と相まって正しく煌めきを感じとれるような雰囲気だった。


 シロンが飲食店に入ると、注文係と思われる派手なスーツを着た男性が近寄ってきた。


「神官様、よくぞいらっしゃいました。

今すぐに、できる限りのお料理を持ってきますので、どうぞあちらでお寛ぎください」

 派手なスーツを着た男性は丁寧に挨拶をし、シロンを案内した。


「ありがとう、よろしくね」

 さすがのVIP待遇、わかってるね。

 しかしなんでお腹が空くんだろう、夢なのにね。

 でも夢でも別に食べ物って食べれたよね。そうだよね。


 シロンは案内され、カラフルなソファに腰かけた。


 なかなかにしっくりくる良いソファだね。これならまったりできそう。


 曇り一つないこの窓から、外が見えるんだね。

 シロンが窓から外を見ると、派手な街が一望できた。


 ここから眺めていてもわかる。やっぱり私が望んだ快適な街だ。

 なんでこんな街が現実には無いんだろう。外国とかに行けばあるのかな。

 夢が覚めたら、ネットで探して早速旅行の計画を練らなくては。


 覚えとくんだよ、私。



「お料理をお持ちしました」


 ほんの数分で先ほどの注文係が、料理を抱えてやってきた。


 次々と置かれていく料理はどれも彩り豊かで、まさに見ても楽しめるものであった。

 独特な形をした色とりどりの食器に、料理が見事に収まっていた。


 すごい。高級食材で机が埋め尽くされていく。

 私、絶対こんなに食べきれないよ。あ、でも夢だから食べられるかも。


 高そうな肉。ただ焼いただけなのに、絶対的に美味しそうなステーキ。

 みずみずしい大きなサラダの器と、色々なフルーツが盛られたスイーツ。

 あと高そうだけど、何かよくわからない食べ物もちらほら。

 私は食べ物のことよくわからないけど、これ絶対おいしい奴だ。

 兎に角、早く食べたい!


「ではどうぞごゆっくりお寛ぎください。何かあればそこにある呼び鈴をお鳴らしください。

それでは」

 派手なスーツを着た男性は丁寧にお辞儀をし、去っていった。


 料理が出そろったみたい。今日はとびっきりのチートデイね。


「いただきます」


 まずは、このステーキを一口。


「う、ま」


 あ、あれ?普通に食べれた?夢なら普通味とかわかんないよね。

 でも味が鮮明にわかる!

 夢なら太らないから永遠に食べられる!

 なんてすごいのこの夢の世界は!


 口の中ですぐにとろけて無くなるステーキ。

 こんなにすぐ消えてしまうなら、いくらでも食べれる気がする。


「これが国産A5ランクの牛肉の力か」


 一度は言ってみたかったけど今やっと言えた。そのぐらい美味しいな。

 シロンは次々と料理を食べ進めていった。



「だめだ、もう入らない」


 普通にお腹は膨れた。なんで膨れたの。まだ料理は残っているのに。

 次第にある予感が頭に浮かんできた。


「まさかこれは、夢じゃないの?」


 そして顔をつねる。痛い。

 でも夢でも痛みは感じる時もあるから、あはは。


 そして行きたくなるトイレ。

 あーあ?夢でトイレぐらい普通に出てくるしね。



 そういやお会計どうしよ。

 でも夢だしね。でも現実かも。

 まだ夢のほうが勝ってるから。7対3ぐらいの割合で勝ってるから。

 街を見ても、どう考えても私の想像どうりの街だしね。

 この衣装も……。これが現実なわけがないって。

 よし、じゃあ店を出よう。まだまだ見てみたい場所がたくさんあるんだし。


 シロンは立ち上がり、店の出口を目指した。



 派手なスーツを着た男性が、出口付近の受付で待っていた。


「ありがとうございました。神官様」


 ここは神官という上の立場を利用してうまく乗り切るのよ、私。


「ゆっくり寛ぐことが出来ました。ありがとう」


「いえいえ、ありがたきお言葉に感謝です。ではお会計のほうは……」


「え」


 動揺しないで、私。そう、これは夢。私は神官、とってもえらい。


「あ、れ、で……」


「ああ、わかりました。すぐに気付かずにすみません。では協会のほうに……」


「ああ、そうね。教会のほうに請求しといてくださる?」


「かしこまりました。あの……失礼ですがお名前のほうは……?」


「シロン・メッカですよ、神官シロン・メッカ」


「さようでございますか。では神官シロン様のお名前でご請求させていただきます」


「そうね、よろしくおねがいするわね」


「では神官シロン様、お気をつけて」


 何とか乗り切れたけど、架空請求しちゃった。

 まあ夢だからどうでもいっか。そんなことより今はお腹が苦しくってよ。



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