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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第三章 中級 占い師の仕事編
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初仕事開始

「じゃあ明日、さっそく仕事にいくわよ」


「明日から?早いですね」


「それで今回の仕事内容だけど、運勢を悪くした輩が徒党を組んで潜伏している場所があるみたいなの。

地図でいうとこのあたりにアジトがあるらしいの」


 セリスは懐から地図を取り出し、クロアに見えるように広げ、とある範囲を丸で囲んだ。


「彼らが何かをしでかす前に、なんとかして更生させるのが今回の仕事なの」


「それってもう、占い師の仕事の範疇超えてないですか?」


「クロアは知らないかもしれないけど、占い師の仕事って結構なんでもやるの。

表には出てこないけど裏では動いているの。だからとってもやりがいがあって、尊い仕事なの」

 セリスは自慢げに話した。


「そうだったのか、ただ人を占うだけかと思ってた」


 もはや何でもありなんだ。元の世界の感覚は忘れたほうがいいのかもな。


「まあ実情を知らない一般市民にとっては、ちょっと刺激が強い内容かもね」


 正式な占い師は大変なんだな……。


「ところで占い師の基本は知っているわね?」


「基本?」


「戦わずして勝つよ」


「……」

 あれが基本なのか?


「クロアは何にも知らないのね。まあいいわ。

だから矢面から正面突破なんてもってのほか。いかに相手を裏で操れるかがカギなの」


 そんなのもはや占い師じゃねえ。スパイとかの仕事じゃん。


「何か言った?」


「いいえ、なにも」


 うっかり思ったことを声に出しそうになった。


「とにかく明日アジトの近くの町で待ち合せましょう。作戦等はその時に話すわ」


「わかりました」


 ……いよいよ初仕事か。

 セリスさんは上から目線な所はあるけど、力は俺と同等みたいだし頼りになりそうだ。

 向こうにはこちらの力がわかってないみたいだけど、俺の力を見せつければ同等だとわかるだろう。



 クロアとセリスはアジトが近くにあるという場所を訪れていた。

 セリスが情報を集め、アジトの大体の場所を特定できていた。

 町の近くの路地裏の薄暗い場所に、二人は身を隠していた。


「この先にいるんですか?やっぱり強面の人たちなんですかね?」


「静かに。あまり大きな声を出すと相手に気付かれるわ。

まずは青の能力で相手を探知して。できるわよね?」

 セリスは小さな声で言った。


「え?できませんが?」

 クロアはひそひそ声で言った。


「何か索敵ができる能力は持っていないの?」


「うーん……ないなあ」

 念じて手持ちの能力を見るも、クロアにはそんな能力はなかった。


「そんな?エルク様から能力を受け取ったんでしょ?

ならばあるはずよ。エルク様の能力の数はすごい量だと聞いたことがあるわ」

 セリスは少々早口になりながらも、囁くように言った。


 ……ということはまだあるのか?貰っているのに使用できないエルクさんの能力が。


「今、力の勉強をしてるんですけどね。まだ力が足りない感じで……。それでまだ無いのかと」


「まったく、仕方がないわね。私の能力で何とかしましょう。クロア、見破れる能力はある?」


「はい」


「それなら遅かれ早かれ見られてしまうだろうから、先に見ても良くってよ」


「ではお言葉に甘えて」


 セリスは念じて能力を発動した。

 クロアは能力を見破った。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 オレンジ☆チョイスロット

 対象者一人の運命を手繰り寄せる。いくつかある運命の選択肢の中から選ぶ。

 力があるほど正確に願った通りに変わる。

 セリス・メルヴィルにしか使えない。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「能力がうまく使えたわ。少し待っていて」



「小汚い一人の男がアジトから出てきましたよ」


「クロアの能力で何とかして情報を探ってくれる?」


「わかりました、やってみます」


 これは刹那の能力の出番かな。

 えーっと……。俺に情報を話してくれる運命に変える、という感じか?

 クロアは刹那の能力を使った。



「……無事に向こうの人数と、アジトの場所を聞き出すことができましたね」


「お手柄だったわね。じゃあ今日はここまでにして……」


「この後はどうするんですか?何か良い手はないんですか?」


「あるわよ。でもそれには時間がかかるの。だから今日から数日間は遊ぶことにしましょう」

 セリスは少し上機嫌な声で言った。


「なるほど……。運命を変えるのに時間がかかるんですね?」


「まあそういうことね。なにせ複数人の運命を変えるのだから」


「複数人の運命を変えられるんですか?」


「そうよ?でもそれには時間がかかるから数日は暇になるの。だからさ、私とデートでもする?」


「デ、デート?」



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 今日はセリスさんに遊びに誘われた。これは仕事だ。

 そうだ。デートなどというものでは決してない。


 セリスさんは言ってたな。

「仲良くならないと協力も連携も取れないの。だから親睦を深めましょう」

 そう言われて急遽買い物につき合わされることになったのだ。


 クロアはアジトがある場所の近くの町で、セリスと待ち合わせをしていた。

 この町は活気付いていて、いろいろなお店が町の至る所にある。

 買い物や観光にはうってつけの賑やかな町であった。



 クロアが待ち合わせ場所で待っていると、セリスがやってきた。


「待った?まずはショッピングに行きましょ」


「いえ、待ってないです」


 最近の俺の運勢はどうなってんだろ。

 朝の運勢を聞くと何となく良くなってるのはわかるんだけど、

 結局肝心のその意味が分からないからな。

 少なくとも金運と恋愛運が上がっているのはひしひしと感じる。


「……何か考えてる?今は仕事のことは忘れて楽しみましょ」


 表情に出てしまってたか。それともセリスさんは表情を読むのが得意なのか。

 でもそんなことはどうでも良かった。今は目の前の仕事に真剣に取り組むだけだ。

 これはデートにあらず。


 それからクロアとセリスは親交を深めていった。



「なんだろう、これは」


 面白そうなアイテムが売っている。透明なのに光り輝く水晶玉か。

 何故か不思議と興味を惹かれてしまう。


「これは占った相手の、少し先の未来が見えるアイテムよ」


「そうなんだ」


「結構オーソドックスなアイテムなのだけど」


「勉強不足ですいません」


「でも条件があって、まず占い師の力が一定の値ないと扱えない。

あとは赤の能力を持っていないと発動できないの」


「ふーん、それなら俺は扱えそうです」


「たとえ扱えてもね、結構なお値段するの。まあ私ぐらいになれば余裕で買えるんだけどね」

 セリスは自慢げに言った。


「そうなんだ。買うか迷うなあ」


「買うつもりなの?何か見たい未来でもあるの?」


「まあ何かの役に立つのではないかと」


 クロアは水晶玉の隣に書いてある注意書きをよく見た。


 数回使うと壊れる可能性があります、と書いてあるな……。

 さすがに何十回もは使えないんだ。これは使い捨てなのか……。うーんどうしようかな。


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