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世界は占いに支配されている 【第三部開始】  作者: 米 春幸
第三章 中級 占い師の仕事編
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オレンジ色の占い師

 クロアは一緒に仕事をする占い師を、シークスフィア協会功国支部で待っていた。

 少し早めに着いたのもあってか、妙に落ち着かない様子だった。


 ここで待ち合わせているんだけど……ペアを組むのは誰なんだろうな。

 ペアを組む占い師。おそらくこの辺りで活動している占い師だろうな。

 だとすれば……あの三人の内の誰かかもしれない。

 そうだとしたら、気が知れてるから逆にやりやすいのだけど。



 クロアの方に、一人の女性が近づいてきた。

 淡いオレンジ色のローブに身を包み、どこかほんわかとした上品な出で立ちだ。

 そしてオレンジのバッジが胸元に輝いていた。

 

 オレンジの女……。

 

 そして二人はさっそく自己紹介をし始めた。


「セリス・メルヴィルです」

 セリスは名を名乗ると、礼儀正しくお辞儀をした。

 その立ち振る舞いには、どこか気品があった。


「クロア・ナッツォです」


 相手の力はどんなもんなんだろ。

 クロアはすかさず能力を発動した。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 青☆目視

 対象者一人の占いの力の程度を見破る。

 自分を基準に相手の力量を把握する。

 力があるほど正確にわかる。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 セリスはあなたと同等程度の力です。

 これは……。俺と同等の力を有するとは、やりますねオレンジの女。



「私は今、この辺りのリーダーを任されているの。

実力は神官に一番近いと言われているのよ」


 それ自分で言うのか?またちょっと変わった人が来たな。


「私この仕事が終わったら神官になれると約束されているの。

だからあなたには全力で私のサポートをしてほしい。ええと、クロアでしたかしら?」


「そうですね」


 随分と上から目線だなあ。


「そういえば、黒の素質を持っているというのは本当なのですか?」

 セリスは少し不安そうに言った。


「……そうですね。今はその力を自分で制御できているので何も問題は無いですよ」


「本当に?」


「一応ゾル様のお墨付きです」


「ゾル様がそう言われるなら、問題ないんでしょうね」

 そう言うとセリスは安堵の表情を見せた。


 神官ゾルはやっぱり権力あるんだな。この権力はうまく使っていかなくては。


「そういえば神官ゾル様について、どの程度知っていますか?」


「……正直あんまり知らないです」


「良ければ少し話しましょうか?」


「じゃあ」


 クロアは神官ゾルについてセリスから話を聞いた。

 この国で神官になってから、すぐに別の国を転々としていた話。

 緑の神官はこの世界では彼しかいないということなどを。



「色々教えてくれて、ありがとうございました」


 さすがにこの辺りを仕切っているだけはある。

 話もこちらに合わせてしゃべってくれて、聞き取りやすかった。

 どうやらコミュニケーション能力は高いようだ。


「いいえ。これから仕事をするバディだもの。どうせなら仲良くしましょう。

年も同じくらいだろうし、敬語もやめて気楽に話しましょ」


 バディって、なんかカッコいいな。


「……いいですよ」


「ではなくて」


「ああ、いいよ」


 なんだか違和感がまだあるが……。


「それでお互いの能力について、ある程度知っておいたほうがいいと思うの。

簡単でいいから手持ちの能力を教えあいましょう」


「……そうだね、じゃあ自分から。

たぶん知っていると思うけどエルクさんに能力を貰ってるから、色々な能力が使える。

バッジを見ればわかると思うけど白の能力も」


「白の能力……」

 セリスは少し俯き、考え込むような表情をしていた。


「どうかしましたか?」


「いいえ、なんでもないわ。ありがとう。

色々な色の能力が使えるのは頼もしいわね」


「そうですね、使いこなせないと意味ないけど」


「そうね、きっと私のほうがうまく使いこなせると思う。それじゃあ鬼にこんぼうよ」

 セリスは自信満々に答えた。


「それどんな例え……?」


 なんかさっきから上から目線すぎません?


「……それでセリスさんの能力は?」


「詳細には教えられないけど、大体のことなら。

赤と黄を混ぜた色がオレンジなのはわかるわね?」


「ということは赤の能力と黄色の能力が主にあるってこと?」


「そうね、もちろんオレンジの能力もあるわよ」


「それはどういった感じの能力?」


「運命を選べる能力、と言ったらわかりやすいかしら。私だけしか使えないオリジナル能力よ」


「オリジナルの能力?」


「知らないの?世界でたった一人にしか得られない能力のことよ。能力の説明文に書いてあるはず」


「そうなんですか」


「クロアも今知ったなら、そんな能力が自分にもあることに気付くかもしれないわね」


 どれどれ……?あ、あった。こういうのかな?


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 赤☆刹那

 対象者一人の運命の一つを一瞬のうちに変える。

 複数の人間の運命が絡み合う場合は無効になる。

 力があるほど正確に願った通りに変わる。

 エルク・ウィンにしか使えない。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 俺は能力を貰ったから、使えるってことなのか。

 しかし刹那がエルクさん専用の能力だったとは……。


「実戦で使うこともあると思うから詳しいことはその時にして、今はここまででいいでしょう」


「わかりました」


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