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世界は占いに支配されている 【第三部開始】  作者: 米 春幸
第三章 中級 占い師の仕事編
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緑の神官

 今日は神官ゾルに呼び出されていた日だ。

 あの日俺は刹那を使って、神官ゾルに助けてもらったわけだけど。

 すぐに実力を認められて、とんとん拍子に事が決まって。

 成り行きで正式な占い師になれちゃうらしいんだよな……。


 正式な占い師になればいろいろとメリットはあるが……。

 逆にデメリットもあるかもしれないと思っている。



「相変わらず立派で派手な建物だな」


 クロアはシークスフィア協会支部を訪れていた。

 中に入り、受付で聞いた部屋へ歩みを進めた。


 クロアは数回ドアをノックしてから、虹色の扉を開けた。


「失礼します」


 そこには白と緑の混じりあう立派な衣装に身を包んだ、神官ゾルが椅子に座っていた。

 がたいは大きく貫禄があった。


「やあ、クロア君待っていたよ、そこに座って話をしようじゃないか」


 そう言われるとクロアも虹色の椅子に腰かけた。


「先日はどうも。今日はよろしくお願いします」

 クロアは軽くお辞儀をした。


 神官ゾルは胸元に輝く緑のバッジをしている……。

 緑とは即ち黄色と青で緑。だから黄色と青の能力に長けているらしい。


 バッジの色は四種類だと思っていたのだが、

 この国ではまだ認可が下りていないだけで、他の国には混色のバッジがあるという。


「何かお話があるようで……俺は本当に正式な占い師になってもいいんですか?」


「そりゃあもちろん。やっぱり君の能力を見ていたら見過ごせなくなってしまってね」


 神官ゾルには緑の能力もあるのだろう。

 おそらく人を見る能力だろうと推測している。


「じつは、協力して欲しいことがあってね。だがその前にまずは君に正式なバッジを渡そう」


 神官ゾルは光り輝く白いバッジをクロアに手渡した。


「君の素質はグレーだ。私は素質の色が見える能力を持っているんだ。グレー、わかるよね?」


 やはり能力があったのか。

 つまり白と黒の素質が混じり合っているということか。


「意外と自分自身の素質が何色かわからないものは多い。

そもそも能力がないと、確実な色はわからないんだ。

それがわからないと困るから、シークスフィア協会にはあるアイテムが設置してあるのだが」


 アイテム?自分の素質の色がわかるアイテムか……。


「話が少しそれたね。とにかく今はグレーを渡すわけにもいかないので、

君には白いバッジを授けることとなった」


「はい、ありがとうございます」


「これで君も立派な正式占い師だ。取り合えず君は中級の占い師だ。

それを常に目立つところに……できれば胸元あたりにつけていてくれたまえ」


 クロアは胸元に白く輝くバッジを付けた。


「そういえばこれって、占い師の素質の色を表してるんですよね?」


「必ずしもそうではないよ。

今君の素質がグレーなようにね。一番似ている素質の色にしていると思うが……。

みんな大体は色が交じり合っている、単純な色の人は寧ろ少数派さ」


「なるほど」


「そういえば、君の黒の素質についてだが」


「はい」


「本来ならシークスフィアの教えに反するのだが……。

大神官様のお許しが出たのでね。大丈夫、周りにはうまく話をつけておいた。

大神官様の力は偉大だからね」


「そうでしたか」

 大神官とは……?


「実は君の実力を大神官様に伝えたら実に興味深いと言われてね。

それで黒の素質があれど、正式な占い師として迎えることになったんだ」


 大神官の権力が逆に怖いな。

 すごい能力を持っているに違いないんだろうけど。


「えーっと、それでね、少しの間一人の占い師とペアを組んで仕事をしてほしいんだ。

良い仕事をしてくれたら君を神官に格上げすることも考えている」


「本当ですか」


「ああ。そういえば君は、白の能力チェンジが使えるんだって?

それだけで神官になれる条件は満たしているよ」


 どこからばれたんだろう。


「だから仕事をこなせば神官になることも可能だろう。頑張ってくれたまえ。

もちろんそれに見合う報酬は用意しよう」


「はい、できる限り頑張ります」


 これはいよいよ運勢が上向いてきたな。

 神官になることが出来れば、この世界の頂点の職につけたと思っても良いだろう。

 その上の大神官というのが少し気になるけど。



「そういえば、君は神官エルクと知り合いなんだよね?」


「まあそんなところです」


「いや能力を貰うということは仲間か?

いやそれ以上に信頼関係があるのかもしれないな」


「何か気になることでもあるんですか?」


 それから神官ゾルは、時折興奮気味に長々と話を続けていった。


「神官エルクはすごいんだよ。

私があんなに苦労した神官にあっという間になってしまった。

その実力は間違いなく、世界最強だったんだよ。

私にとっては突如現れた天才だったんだ。それでね……」


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