あの力で俺はこの世界に呼び出されたんですか?
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「久しぶりだねクロアくん。元気にしてたかい?」
「エルクさんのせいで散々な目に合いましたよ、今まで何をしていたんですか」
「まあそう怒らないで、こっちにも都合があるんだ」
「ビアさんに捕まりそうになったんですから」
「それは……大変だったね。どうやら相当力をつけたようだね」
「そりゃあ身を守るのにも、力が必要ですから」
「でも能力を授けたから、助かっただろう?」
「そんなことぐらいじゃ、まだ俺の怒りは消えませんけどね。
まずは俺をこの世界に呼んだ理由を教えてくださいよ」
「それは今はまだ話せないかな……。
でもそろそろ少し難しい話をしても良い頃かもしれない」
「何のことですか?」
「黒の能力のことだ」
「黒の能力?」
「君がこの世界に来ることになった元凶の力さ」
「ええ?今さらっと言いましたけど。
あの力で俺はこの世界に呼び出されたんですか?」
「そうだよ。黒の能力で君はこの世界に来た」
「たしか白い塔で俺から溢れ出した力ですよね」
「世間ではもう無かった事にされていているが。実際、裏ではまだ存在しているんだ。
黒の能力は黒の素質を持っていないと得られない。
最も今はシークスフィアでは黒の素質を持つものは縁起が悪く、黒い災いをもたらす者として恐れられている」
「なるほど、それで俺は捕獲対象に」
「そしてその素質は今君の中にあるんだ」
「じゃあ俺は黒の能力を使えるってことですね?」
「そうだね。君は占い師に力があることは知っているよね?」
「いや具体的にはよく知らないですが。能力の説明文に書いてある、あの力ですよね?」
「そうか……なら今君はそれを学ぶべきだね。
それがわからないと黒の能力を使えるようにはならないだろう。
力は何をするのにも必要でとても大切なものだ。
……そろそろ別れの時間のようだ、ではさらなる成長を期待しているよ」
「あ、ちょっとまっ……」
「一つだけヒントを教えてあげよう。凝視を自分に発動してごらん?」
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やっぱ勝手だよな、エルクさんって。
最初に能力をくれたのだけはいいけど、そのあと音沙汰なしだったし。
今回は黒の能力について教えてくれたから、少しは助かったけど……。
しかし凝視を自分に発動か……。早速試してみますか。
クロアは能力を使い、自分の能力を見破った。
自分の能力が頭に浮かんでくる……。
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黒☆ガード
相手から能力を受けた時、自動的に無効化する。
力が大きいほど正確に無効化できる。
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なるほど、確かに黒の能力が発動している。
しかもこれは自動的に常に発動するものらしい。
「あれ?ちょっと待てよ?」
……今一度確認したが、自分から発動する能力の一覧に黒の能力はなかった。
黒の能力はこれだけしかないのか。
そういえばエルクさんは、占い師の力が関係してくると言っていたな。
どうやらこれからはその辺りを学ぶ必要がありそうだ。
……確か占いの書中級の最後のほうの内容にそんなことが書いてあったような。
最後のほうはよく読んでなかったんだよな……。今からでも軽く読んでみるか。
クロアは少し厚みのある、占いの書中級をカラフルな本棚から取り出しペラペラと捲り始めた。
……あったあった、これだ。
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占い師の力がないと、能力の本来の使い方がわからなかったり、
本来の力が出せなかったりします。
また能力を会得していても力が足りないと、思うように扱えません。
力を得るために必要なことは……
占いの勉強をする。
能力を使う。
能力を使わずに人を占う。
などの方法があります……。
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ふーんやっぱりゲームみたいな感じなのね。
つまり力はレベルみたいなもので、占いの経験値がたまれば言い訳か。
じゃあレベルを上げるには、やはりこれまで通り勉強して実践あるのみだな。
それ以外は何かないかな……?
おっ、これも気になる内容だな。
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運勢を良い方向に変化すると色々な運が、どんどん良くなっていきます。
総合運、恋愛運、仕事運、金運、健康運など内容は多岐にわたります。
自分の運勢の今の状態は、毎日の朝の運勢で確認できます。
占い師は、これを良くしていくことが欠かせません。
まずは自分の運勢を良くすることが、他人の運勢を良くする事の近道なのです。
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なるほど。俺は運勢をチェンジというチート能力で良くしているが、
最近良い事ばかり起きるし、悪いことはほとんど起きてない。
数か月前の生活が嘘みたいだもんな。それほどまでに運勢というものは重要なんだな。
この世界で占い師が何故人気で、安定した職なのかようやくわかったな……。
◇
あとは……。緑の神官ゾルさんに呼び出されていたから会わないとな。
聞きたいこともいろいろあるし。能力の副作用とか……。