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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第二章 中級 能力登場編
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四月の誕生石はダイヤモンド


「ということは、二日後に俺とビアさんが合う運命が確定してるってこと?」


「はい」


「例えば……どんなに逃げても捕まるの?」


「はい……」


「そんなのおかしくない?」


「おかしくないです」

 ミアはきっぱり言い切った。


「なんでわかるの?」


「わたしの能力で……わかったんです。

でも出会うことだけが運命なので、事がどう運ぶかはわかんないです」


「どうにも信じられないな。まさか今までの話全部嘘ってことは……」


「そんな……ひどいです。あんまりです」

 ミアは泣くようなそぶりを見せた。


「ご、ごめん。でも確証がないと」


「仕方ありません……私の能力を教えますね。私の能力は紫……」


「今、使ってみれる?」


「わかりました、クロア様は能力で見破れるんですね?ではどうぞ見破ってください」

 そういうとミアは瞑想を始め、能力を使い始めた。

 クロアは能力を使い能力を見破った。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 紫☆運命透視

 対象者一人の運命を視る。視る時期を指定できる。

 相手の事がわかるほど正確にわかる。

 正統な……しか使えない。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「これは……」


 どうやらミアちゃんの能力は本当のようですね。


「この能力を使って決行日の運命を見たところ、

クロア様の家の場所が判明したので、ここにやってきたんです」


「なるほど。中々便利な能力だね」


「いいえ、この能力には弱点があります。

第一に相手の誕生日がわからなければ、まったく意味がないんです。

第二に自分の運命は全く見えません」


「なるほど、誕生日なんて普通はわからないから……。って占い師ならわかるじゃん」


「クロア様の誕生日は、ビア様に聞いちゃいました」

 ミアはてへっという仕草をした。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 紫☆運命透視

 対象者一人(自分以外)の運命を視る。視る時期を指定できる。

 相手の事がわかるほど正確にわかる。

 誕生日を知らなければ無効になる。

 正統な……しか使えない。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



「もし俺が捕まったらさ、どうなると思う……?」


「今使える能力は剥奪されちゃって、

ビア様の下で一生暮らす感じかもしれませんね」


「そんな……」


「クロア様にはエルク様が本当についているんですよね?」


「ついてる?まあそんなところです」


「それでエルク様の能力が使えるんですよね?」


「まあもう隠す必要もなさそうだし、そうだよ」


「それでしたら方法はあるかもしれません」


「方法?じゃあまさか俺を助けてくれると?」


「協力はします」


「まじですか。でもさ、なんでそこまでして俺を……?」


「それはですね……。エルク様は私の憧れなので」

 ミアは急にもじもじして、目をキラキラさせて言った。


「エルク様の味方のクロア様は私の味方なのです」


 ふーん。そういうことね。エルクってイケメンだし、力もあるし、

 権力もありそうだし、もてそうだもんな。いや、わかるよ。


「あとは……何で何も悪いことをしていないのに、

クロア様は捕らえられなければいけないのかな……と思って」


 うん。やっぱこの子良い子かも。


「少しだけ……エルク様との昔話をしてもいいですか?」


「まあちょっとは気になるし、いいよ」


「ではお言葉に甘えて」



 ミアはとても嬉しそうに昔話をし始めたのだが、

 話は延々と長く続き……。クロアは途中から話半分に聞いていた。

 どう考えても美化されてるだろ……。とクロアは思った。

 そして要約すると、こんな感じであった。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 当時のミアは、運勢が悪く、様々な問題を抱えていた。


「あーあ、もうだめかも……運勢を変えたいのに。

正式な占い師さんは見つからないし……家族は病気になるし……」

 

「お嬢さんお困りですか?」


 神官エルクが颯爽と登場。

 もちろん光り輝く衣装を着ていて、ミアには一層輝いて見えた。


「あなた……もしかして占い師様?」


「そうだったらどうします?」


「お願い、助けて」


「そうだ。星占いって知ってるかい?」


「知らない」


「じゃあ……お嬢さんの生まれた月は?」


「四月」


「……。そうかい、それならこれをあげよう」


 そういうとエルクは、手に溢れんばかりのダイヤモンドが入った袋をミアに優しく手渡した。


「わあああ……。綺麗」

 ミアが袋を覗くと、そこには輝きの空間が広がっていた。


「お嬢さんはこのダイヤモンドを持ってシークスフィアに行くんだよ。

そこできっと運勢が良くなる。お金はこれを少しづつ売って稼ぐんだ。

四月の誕生石はダイヤモンド、それがキーワードだよ」


「はい、救われた命。大切に生きます」

 ダイヤモンドの袋を両手いっぱいに抱えたミアの目も、ダイヤモンドと同様に輝いていた。


 刹那、私を救ってくれたエルク様のたった一つの能力。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 赤☆刹那

 対象者一人の運命の一つを一瞬のうちに変える。

 複数の人間の運命が絡み合う場合は無効になる。

 力があるほど正確に願った通りに変わる。

 エルク・ウィンにしか使えない。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 長々とミアの話が終わった後、続いて首元のダイヤモンドペンダントの話が始まった。

 だがどうにか話題を変えて、クロアは話を打ち切った。

 

 要するに、貰ったダイヤモンドの中でも一番大きなものをペンダントにして、

 毎日常に首にかけているらしい。それで運勢はとても良くなったということだ。



 そしてその後ようやく、話はクロア捕獲作戦に戻った。


「あの……お金はありますか?」


「まあ無いことはないけど?」


「お金があれば、姉を仲間に引き入れることができるかもしれません」


「えーっと……確か」


「ミル・ステイシーです」

 確か営業スマイルする真面目な人だよな?


「じゃあお金を用意すれば、こちらについてくれると?」


「そうですね……私からもお願いすればきっと。仲間にいたら心強いです」


 なんであの赤いお姉さんは、あんなにお金に執着しているのか。

 ま、あんまり踏み込まないほうがよさそうだな。


「それでクロア様はどうするおつもりですか?

戦うようなことはお勧めできません。違う国に逃げるしかないかもです」


「そうか……。戦うか、逃げるか、話し合うか……。

出会ってから逃げるという選択肢もあるってことかな?」


「はい、出会うことだけが現在確定した運命です」


「どうやって決めるか……だな」


「あの……それと、もう一人協力者がいるんです」


「誰?」


「アイさんです」

 ……?ああ、青いお姉さんね。


「もう彼女とは話がついています。

アイさんはこちら側に協力してくれると言っていました」


「そうだったんだ。ありがとう。

でも何故俺とリンさんが知り合いだと知っているの?」


「それは秘密です」

 ミアは少し嬉しそうに言った。


 協力してくれるのはありがたいけど、大丈夫なのかな?リンさん。



 その後、ミアはクロアに占いの知識を教え、満足した様子で帰っていった。 


 どうやら明日も家に来るらしい。まあ、その好意はありがたいのだけど……。


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