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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第二章 中級 能力登場編
13/128

赤の時代が来た

 能力が自由自在に使えるようになってきたな。

 クロアは目を閉じ念じながら、瞑想をする。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 白☆チェンジ

 対象者一人の毎日の運勢を変える。力が大きいほど思った通りに変えられる。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 これはなかなか使える能力だな。


 普通こういうチート能力には、デメリットが存在すると思うのだが……。

 今のところ念じるのに多少時間がかかる事以外、不都合は出ていない。


 瞬時に出ないとなると……。

 寿命が縮まるとか、そのうちすべての能力を使えなくなるとかか?

 それか、今まで良くしてきた運勢が……。

 いつか自分に悪い運勢として降りかかるとかだろうか?


 そんなことはないのだろうか……?不安になる。

 俺の元の世界での創作物の知識が、安心の肯定の邪魔をする。


 でも神官さんは日常茶飯事に使っているだろうし……。


 そうだ。神官は別にビアさんだけじゃなかったな?

 たしか俺の調べによると、この功国にはビアさん含め数人いたはずだ。

 その人たちを見つけられれば、何か秘密がわかるかもな。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 運良く億万長者になったトム・ベイノンは、今日も必死に占っていた。


「今日はどのようなご用件で?」

 ミルの営業スマイルが炸裂した。


「今日はこの犬の運命を占ってもらいに来ました」


 シルバーの首輪にカラフルな洋服。

 その犬はトムと比較すると、とても小さく見えるのだが実際は大きかった。


「まあお可愛いワンちゃんですこと、お名前は?」


「パラダイスです」


「まあ、とても縁起がいい名前ね」


 ミルは屈んでパラダイスにも笑顔を振りまき、頭を撫でた。

 パラダイスは尻尾を振って、その喜びを示した。


「それで……今度の週末ドッグレースがあるんです。

それに出場して……できれば優勝してもう一山当てたくて……」


「なるほど。それはいい考えですね、ではいつものように」


「よろしくたのみます」


 そう言うとトムは、ミルに重みのある封筒を手渡した。

 ミルは大事そうにその封筒を懐にしまった。


「ではまずはパラダイスちゃんの生年月日を教えてください」


「えーっと……」


 トムは、パラダイスの情報を詳細に教えた。

 するとミルは水晶玉に手を翳し、のぞき込み念じ始めた。


「はっ……」


 ……暫しの沈黙の後。


「そうですね、パラダイスちゃんが優勝できる運命にあるのは、

今度の週末の第三回戦、夜8時のレースです。

優勝することができれば、とても大きな賞金を手に入れることができるでしょう」


「そうですか!わかりました!」

 トムは大きな声で返事をした。


「いつも言っていますが、運命は完全確実ではありません。お忘れなきように」


「そういって当たるんでしょう?90パーセントは当たるらしいじゃないですか」


「10パーセントを侮ってはいけませんよ」


「そうですね、一応気を付けます。ありがとうございました」


 そういうとトムはニコニコしながら、パラダイスを引きつれ店を出た。


 ミルはそれに付き添い、営業スマイルで見送った。



「まあこれで良くなれば吉、悪くなってもまた次があります」



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 クロアは神官の居場所を聞くため、シークスフィア協会支部を訪れていた。


 功国の中心部に聳え立つ、ひと際大きな建物。

 外壁は虹の色で埋め尽くされ、ところどころに宝石があしらわれている。

 内部には色鮮やかでカラフルな、虹を模したカラーが溶け込んでいる。


「くっ、シークスフィア協会め」

 つい出てしまった愚痴を飲み込みながら、クロアは虹のソファに腰を掛けた。

 

 先ほど聞いた話では、神官さんの居場所を知るには、お金がいるらしい。

 お金は運勢が良くなるにつれ、徐々に舞い込んできているのだが……。

 まだそこまでの額ではなかった。


 残念なことに、俺の今の能力では神官さんの居場所を知ることができない。


 ……こんな時は赤の能力。

 だがこの系統の能力は今、圧倒的に経験不足だ。

 能力を授かったのは良いが、使いこなせなければ意味がない。


 確か占い中級書には青の能力で相手を知った後、

 赤の能力で運命を変えることが基本だと書いてあった。

 黄色はいらない子なんだよなあ。


 えーっと、今役に立ちそうな手持ちの赤の能力は……。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 赤☆刹那

 対象者一人の運命を一瞬のうちに変える。力があるほど正確に願った通りに変わる。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 今回はこれを使ってみるか。


 ビアさんじゃない神官さんにすぐに会える会える会える……。

 ビアさんじゃない神官さんにすぐに会える会える会える……。


 クロアはできる限り念じて、能力を発動した。



 そしてその時はすぐに来た。

 シークスフィア協会支部の建物内に、アナウンスが聞こえた。


「先ほど神官ゾル様が功国にお戻りになられることとなりました。

至急、手の空いたものはお出迎えに出発してください。繰り返します……」


「……すごい効果だ」

 なるほど赤の運命を変えるのはかなり使えるな。

 まさか向こうから来てくれる運命になるなんて。

 なんなら青と黄色はいらないんじゃないか?


 俺の中で赤一強説が浮上した。



 近くまできたら、神官様とやらに会いに行くとしますか。

 ……でもこの辺りまで本当に来るかはわかんないよな。

 赤の能力がちゃんと発動しているならば、向こうからこちらに来るはずだけど。

 地図で功国がどのぐらい広いかとか、どこにどの町があるかとか、色々と確認しておかなくては……。

 

 あとはお金のほうも何とかしないとな。

 生活費はもちろん、これから活動していくうえで、いくらあっても困らないはずだし……。


 何か手っ取り早く稼げる方法があればいいんだけど……。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 私はこの小説の特別な設定が好きです。 [気になる点] 非常に強力なストーリー [一言] ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 暇があればまた来ます
2023/11/09 20:23 退会済み
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