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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第十一章 異世界の謎編
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ねえ、それを私たちも覗いてみたくない?

「ほほう……やはり出たか」


「どういうこと?おじいちゃん、この色は何色なの?だいぶ光り輝いているけど」


「この色はな、黒と白の複合色じゃ」


「ねぇもしかして、この出てくる珠って」


「うすうす気づいていたようじゃな?勿論おぬしは気づいておったことだろう」


「割と最初からわかってましたね」


「自分の持っている能力の色だね」


「そういうことじゃな、輝きは能力の強さを表しておる」


「なんともいえない、きれいな色の珠だね」


「まあその話はあとにして、わしの最後の番をやらせておくれ」


「えー?でも黒白の珠の得点はどうなるの?」


「最後に説明することとしよう」


「……まあ、そのほうが今はいいか。じゃあ、おじいちゃん頑張って」


 そして老人は紫の珠を出したのであった。



「それで?この場合はどうなるんです?」


「グレーなどの珠に得点は用意しておらんかった」


「やっぱりそうだよね、ルールだから仕方ないね。

じゃあクロアは最後が0点ってことで、おじい様の勝ちだね」


「そうじゃな、わしの勝ちじゃな」


 なんでそうなるんだよ。


「でも、複合色は3点と言ってなかったですか?」


「それはあくまで赤青黄の混合色の話じゃ、これは例外じゃよ」


「確かに最初にそういってた気がするよ」


「でもこれも混合色だと思うんですけど?」


「でもおじいちゃんルールでは違うらしいよ?」


「そんなの詳しく聞いてないですし」


「ちゃんとルールは守らないとね」


「……うーむ、これでは埒が明かんな」



「こほん、では今回は引き分けといたそうかな」


「えー?それじゃあ賭けたものも全部無意味ってコト?」


「まあ引き分けっていうんなら、仕方ないですかね」


「……そこで提案なんだが」


「……?」


「どちらも賭けたものは渡すというのはどうかな?」


「おじい様!」


「ま、まあそういうことなら、別にいいですけど……?」

 お金に余裕があるにはあるからな。


「ということは、このアイテムが私のものになるということだね」


「だから、あげないですって」


「えー、けち」


 青いお姉さん、ちょいちょい性格悪くなってないか?

 ……いや、元からか?



「ところでおじいさんって、もしかしなくても有名な人でしょ。

さっきの珠が出たってことは、白の能力も持ってるってことだもんね?

それって神官クラスってことでしょ?」


「まあ昔は多少有名ではあったが……今は名もなきただのじじいじゃよ」


「そういえばお名前は何ていうの?最初に聞くべき事だったけど」


「……すまんが名前は、ここで言うことはできんな」


「それは自己防衛のためですか?」


「それも勿論あるが、ある人に口止めされていてな。すまんの……」


「そうですか」


「せっかく親しくなれたのに、名前も知れないなんて。何だか残念だね……」


 この老人、神官クラスの力を持っていてエルクさんの知り合い……。

 それでいろいろな事を知っている。これはもう少し素性が知りたいところではあるな。



「それで何か知りたい情報はあるのか?約束じゃからわしが知っていることなら教えよう」


「じゃあ……この国が他の世界に似ているということについて、もう少し詳しく聞きたいんですが。

知ってますか?」


「それも歴史や魔法なんかと関係あるのかもしれないね」


「……うむ。ひとつ考えられるのは、人を呼び寄せる魔法が昔から使われていたのが原因かもしれん。

その影響で、この国が他の世界の文化を持ち始めるようになってしまったのかもしれんな」


「昔から別世界の人を呼び寄せてたのかな、あの能力まほうで。

おじいさんはもちろん、その能力についても知ってるんだよね?」


「そうじゃな、黒の能力は昔あった魔法と密接な関係があった。

魔法はその昔、四つに細分化されていたのだが、それがそのまま能力として残っておるんじゃ」


「黒い炎の能力まほうは、絶対攻撃魔法だね」


「なるほど……理解できました。では、最後にもう一つ質問いいですか?」


「いいだろう」


「この世界の異様な占い信仰については。

……昔は魔法を信仰していたが、それが置き換わったってことでいいんですか?」


「まあ、歴史書から考察するに、そういうことじゃろうなあ」


「クロア、そんなこといちいち聞かなくても私でも分かったけど?

それに能力まほう能力うらないも大して違わないじゃん」


「……」


「じゃあ、私からもひとつ質問いいですか?」


「……仕方ないのう、なんじゃ?」


「おじいちゃんはこの前の大神官の事件、もちろん知ってるよね?

あれってひどいと思わない?私も詳しくはわかんないけど、要はクロアがいいように操られてたってことでしょ?」


「……そうじゃな。それについては難しい問題じゃな。

なかなか良いリーダーがいなかったから、それも影響したんじゃろう。困りもんじゃ」


「だからこれから連合がそれを変えていくんだよね?」


「そうなるといいが……。本来なら未来予知の能力で何とかなるはずなんじゃがのう」


「その昔に……黒い能力がこの世界から無くなっていれば、平和な世界だったのにね」


「そうじゃのう……」


「こっちの世界のいざこざのために、別の世界から人間が呼ばれる。

またこんなことがあったら、たまったもんじゃないよね……」


 ……そしてクロアはその後約束通りアイテムを買い、老人と別れた。




 本当の最初まではわからなかったけど、この世界のことがより深く理解できたな……。


「それで?どうする、これから」


「そうですね……」


「すっきりできたし、元の世界に帰っちゃう?」


「いや、もう二度とここに来れないなら……」


「来れないなら?」


「まだ、やるべきことがある気がする」


「そう。じゃあ私はやっぱり帰ろうかな」


「そうですか」


「ここで引き留めてもいいんだよ?もう少し私と一緒にいたいって言っても」


「いや帰って、どうぞ」


「……今度クロアと会うときはいつだろう。

もし私が元の世界に帰ったら、もう二度と会えないかもね」


「そうですね……」


「さみしくない?」


「いや、ぜんぜん」


「……ビア様や私を呼んだ人の未来予知の能力があれば、そんなの全部見えるのかな?」


「そうです、ね……」


「ねえ、それを私たちも覗いてみたくない?」



「……?」


「能力は無理でも、そんな効果があるアイテムがあるらしいよ?」


「それは……」

 確かにそんなアイテムもあった気がするな。


「でも私には扱えないからなー?」

 チラッ。


「そんな目で見つめても、俺は協力しませんよ?」


「くっ、今や私よりも力は遥かに上だったか……」



「そういやさ、元の世界に戻っても……もしかして能力って使えるのかな?」


「さ、さあ……それはどうでしょうね?」


「その反応はさ、使えるってことだね?一度帰ったクロアならそれを知ってるはずだよね?」


「……さあ?」


 その時、クロアの黒☆ガードの能力が発動した。


「こんなことで俺に能力を使うのはやめて下さいね?」


「だって気になるじゃん。教えてくれたっていいのにさ」


「言わないほうがリンさんのためになる気がしますが?」

 この人絶対良いことに使わない気がするよ。最初は俺を騙していた前科もあるし。


「知ってたら、もっと能力を身につけて帰ったほうが絶対得じゃん」


「ほら、その一言だけで何だか悪い予感がしますけど?」


「なんでそうなるの?向こうの世界の平和のために使うんじゃん」


「またまたそんなこと言って」


「ね、教えてよ?悪いようにはしないからさ」


「……」


「……わかったよ、取引をしよう?ね?」


「取引?」


「私も情報をあげよう、とっておきのをね」




「それなら向こうの世界でやりたい放題じゃん」


「……」

 やっぱり言うんじゃなかった。


「んじゃ、私はこれで。やっぱりもう少し能力を身につけてから帰ることにするよ。

クロアも帰る時は教えてね、見送りに行くからさ」


「来なくてもいいですが?」


「何でよ?クロアと私の仲じゃん?お互いに帰るときは見送りに行こうよ」


「必要ないのでは?」


「ほら、帰ったらさどこに着くかわからないし、下手したら一生会えなくなるかもよ?」


「会わなくていいですけど?」


「……あ、もう一つ聞きたかったんだった」


「何ですか?」


「帰ったら元の世界のどこに着くの?」


「それも言わなきゃいけないんですか?」


「さっきはそれに見合うぐらいの情報をあげたと思うけどな……?」


「わかりましたよ……。普通に呼ばれた時の場所に戻るだけです」


「そっか、それなら一安心だ。じゃあこれでほんとうにお別れ、ね……」


 そして青いお姉さんはどこかへと駆けていった。

第三部はこれにて完結です。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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