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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第十一章 異世界の謎編
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運は実力

「そして、賭けるものは何がいいかな?」


「別に何でも……と言いたいですけど、何か有益な情報とか持ってますか?」


「ふむ……ないこともないな。おぬしの知りたい情報もあるかもしれん」


「じゃあそれで」


「それでおぬしが賭けるものはなんじゃ?」


「俺が賭けるものか……」


「クロアに賭けれるものなんてあるの?」


「俺も情報って……訳にもいかないか」


「それならシンプルにお金でいいんじゃない?

このあいだ、大神官様にたっぷり貰ったと聞いたけど?」


「なんでそれを知ってるんですか?」


「そりゃあ、わたしは情報通だからね」


「それならこういうのはどうだ?

わしが勝ったらこのアイテムをおぬしに買ってもらおう」


「おじいさん、それいいアイデアだね!

それでクロアは私へのお礼として、そのアイテムを私にプレゼントしてくれるわけだね」


「なんでそうなるんだよ」


「それもよかろう」


「おじいさんありがとう、わたし精一杯応援するよ」


 青いお姉さんは一体どっちの味方なんだ。



「すっかり話が長引いてしまったな。まずはそのアイテムを振って中の珠をシャッフルするんじゃ」


「はい」


「では強めにシャカシャカと振ってみい」


 クロアは筒状のそのアイテムを、強めに数秒間振った。

 三人はそのアイテムをじっと見つめていた。


「じゃあ本番じゃ、次はゆっくりと振って珠をだすんじゃ」


「あの、これよく見たら穴とかどこにも空いてないんですけど?」


「そりゃあそうじゃろう、珠は物理的に出てくるわけじゃないんじゃ」


「クロア、わかってなかったの?これは魔法のアイテムなんだよ?

その中から珠が魔法のように飛び出してくるんだよ」


「まあ、そういうことじゃな」



 クロアは速度を変えつつ、アイテムを左右に振った。

 しかし珠はなかなか出てこなかった。


「……一向に出てきませんね」


「そもそもどういう仕組みで出るんだろう?おじいちゃん、何かコツはないの?」


「……ううむ、もう少し精神を集中して振ってみるといいかもしれんのう。

あまり強く振らなくてもいいんじゃ」


 クロアは精神を集中させて、一振りした。


「あ、今もしかして」


 その声を聴いた老人は、首を横に振った。


「……ようやく出ましたね」


 アイテムから珠が下にすっと落ちたが、クロアはそれをキャッチした。


「見せて!

……ふむふむ珠は結構綺麗な青色だね」


「で、この珠の輝きはどのくらいなんですか?」


「青の能力を使うと、アイテムに数字が浮かび上がるはずじゃ」


「じゃあ私の出番だね……」



「……輝きは3と表示されてるよ、これで中間なんだ」


「ということは合計で6点じゃな」


「最初にしてはまずまずなんじゃない?」


「そうですね」


「じゃあ次は、わしの番じゃな」


 そういうと老人はアイテムを手に取り、青い珠をアイテムに戻した。


「これで元通りリセットされる」


「珠がまたアイテムに吸い込まれていったね、うーん……不思議な仕組みだね」



「かるく、かるくじゃ」


 老人はアイテムをそっと振った。


「あ、珠が出てきた」


「え?」


「黒い珠だ……」


「わしも最初からついてないの……」


「おじいさん元気出して、まだ勝てるからね」


「でも、これ割と輝いて見えるな」


「もしかしたら、最高の輝きなのかもしれないよ」


「そうかもしれんの」



「とても惜しかったけど……輝きの値は4だよ」


「残念じゃの」


「6対0か……。でもまだ勝負は最後までわからないし」


「じゃあ次は俺の番ですね」


「クロア、ちょっとは手加減してあげて、相手はおじいちゃんなんだから」


「はいはい、そうはいっても出てくる珠はランダムだからな」


 ……この感じ、なんだか前にやったトランプ勝負を思い出すな。



「えーっと……珠は緑で、輝きは2だったか」


「じゃあ5点だね……。おじいちゃん、このままじゃ負けちゃうよ。頑張って」


「うむ……。では少し気合を入れるとするかのう」


 老人は目を閉じ集中して、アイテムを振った。


 コロンと音を立てて、光輝く珠が姿を現した。


「白い珠じゃない!?」


「……これはどうやらそのようじゃな」


「なんか物凄く光り輝いている気がしますね。

こんなにも色が確認できないくらい、光るものなのか」


「そりゃあそうだよ!最大の輝きなんだもん、表示は5になってるよ」


「やはり最大だったか」


「5だけど体感では、10であってもおかしくないぐらいだね」


「これが実力というものじゃな」


「え?」


「いやなんでもない、次はおぬしの番じゃ」


「……これで11対10か、ほぼ並んだじゃん」



「いよいよ、俺の最後の番か」


 そういや前に誰かが言ってたっけ。

 この世界では運も実力のうちじゃなくて、運は実力だっけ。


 しかしさっきのお爺さんの珠は……。

 さすがの俺も何かを感じ取ったが?

 能力の使用はだめといっていたが、嫌でも気づいちゃうよね。


「クロアも気合入れないと負けちゃうね?

まあ私としては、どっちが勝ってもいいんだけどね」


「そうですね、まあ俺もどっちが勝ってもおかしくはないと思いますよ」


「ほほう、いいおる」


「じゃあ俺も気合入れてみようかな」


「ここで10は出さないでね?おじいちゃんの負け確になるから」


「保証はできないですね、俺の真の実力が出ちゃうかもしれませんから」


「それじゃあ、勝負がつまらないでしょ?どうかほどほどにしてよ」


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