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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第十一章 異世界の謎編
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この世界の歴史

「……昔、この世界に魔法使いがいてな。

ただの魔法使いではない、一人の大魔法使い。

その人物がこの世界を今のように変えたといわれている」


「なるほど……」


「その時、魔法はこの世界にありふれていた。

大魔法使いは魔法を封印して、今の、占いと結びついた能力が世界に浸透するようにしたらしいのう」


「ふーん……」


「じゃあ能力は元々は魔法だったってことですか」


「それが置き換わったということじゃ。

元々の魔法が強力だったために、今の能力も強力になったと言われておる。

それでそれを効率よく利用していくために、大神官制度が始まったんじゃ」


「最初の大神官は当然、その大魔法使いってことだね」


「それが今まで代々伝わってきたと」


「そういうことじゃな。初代の大神官は全ての魔法を扱えたといわれておる。

そして自分の能力まほう能力うらないを皆に渡していったと伝えられている」


「能力を渡すあの能力か……」


「黒の能力はその、元々の魔法の名残の能力なんじゃ。

本来初代の大神官は、白の能力が世界各国にいきわたるようにしていたんじゃ。

それが一番、人が幸せになれると思っていたんだろう」


「それでうまくいってたの?最初は」


「さあ、それは歴史書に載っていないから、詳しくはわからないがな」


「でもあの事件があったから、結果的に未来にはおかしくなったわけだけどね」



「……それでその時に黒の能力はこの世界から消えたはずだった」


「だけど、現れたんだね?」


「俺みたいなやつが?」


「それがどこから現れたかは知らないが、いたようじゃな。

それが歴史書の隠されたページには書かれているんじゃ……。

そしてそれを初代の大神官は治めたらしいが、

黒の能力は人々に隠されながらも陰で存在し、恐れられるようになったわけじゃ」


「ふーん、そういうことだったんだ。だから黒の能力は特別視されて恐れられていたんだね」


「……」


 初代の大神官が能力まほうを封印して能力うらないに変えた。

 魔法の力が残ったのが黒の能力。でも黒の能力も初代の大神官が封印した。

 でも残っていた……。それは魔法を完全に封印しきれなかったのか。

 それとも別の世界から俺みたいにやってきたのか……。


「これが歴史書に書かれている一番重要な話じゃ」



「……クロア、どう?これでスッキリした?」


「割とね」

 まだ疑問点は残るが。


「世の中に言いふらしても、あまり問題なさそうな内容だったけど」


「確かにそこまでの意味は持っていなそうだけど。

秘密にされてるってことは……そういうことなんでしょうね」


「まあお金にもならなそうだし、言いふらす必要もないから言わないけどね」


「ほんとにそうしてくださいよ、俺にまで被害がきそう」


「いや、だから言わないって」


 そう言って、明日になったら言いふらしてそうなんだが?



「ところでおじいさん、これは何?」


 老人の部屋の机の上には、様々なアイテムが散らばっていた。


「カードを作っているんじゃ」


「カードってタロット?トランプ?

それともこの世界特有の能力を秘めたアイテムですか?」


「全部じゃ」


「すごいね、ここから色々なアイテムが作られていたんだ」


 そう言うと老人は一つのアイテムを手に取った。


「どうだ?わしと一戦やらんか?」


「まあ別にいいですけど?」


「このアイテムでギャンブルをするんだね?

じゃあ私、審判やる。今の二人にはわたしは勝てそうにないしね」


「そうじゃな……。せっかくだから何か賭けようかのう?」


「それもいいかもしれませんね」


「ところでおぬし、これが何か知っておるか?」


 老人は手にしている、煌めく色をした筒形のようなものをクロアに見せた。


「いや、知らないですけど」


「これをこう持って左右に振り続けると、

中から色のついたカラフルな珠がランダムに出てくるんじゃ」


「なるほど、これは面白いアイテムですね」


「これで勝敗を決める、輝きが大きい珠ほど得点が高いんじゃ」


「これきれいだし、面白そう!ねえ、どこから珠が出てくるの?

私もこれ欲しいんだけど」


 青いお姉さん、はしゃぎすぎだろ。


「まあまあそう急ぎなさるな。言っておくが、このアイテムは高価じゃぞ?」


「えー、どのくらいですか?」


「そうじゃな……神官様の一か月の給料分ぐらいじゃ」


「たっっか」


 確かにあまりにも高すぎるな。


「まあこのアイテムの効果は中々のものだから、仕方ないじゃろう」


「きれいだし、効果もすごいなんて」


「それでこれにはどんな効果があるんですか?」


「それは、今は言わないほうがいいじゃろう。……この一戦が終わったら話すとしよう」


「それまでのお楽しみってことですね?」


「そういうことじゃ」


 青いお姉さん、完全にこの場に馴染んでるな。



「じゃあこれを渡そう。……まずは、おぬしの番からじゃな」


「高価だから壊さないように取り扱うんだよ」


「そうじゃよ」


「はいはい」


「ルールは簡単じゃが、説明しておこうか」


「じゃあ、お願いします」


「さっきも言ったが、このアイテムを左右に振ると中から珠が出てくる。

くれぐれも取り扱いには気をつけてな。出てきた珠の色と輝き具合によって得点は変わる。

色は能力の色に対応していて、赤青黄は1点、その混合色は3点、白は5点じゃ。

そして珠の輝き具合に応じて、1から5点のボーナスがつくのじゃ。

三回繰り返し点数の多いほうが勝ちじゃ」


「ということは最高で白の珠の10点ってことだね」


「そういうことじゃ」


「珠が能力に対応しているなら……黒色もあるんじゃないの?」


「そうじゃな、滅多に出ることはないと思うが、入っておるはずじゃ。

しかしそれは0点、じゃが例外として輝きが最高な場合だけ10点となるのじゃ」


「ふーん、それなら一発逆転も狙えるね。でも輝いてないとダメなんだね……」


「そこがこのゲームの面白いところでな。

一目見ただけではその珠がどのくらいの輝きがあるかということはわからないのじゃ」


「なるほど、ぱっと見ただけではそれが何点かわからないんだ。

どうやってその輝きを確かめるの?」


「青の能力を使えばわかるはずじゃ。そしてそれをするのがお前さんの役目じゃよ」


「なるほど……。それを私だけが知れるんだね、それは何というか……適任だね」


「そしてこれが最後のルールじゃ、このゲームは常時能力の使用を禁止して行う、いいな?」


「はいはい、わかりましたよ」

 ルールは割と簡単だけど、能力は禁止か。


「じゃあ私は二人を能力を使わないように、見張ってるわけね」


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