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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第十一章 異世界の謎編
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一回殴ってもいいですか?(物理)

 組織の者が捕らえられてから数日が経った。

 この世界も、やっと落ち着きを取り戻してきたといえるのだろうか。


 大神官にも話をして、お礼と共に明国のこの宿屋の辺りで自由に過ごしていいといわれた訳で。

 俺はここ数日はのんびりと休暇を過ごしていた訳だが……。


 ビアさんは結局まだ本調子ではないらしく。

 俺が元の世界に帰る能力を使えるようになるまでは、この世界で過ごさなくてはならなくなった。


 ……することがあったんだよな。今は誰かの命令とか仕方なくとかじゃなくて。

 ずっと気になっていることがあった。


 この世界は、一体なんなんだろう。

 そしてそれを知っている人は……あの人以外にいるまい。



 さて、エルク氏についに借りを返させる時が来たか。


 情報屋に聞いたところによると、エルクさんは今は牢屋から出させられて、

 見張り付きの条件で今はこの明国内のどこかにいるらしい。


 まずは直接会って話を聞かなくては……。

 聞けばきっとわかる。俺にはその予感がある。

 そのためにはまず、エルクさんの今いる場所がわからないとだな。


 そしてクロアは占いの城へと足を踏み入れた。



「セレネさん、数日ぶりです」


「アロクさんどうも。あ、今はもうクロアさんと呼んで良かったんですよね」


「もうどっちでもいいよ、呼び方なんて」


「この数日、ゆっくりお休みになられましたか?」


「まあね。ようやく一仕事終わって、落ち着いた感はあるね」


「……ビア様は今、感情のコントロールの方法を占い師たちに教えられてるらしいですよ」


「そうみたいだね、それで変なことにならないといいけど」


「ビア様にかぎってそれは無いですよ」


「まあね……」

 そういうことじゃなくて……。

 あの修行の日々を思い出すと……色々心配になるということなんだけど。


「それで今日は何か御用ですか?」


「ああ、人を探していてね」


「なるほど、じゃあすぐに私の能力で探ってみますね」


「何だかセレネさん、上機嫌のようだね?」


「そりゃあ、あれから給料も上がって私の実力も認められて、良いこと尽くしですからね。

もしかしたら神官にまでなれるかもしれないんですよ」


「なるほど、それは機嫌もよくなるわけだ。

……そういや、あの姉妹はあの後どうなったか知ってる?」


「今は……丁度見張り付きの条件で牢屋から出られてるみたいですよ?

ちょっと前にここにもお話に来られました」


 エルクさんと同じ感じか。


「そっか、あの二人もある意味被害者みたいなもんだもんね」


「そうなんですよ。あの家系に生まれたばっかりに……。

もし良かったら暇な時にでも話に行ってあげてください」


「え、俺が?」


「二人ともクロアさんと一度じっくり話しをしたいと言っていました。お礼がしたいとも」


「まあそのうち時間があれば、ね」

 そういえばあの後、連合の人たちがすぐに来たから二人とは全然話せてなかったんだよな。


「じゃあ、今は……その探し人がいる場所を地図に記しておきますね」


 クロアはその後、セレネからエルクの場所が記された地図を受け取った。


 さて、これですぐにでも会いに行けるわけだが。

 ……ちゃんと聞きたいことを頭に纏めておかないとな。

 あの人にまたはぐらかされるわけにはいかない。



 エルクさんはどうやらこの建物内にいるようだな。


 明国のはずれにあるカフェ、そこにエルクは見張りとともにいた。



「それで今日はどうしたんだい?英雄君」


「会って早々その呼び方はやめてくださいよ。それに俺だけの力でやったわけでもないし」


「いや、それでも良かったんじゃないか?

実際君の周りで色々な事件があったわけだけど、今はこうして平和になった。

事情を知っている者からすれば、君がこの世界を救ったというのも同然だろう?」


「俺を煽てても意味ないですよ?俺もようやく色々わかってきたんで」


「そうか……。君も成長したんだな?」


「さあ、でもエルクさんほどじゃないと思いますけどね。

……それで聞きたいことがあるんですけど?」


「なんだい?私の知っていることであれば教えよう」



「この世界の事、知ってますか?」


「随分と漠然とした質問だね」


「うーん、なかなか具体的に言いづらいんですけど。

俺からするとこの世界にはいろいろと思うことがあって……」


「つまりこの世界の成り立ちとかに、興味があると」


「まあ、そういうことですね」


「……それなら兵士の街にこの世界について詳しく書いてある歴史書があるから、

そこで話を聞くといいかもしれないな」


「あの街には確か昔の武器とかありましたよね。随分昔のことで忘れてましたけど」


「そうだね。ここで簡単に話してしまうのは難いが。

今言える範囲で言うと……少なくとも君たちの世界はこの世界に関係しているということだね」


「俺の世界が?」


「何らかの理由で関係しあっている。

こちらにはそちらにある文化も入ってきているだろう?」


「確かに、それは薄々感じてました」


「……やはり詳しく知りたいなら、兵士の街に行ってみるといい。

行くべき場所も教えよう。そこには私の知り合いの老人がいるから、話もつけておこう」



「あの、最後に一ついいですか?」


「なんだい?」


「あの人とはどうなったんですか?」


「どうなった、とは?」


「いや、そのために俺を呼んだんでしょ?俺にも聞く権利があると思いますが」


「そのことなんだが……」



「え、じゃあ大神官にそうなる運命になるようにされていたと?」


「まあ、結果的にそういうことになるのかもな」


「じゃあ、あの時言ったことは嘘だったんですか?」


「いや、そんなことはないよ。それはそれで本心だ。

昔から思っていたことだからね」


「じゃあ……」


「……今は普通に付き合っているが?

最近会えてないんだ。どうも色々と忙しいらしくてね」


「は?」


 恥ずかしそうな顔して何言ってんだこいつ。

 一回殴ってもいいですか?(物理)


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