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世界は占いに支配されている 【第三部開始】  作者: 米 春幸
第二章 中級 能力登場編
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再会の青お姉さん

 てっとり早く占い師のスキルを高めたいな。

 いくつかの書籍で学んで大体の知識は身に着けたし。

 あとは実践だが……。


 あの塔はあんなことした手前、行けるわけないからな。

 この辺りでどっかになかったっけ……。


 そう言えば……。

 あることを思いついたクロアは、職業協会へと足を運んだ。



「ここに来るのも久しぶりだな」

 入り口を抜けると、相変わらずの派手な内装が目についた。


 ここには占い師が集まってくる。

 職を探す人は、占い師にとって良いお客なのだ。


 どれどれ今ここにいる占い師は……。



「あー!見つけたー!」


 あ、青いお姉さんだ。

 青いパーカーに青いジーンズ、青いキャップ。

 やっぱり全身青コーデで決めていた。

 やっぱそれどう見ても、占い師の恰好じゃないよ。


「……」


「さすがにひどいよ。私を捨ててビア様を取るなんて。私、あの後泣いてたんだから」


「すいません、どなたですか?」

 とぼけた顔をするクロア。


「ちょ、それはないでしょ!いくら何でも私が人を見間違えたりしないよー」

 手でツッコミを入れるリン。


「ナイスツッコミです」



「すいません、リンさん。悪乗りが過ぎました」


「もう……悪い冗談はやめてよね。あれっ、でも何か変だな」


「あっ、わかります?」


「障害がなくなっている」


「そうですね」


「どうなってるの?」


 そういうとリンは、クロアをまじまじと見つめた。

 するとクロアも、リンをまじまじと見つめ返した。


「うわあ……すごい……ね」



 ……青の能力を使ってリンさんを見たところ、どうやら力は断然こっちのほうが上らしい。

 これはうまく話せば、色々なことが聞けそうだ。


「実はですね……」


 こそこそと囁くように耳打ちする。


「えええ、すごいじゃん。じゃあ独学で占いを勉強したと?」

 リンは驚きながら、声を大にして叫んだ。


「声が大きいですが。はい」


「どうやら見たところ、なかなかの力を持っているらしいね。

この短期間でどうやってこれほどまでに……?」


「ははは……運がよかったのかな……?」


 不思議そうに首をかしげるリン。


「運勢もかなり良くなっているし……。

これなら正式な占い師にもすぐになれるんじゃない?」

 少し興奮気味にリンは言った。


「そうかも知れませんね」


「くっそー、ここで思わぬライバル出現かー」


「まだ正式になると決まったわけでは……」



「……そういえば白の能力のことなんですけど」


「白?」


「白の能力についてだけは本に載ってなかったんですよ」


「ああ、あれはシークスフィアに通っていないと教えてくれないかもね」


「情報が欲しいんですけど、何か知っていませんか?」


「教えてあげたいんだけどね……」

 リンは少し俯いて話した。


「……お金ですか?」


「それも欲しいけどさ、あんまり他言できないんだよ」

 口止めされるような内容なのか……?


「そこをなんとか、お願いします」

 クロアは手のひらを合わせ、拝みながら言った。


「じゃあ、少し腕比べでもしてみない?」


「腕比べ?」


「勝負して勝ったら教えてあげる」


「わかりました。蛇の国のギャンブルですね?」


「そうそう、ってギャンブルとはちょっと違うよ。

……ってそういえば君は確か蛇国の辺境の出身だったね」


「……そうですね」


「うんうん、今じゃずいぶん垢抜けちゃってるけどね」


 リンはクロアの縁起が良くなった格好を、じろじろ見ながら言った。


「ほっといてください、じゃあ何をするんですか」


「それはね、あっちで説明しよう」


 そういうと二人は、職業協会の片隅のカラフルなソファに腰を掛けた。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



「じゃあ、早速始めようか」


 そういうとリンは慣れた手つきで、カバンからカードを取り出し、

 カラフルなテーブルにカードを広げ混ぜていく。

 まるでマジシャンのような、流れるような速さだった。


 クロアは少し見とれていた。


「どうしたの?」


「いや」


 なるほど正式な占い師は、マジシャン顔負けのカードテクニックを持っているのか。

 これは本ではわからなかったことだな……。


「ルールは簡単。カードの絵柄を言い当てるだけ。言わば占いの基礎だね」


「マジックじゃないんですよね?」


「手品じゃないよ、カードの中身を占うんだよ。イカサマしたらすぐにばれるよ?」

 そう言いながら、リンはもう一押しとカードをシャッフルした。


「こりゃあ、青の人が断然有利ですね」


「そんなことはないよ。

青はその力でカードを見通せる。赤はその力でカードが出る運命に変えればいい。

黄はその力で運気を高めて出せばいい。どの色もみんな平等に能力を使えるんだよ」


「そういうもんなんですか……?」


「そういうもの。ところで君の素質は何色なんだい?蛇の国だから黄色かな?」


「そうですね……。黄色ですよ」

 まあ、今はそういうことにしておこうか。


「やっぱりね。じゃあ先行はクロアからどうぞ、絵柄を宣言!そして開く!」


「はい、では……」


 さて、どの能力を使おうかな?

 まず気を静めて、どの能力を発動するか選ばないと……。


 うーん、今回は黄色の能力を使ってみるか。

 ……これでいいかはわからないけど。

 使う能力を頭の中で念じながら能力を発動する。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 黄☆カミングパワー

 運を引き寄せる能力。勝負事で使え、力があるほど強く運を引き寄せる。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 えーっと答えを適当に言い放って……っと。


「絵柄は星!」


 クロアがそう言ってカードを開くと、見事星のマークが現れた。


「おっ、あたりじゃん。じゃあ次は私だね。えーっと……」


 おっと、この能力を使わなければ。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 青☆凝視

 対象者一人が発動している能力を見破る。力があるほど正確にわかる。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 リンさんの能力が頭に浮かんでくる……。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 青☆体感視

 物などの感覚を、見ることで自分が感じ取れる。力があるほど正確にわかる。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「これは……ごつごつした岩のマークだ!」


 リンがカードを捲ると、岩のマークが現れた。


「あたりですね……じゃあ次は……」


 こんなやり取りが数十分間続いた……。



「負けたかー。一体どんな魔法を使ったんだい?」


「さあ、なんでしょうね?」


 能力の試し打ちは上々だな。


「あー、なんか上から目線……。

私、中級占い師なのに……最近勉強を始めたばかりの人に負けるなんて……」


 ……リンさんは中級占い師か。

 おそらく上級の青占い師であれば、俺のあの手は見透かされていただろう。


「あー……運が良かった。……のかなあ?」


「貴様、蛇の国の能力を使ったな?」

 ちょっと渋い声を出すリン。


「ちょっとリンさん……いきなり俺を貴様呼ばわりは無いでしょ」


「ごめんごめん。ちょっと言ってみたかったもんで、つい……」


 でもそういうノリ、嫌いじゃないよ。



「あのー、そろそろ教えてもらえますか?」


「仕方ないな……約束は約束だから教えてあげよう」


「白の占い師はね、三つ素質を持つものがなれるの。

つまりバランス良く三つの素質を持っているってことだよ」


 なるほど……。ということはビアさんはかなりやっかいだな……。


「そしてクロアが聞きたがっていた白の能力は、三つの属性の能力を持っている人しか得れない。

かなり貴重な能力なんだ」


 薄々予想はしていたが……やはりそういうことか。

 つまり俺はもちろん白の能力も使えるということか。


「そうだったんですね。通りで俺には使えないわけだ」


「そうだねー。でもいずれは使えるようになるかもね」


「……だといいですよね」


「あーあ、きっとこのままじゃクロアは私を超えていくんだろうなー。

成長速度が違いすぎるよー」


 もう超えてますがね。


「もしそうなったらどうします?」


「そうだなー、コネを使ってお客を紹介してもらったり……。

優秀な先生を紹介してもらったり……。

高級なレストランでおごってもらったり……。」


「してもらうことばかりですね」


「だって、それ以外思いつかないんだもん」

 リンさん、それは正直すぎる。



「じゃあ俺はそろそろ……」


「次会うときは敵か味方か?」

 リンはよくわからないポーズをして言った。


「何を言ってるんですか」


「いやなんとなくね、だって正式な占い師になってたらライバルだし……」


「ああ、そういうことですね」


「どちらにしても、もう私を優に越してるんだろうな」


 リンはがっかりした表情で言った。


「しっかりしてくださいよ、リンさんだってまだ伸びしろ全然あると思いますよ?」


「本当に?」


「はい、今回はたまたま運が悪かっただけです」


 リンはそれを聞くと、そのいらだちを隠せない表情で話し出した。


「その運が悪いとかいうのやめてくれる?

君は知らないかもだけど、運の良し悪しは占い師にとっては実力のうち。

運が良いイコール実力があるということなんだよ?」


 なるほど。元の世界じゃよく使っていたが、ここでは禁句なのか。


「すいません。勉強不足で」


「わかればいいんだけど。

だからあんまりそういうことは言わないほうがいいよ」


「はい……」


「もしかしたら……。いやきっと、これからも実力は上がると思う。

その時に、そんなこと言われたら相手はすごく傷つくよ」


「ではなんて言えば?」


「そうだなあ……。ま、それは自分で考えて」


「それはなかなか難しいですね。貴重な助言ありがとうございました」


「でね、それでさあ……」


 その後、クロアはリンとたわいもない雑談をして別れた。



 これでまた一歩前進かな。白の属性の謎も解けてきたし。

 能力の実践もだんだんと出来てきた。


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