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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第十章 再異世界編
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新たな大神官

 中央の塔の入口を前にした二人は、少しの間立ち止まった。


 豪華な装飾はあれど、あの時とは少し雰囲気が変わったか?


 ここはあまりいい記憶がないな。大神官か……。

 俺はあの時実質的に操られていたということになるわけだけど、今思うと他にも選択肢はあったのかな。


「クロア様、心の準備はいいですか?行きましょう」


 クロアとセレネは五つの塔の本館へと足を進めた。



 内部に入ると、セレネは受付のもとへ向かった。


「大神官様に面会をお願いします。クロア様をお連れしました」


 そしてすぐに虹色に輝く扉は開かれた。



「……」

 えっとこの人誰だったっけ?


 輝く白い衣服……。だけど、前よりも……何かデザインが変わっているな。

 新しい大神官用のものだろうか?


 クロアが黙り込んでいると、大神官が先に口を開いた。


「……初めまして、ですかね?」


「ですかね?」

 ……ああ、やっと思い出した。序列1位の白の神官だ。

 前に会ったことあるような気もするけど、よく覚えてないな。


 そして二人は軽く礼を交わした。


「今は適当な方がいないので、私が一時的に大神官として連合の代表者を勤めています」


「そうですか。てっきり組織のボスがやっているかと思ってました。それか二人体制とか」


「あの人はそういうタイプではないでしょう。

もともと協会に敵対していた人ですし、自分から降りられましたよ」


「そうですか……」

 じゃあ、あの人は今何をやってんだろうな。

 ……まあ俺にはどうでもいいことだけど。


「あの事件から、元大神官がいなくなってから、連合を立ち上げて色々あったのですが……。

時も経ち最近はようやく落ち着いてきました。

そろそろ本当の代表者が必要というところまで来ています。

……新たな大神官は国ごとに四人任命しようと思っています。どう思いますか?」


「……いいんじゃないですか?一人体制ではまたあの悲劇を繰り返しそうですし」


「本当にそう思いますか……?

私は全ての神官にその権利があると思っています。あなたも例外ではないんですよ?」


「いや、俺は用事が終わったら帰るんで、嫌です」


「そうですか。……どうやら何か他に言いたいことがありそうですね?」


「え?わかります?」

 表情が隠せていなかったか?それとも何かの能力か?


「……わかりました、意見は聞きましょう。何でも言ってください。

みんな被害者なのですから」


「そうですか?じゃあ普通に、何故俺を呼んだんですか?

普通に迷惑なんですけど。

残党組織なんて神官が束になれば、どうにでもできるんじゃないんですか?」


「……実をいうと、本当に呼べるとは思ってませんでした。

そういう運命になっていたはずなんです。

……黒☆ブラックホールの使用には副作用があります。

下手すると使用者自身が死亡するぐらいのリスクが。

ですがそれらを押しのけて、エルクはクロアを呼び寄せました」


「いや、あの人ああ見えて相当なやり手ですよ?」

 いろいろな意味で。


「それは知っています。だから地下牢に閉じ込めているのです」


 逃げられないといいけどな……。

 ……いや下手したら、もう普通にどっか行ってそうだ。


「……でも結局呼んだんですから?俺にそれ相応の対価はあるんですよね?」


「そうですね、できる限りのことは……。

それと、まだ神官達は完全に回復しきっていないので、残党組織を何とかするのは難しいんですよ」



「では、これを着ていってください」


「これは?」

 いかにもその辺の人が着ていそうなローブだな。


「この服があれば身を隠せるでしょう?」


「そうですね?」


「普通の人たちはあなたの顔も名前も知りませんから、何も問題はないですけど」


「けど?」


「名前を下手に名乗らないでくださいね。

そして素性を知られないことです。厄介なことになりますから。

あなたはもうこの世界にはいないことになっている」


「残党組織に?」


「そうです。その組織ではクロアさんは大神官に歯向かった絶対悪になっていますからね」


「そんな笑顔で言われても」


「事情を知らない者たちには仕方ないのです。

元大神官のしてきたことを全国民に公表するわけにいかない」


「それは何となくわかりますけど……」


「命を狙われているかもしれませんのでご注意を」


「怖いな……」


「必要な情報は回します」


「前の、組織の情報網は生きているんですね?」


「そういうことです。危ない時には情報を入れますから、多分大丈夫です。

それに必要に応じて援助もしますから」


 多分って……。


「本当にお願いしますよ?」

 いやほんとにね?俺は命がけになるってことだろ?



「ところで」


「はい、まだ何か?」


「隣でずっとにっこりしている……そこのセなんとかさんは?」


「私の頼れる護衛の方ですよ」


 なるほど……そういうことか。


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