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世界は占いに支配されている  作者: 米 春幸
第八章 明国編
100/110

本気の勝負

「本気で勝ちにいっていいんだよね?」


「そうしてもらわなくちゃ、待ってた甲斐が無いからね」


 どうやら白井さんは相当な自信があるようだな。


「……ところでルールは?」


「基本は前と同じでいいでしょ?忘れてるならもう一度説明するけど」


「それは助かる。能力の使用についてはどうする?」


「じゃあさ……今思いついたんだけど回数制限はどう?」


「具体的には?」


「一つの能力をこの試合中一回しか使用してはいけない。……どう?」


「それはなかなか良い案かもな。

……ということはガードの能力を使うのも一回までって事か?」


「そうなるね。でも今回は能力の使用を見張る人がいないから、困ったね?」


「でも俺、白井さんが不正とかする人じゃないって知ってるし」


「そう?」


「もちろん、言ったからには俺もしないからさ。あ、今から事前に能力を使うとかも無しね」


「わかった」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 ・ルール

 数字は1から13まで。引いた数がそのまま得点となる。

 だが指定された条件がある。縁起の良い数字3、5、8なら得点は二倍として、

 縁起の悪い数字4、9、13ならその数字分減点だ。そしてスペードのマークは死。

 得点はゼロ点。ジョーカーも同様に0だ。それぞれカードを三枚引き、その得点で勝敗を決める。

 それを5回行い、勝ちが多いほうが勝者。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



「では早速始めようか。カードのシャッフルは交互にするんだったよな。俺からでいい?」


「いいよ」


 クロアはトランプの山札になるカードをシャッフルしていく。


 ……いつの間にか、カードの扱いにも手慣れたよな。

 これぐらいは余裕でできるようになった。


 ……俺の現在の所持能力は9つ。白井さんには一体いくつあるんだろうか。

 しかし能力が一回しか使えないこの条件なら、俺にも勝ち目があるはずだ。

 今までの能力の知識と経験を活かして、ここは勝とう。


「……なんだかとてもすっきりした顔をしてるね?」


「そう見える?」


「以前と比べたら全然ね」


 俺の内に秘めていた怒りは、あの時にほとんど消えただろうからな……。


「……でもそれ、この勝負とは関係ない話だよな。

カードのシャッフルは終わったから……山札から一枚ずつ引くんだよね?」


「そうだよ」


★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 青☆凝視

 対象者一人が発動している能力を見破る。力があるほど正確にわかる。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 青☆凝視

 対象者一人が発動している能力を見破る。力があるほど正確にわかる。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「なるほど、考えてることは同じか」


「ふふっ」


「じゃあ引きます」


 クロアはカードを山札から一枚ずつ丁寧に引いて、机に置いていった。


「……6、11、7か。スペードは無い」


 よし、中々良い数字が出たか?


「じゃあ次は私が……」


 白井はカードを山札から三枚一気に引いて、机に置いた。


「8、1、12で、スペードは1の一つか」


 ……このあたりで発動しておくか。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 緑☆直感視

 対象者一人を見ることですぐ先の行動を予測する。力があるほど正確にわかる。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 ……よし、これで次に白井さんがやってくることが分かったな。


「えっとこれは……24対28で白井さんの勝ちか……。

でもまだまだ勝負は始まったばかりだし。

次はそちらが山札をシャッフルするんだよね?」


「ねえ、その前にちょっと手を見せてくれない?別に疑っているわけじゃないんだけどさ」


「……嫌ですよ、手を見て俺に能力を使う気なんでしょ?」


「いいじゃん、ちょっとぐらい」


「今だけは拒否します」


 ……青の能力、手相視か。

 能力でどんなことがわかるのかは知らないけど、用心に越したことはないよな。



 白井はカードを受け取り、華麗にシャッフルしていく。


「なかなかうまいね」


「そうでしょ?こういうのは自信あるからね」


「……じゃあ、次はそちらが先にカードを引く番ですね」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 黄☆キャッチ

 物を探しだす能力。力があるほど強く探し出せる。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「では、どれを引こうかな……?」


 そうはさせませんよ?


 すかさずクロアは能力を使った。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 赤☆刹那

 対象者一人の運命の一つを一瞬のうちに変える。

 複数の人間の運命が絡み合う場合は無効になる。

 力があるほど正確に願った通りに変わる。エルク・ウィンにしか使えない。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★


「えーっとカードの数字は4、2、7で7はスペードか……。これは、能力を使ったんだね?」


「……それは言いませんけど」


「なんで?別に言ってもよくない?」


「まあ確かに、今はあの世界にいるわけでもないし……。

って勝負の最中じゃないですか」


「さすがに騙されなかったか」


「……こういうのもありなんですか?」


「こうやって会話で駆け引きするのもさ、面白くない?」


「いや、純粋に持っている運と能力の勝負なのかと思ったので。

そういうことならば俺も考えないとな」


「まあ別にやりたいようにやればいいと思うけどね」


「……じゃあ引きますね。

12、12、8……スペードはひとつもない。これは今までの最高得点が出ましたね」


「やっぱり能力を使ってるんじゃん?」


「さあ……?たまたま運が良かっただけかもしれませんよ?」


「この結果でそれ言っても、全然説得力無いよ?」


「……えっとこれはあからさまな結果で白井さんはマイナス2で俺が40なんで勝ちですね……」


「マイナスって……そんなのありなの?」


「ルール上の計算では、そうなり得ますね」



「三回目だね、クロアの番だよ」


 もう俺のことはクロアって呼ぶのね?


「じゃあカードをシャッフルして……。さっさと引いてしまおうっと」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 オレンジ☆シャッフル

 対象者一人の運命をシャッフルする。

 力があるほど正確に願った通りに変わる。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「えっと、数字は9、3、10で3はスペードだったか……」


 なんか思っていたのと違うな。能力を使われたか?


「……何だか浮かない顔をしているね?じゃあ私も引くよ?」


「どうぞご自由に」

 この様子じゃ、能力を使っているのは間違いないな。


「……8、8、2だね。スペード無し」


「えっとこれは……1対34で白井さんの圧倒的な勝ちですね」


「いよいよ私が勝ちにリーチだね」


「そうですね……」

 俺もそろそろ本格的に能力を使わなければ、まずいな。


「どう?少しは焦ってきた?」


「そりゃあもちろん、俺だって情報は得たいですしね」


「そっか。ならもっと頑張らないとだね」



「……四回目ですね」


 シロンは山札を華麗にシャッフルしていく。


「そういえば、叫び声は言わなくなったんですね」


「そりゃあ、あれでは人に迷惑をかけるからね」


「確かに」

 あれは結構迷惑な奇声だったよな……。


「あの後、大変だったけど何とか癖を直したんだよ」


「……そうだったんだ。どうやって直したんですか?」


「そりゃあいろいろとね……って今はそんなことどうでもいいじゃん」


「確かにそうですね。次はそちらが先にカードを引く番ですよ」


 少しでも時間稼ぎをしようと思ったが、考える時間はくれないか。


「そうだね。さて、どれを引こうかな……?」


 さすがにあの能力を使うのはまずいよな?

 まだ調整ができないわけだし……。

 しかし白井さん相手に白☆チェンジを使うのも、何だか気が引けるな……。


「どうやら、さっきから何か考えている様子だね?」


「いや、次はどの手でいこうかなあ、と……」


「……ねえ、この四回目だけはお互い何も能力を使わないことにしない?」


「それは……」

 ここでそういう事を言ってくるのか。


「一回ぐらい、純粋に勝負をしてみたくてさ」


「まあそう言ってくれるなら、こちらとしては助かりますけど?」


「じゃあそれでいいね?私、何も考えずに普通に引くね?」


「わかりました」


 白井はカードを山札からゆっくり引き、机に置いていった。


「……5、8、4か。あ、マークが全部ハートだ」


「これは本当の運が試されますね?」


「そうだね、本来持っている運の強さがね」


 ここは何としてでも同点にしておかなければ……。


 クロアは心を込めてカードを一枚ずつ引き、机に置いていった。


「……5、7、3でスペードは無しか」


「……ということは私の勝ち?

あれ、これで終わり?なんだかあっけないな」


「ちょっと待ってください、これはどっちだ?」


「え?私の数字のほうが合計数は上だけど?」


「えっと、計算が厄介ですけどルールに則って計算すると……。

22対……23でギリギリ俺の勝ちですね」


「数値上は勝っているのに、負けることもあるのか。何だか現実と同じだね」


「そう……ですね」

 何だか急に深い事言ってきたな。

 ……もしかしなくても占い力の事だろうか?


「しかしここにきて巻き返してくるとは……もってるね」




「……いよいよこれで最後ですね」


「これで勝ったほうが真の勝者。

互いにようやく最高の能力をぶつけ合えるってことだね?」


「いや、たかがトランプの一勝負ですよ?そこまでやりますか?」


「この勝負のために私は待っていたんだからね?たかがとか言わないでね?」


「そうですか、白井さんにそこまでの思い入れがあるとは思いませんでしたよ。

……ではカードをシャッフルしますね」


 クロアはカードを受け取り、念入りにシャッフルしていく。


「ここは重要な場面だから用心しなければなあ……。

能力を使われたら怖いから、今から目を瞑って引こうかなあ?」


 ここは少し探っておこうか。


「別にそんなことしなくていいよ?

せっかく盛り上がってきての最後なのに、能力の妨害なんてしないし」


「本当に?」


「うん」


 白井さんがそういうのであれば……。

 相手の妨害など考えずに、今出来る限りの事をしてみるとするか。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 グレー☆予感

 これから起こることを今までの経験に結び付けて察知できる。

 力が大きいほど正確にわかる。クロアのオリジナル能力。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 これである程度の事を事前に知っておいて。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 黄☆カミングパワー

 運を引き寄せる能力。勝負事で使え、力があるほど強く運を引き寄せる。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 これだな。


 クロアは二つの能力を組み合わせて同時に発動した。


「……今この場面で、最高な能力の組み合わせを見つけましたよ」


「そうなんだ。能力はうまく組み合わせて使うと相乗効果があるしね。

じゃあ、引いてみてよ」


「引いたカードは…………10、11、12。

マークはスペード以外が見事にばらけています」


「確かに言うだけのことはあったね」


「でしょ?じゃあ、次はそちらが先にカードを引く番ですよ」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 グレー☆運命掌握

 ???

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「じゃあどれを引こうかな……?」


 もう俺に今使える能力は……ないよな。

 やれることはやったはずだし、あとは運を天に任せるとしよう。


「はぁ……残念だけれど、これで試合終了だね。私は私の能力が恐ろしいよ」


 白井は迷うことなく、山札からカードを三枚取った。


「え?」


 クロアは机に置かれた三枚のカードをまじまじと見つめた。


「クラブの8、ダイヤの8、ハートの8……」


「どうやら私の能力は無事に効果を発揮してしまったみたいだね」


「これって取れ得る最高の値では?どんな能力を使ったんですか?

その能力チート過ぎませんか?」


「……まあね。でもこれで私もようやく満足することができたよ」


第二部はこれにて完結です。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


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