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となると

跡部勝資「奥平の家臣はもとより、家康より派遣された徳川の家臣ですら援軍依頼の使者に立つ事を拒絶した。となりますと、長篠城内に居る者皆。家康の事を信用していない事になりますか?」

穴山信君「ここに本来使者になり得ることの無い、誰の直臣でも無い鳥居強右衛門が居る事がその証拠である。」

馬場信春「しかし現時点長篠城内の者共が、家康を見限っている事を意味しているわけでは無い。」

跡部勝資「確かか?」

山県昌景「兵糧庫焼討目的で城に迫った時の様子を見る限り、城内に綻びは見られなかった。」

高坂昌信「今、織田信長と徳川家康が岡崎に居る事がわかっている。そして鳥居が訴えた長篠城からの危急に接した信長が兵を出す事を了承している。つまり援軍は確実にやって来る。」

内藤昌豊「岡崎からここに到着するまでにはどれくらいの日数を要すると見ている?」

山県昌景「聞く所によると信長軍は、1刻で5里進む事が可能と言っている。」


 2時間で20キロ。


山県昌景「しかしそれは織田領内を移動する時の話。通り道の民を活用し、食べ物に馬の餌。酒に明かり。更には疲れた兵を鼓舞する民からの励ましの声。極めつけは現地まで別の者が武器を運ぶため手ぶら移動する事が出来る。これらが全て準備されているから出来る事であって、今回通る徳川領にはその体制は整っていない。そう考えると、信長がここに到着するのは恐らく3日後。」


 岡崎から豊川を経由して長篠までの距離は約70キロ。


跡部勝資「それまでに城を落とす事が出来ないか……。」

山県昌景「力攻めでは難しい。」

跡部勝資「しかし城内の者共は皆。家康を信用していない。信長が来ない事には援軍を出さない事を高天神の経験から知っている。」

馬場信春「それは間違いない。」

跡部勝資「つまり今、長篠城内の者共が結束しているのは家康では無く信長。」

馬場信春「信長の援軍が到着すると言う確実な情報は、長篠城内に齎されてはいない。」

高坂昌信「誰かさんがいたずらしては居ますが……。」

私(武田勝頼)「……うむ。」

跡部勝資「今、長篠城には大量の弾薬が備蓄されています。我らの攻撃を凌ぐに足るだけの量が残されています。しかし兵糧はそうではありません。山県殿の活躍により、焼討に成功しています。水の手を絶つ事は出来ていませんが、城内を不安にさせるに足る戦果であります。ここに彼らが頼みの綱としている人物。織田信長からの援軍が来ない事を告げられた場合、長篠城は内から瓦解します。」

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