↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
70/349

とは言え

菅沼正貞「……とは言え私は罪人の身。所領も無ければ、兵力も無い。あったとしても束ねる事が出来るのは長篠に居た者のみ。頼むべき大樹も無い。家康と信長から支援された奥平を破る事など到底出来ぬ。」

高坂昌信「そのような事はありません。」

菅沼正貞「いえいえ事実を述べたまでであります。罪人の戯言であります。忘れて下さい。」

高坂昌信「菅沼殿のお気持ち。高坂。しかと受け止めました。」

菅沼正貞「と申されますと?」

高坂昌信「殿に相談しました。

『このままいくさになってしまいましたら、多くの者を危険な目に遭わせる恐れがあります。長篠城主でありました菅沼殿とお話をする機会をいただきたい。』

と。」

菅沼正貞「しかし私は幽閉の身。それに山県様は私の事を信用してはおりません。」

高坂昌信「だから良いのであります。」

菅沼正貞「と申されますと?」

高坂昌信「皆が菅沼殿を疑っているのは徳川との通交であります。ここ小諸に菅沼殿が留まって居さえすれば、問題ありません。」

菅沼正貞「しかしそれではいくさに対応する事は出来ないのでは無いのか?」

高坂昌信「その通りであります。しかし今、菅沼殿が発言されても誰も聞いてはもらえない事でありましょう。これは我が家中の問題であります。申し訳御座いません。」

菅沼正貞「確かに。」

高坂昌信「加えて先程、菅沼殿が仰ったように菅沼殿の手勢だけでは長篠城を破る事は出来ません。」

菅沼正貞「口惜しいがな。」

高坂昌信「ここからが本題であります。菅沼殿。」

菅沼正貞「ん!?」

高坂昌信「菅沼殿の持つ全ての事を私。高坂に教えていただきたく、ここに参上した次第であります。手柄は全て菅沼殿のもの。失態は全て高坂が被る所存であります。お願い申し上げます。」

菅沼正貞「私が家康に通じている可能性があったとしてもか?」

高坂昌信「構いません。」

菅沼正貞「高坂様に嘘を伝える可能性があるとしてもか?」

高坂昌信「構いません。」

菅沼正貞「教える事は出来ぬ。ただ……。」

高坂昌信「ただ?」

菅沼正貞「私は今から独り言をします。何か聞きたい事があったら言って下さい。それに対し、ただ私は戯言を述べるだけであります。真偽の程は定かではありません。後はそちらで勝手に解釈して下さい。手柄など要りません。私は牢の中で叫んでいるだけに過ぎません。」

高坂昌信「いえ。そのような事は。」

菅沼正貞「罪人に同情など要りませぬ。必要な事を話して下さい。こちらも勝手に呟きます。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。