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売り物

私(武田勝頼)「佐竹義重の要請に対し、謙信はどう答えている?」

跡部勝資「『売り物があれば幾らでも。』と。」

私(武田勝頼)「常陸に名物はあるのか?」

跡部勝資「絹があります。」

私(武田勝頼)「絹は越後には……。」

高坂昌信「あそこは青苧。麻の原料が特産品でありますので、越後とぶつかる事はありません。ただ……。」

私(武田勝頼)「ただ?」

高坂昌信「絹は信長の特産品でありますので、京で捌く事が出来るかどうか定かではありません。更に常陸から上野、越後までの道のりは途中の下野が北条に脅かされているなど安全ではありません。とは言え、謙信からすれば京に持って行く事の出来る品が増える事には反対していない模様であります。」

私(武田勝頼)「しかし絹だけでは北条と戦うだけの鉄砲、弾薬を手に入れる事は難しいのでは?」

跡部勝資「常陸にはもう1つ特産品があります。それは金です。金があれば、鉄砲の大量保有も可能になるのでは無いかと。」

私(武田勝頼)「さっきから気になっていたけど。」

跡部勝資「何でありましょうか?」

私(武田勝頼)「謙信って、そんな簡単に鉄砲を手に入れる事が出来るの?」

高坂昌信「あそこは自前の船を持っていますし、越後の船は出雲石見にも出入りしています。その先には唐があります。故に堺。信長を介す事無く鉄砲と弾薬を手に入れる事が出来る体制にあります。」

私(武田勝頼)「越後を通せば、うちも鉄砲を手に入れる事が……。」

高坂昌信「可能になるかと。」

私(武田勝頼)「吹っ掛けたりは?」

高坂昌信「我が領内の名産に麻織物があります。その原料となるのが青苧。仕入れ先は越後であります。その越後とは長年いくさが絶える事がありませんでした。しかしその間も供給の制限を加えられたり、入値を上げられた事はありません。」

跡部勝資「尤も鉄砲と弾薬は、越後が脅かされる恐れがある品であります。敵対する勢力に売る事はありません。しかし今は違います。勿論無償ではありませんが、うちが越後から弾薬を手に入れる事は可能であります。

 加えて甲斐、信濃は耕作に不向きな土地でありますので、換金作物を多数取り揃えています。そして何より金があります。」

高坂昌信「本来であればここに駿河や高天神の海。船を用いる事が出来れば更に良いのではありますが、現状。西への道は閉ざされています。」

私(武田勝頼)「徳川織田を打ち破れば?」

高坂昌信「はい。ただ忘れてはならない事があります。それは鉄砲と弾薬を自給する事が出来ない事。誰かの手を介さなければ手に入れる事が出来ない事であります。けっして浪費するようないくさをしてはなりません。」

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