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旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が1つ。それは今私が居るのは天正何年?  作者: 俣彦『短編ぼくのまち』
第一部長篠ー方針ー

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懸念

私(武田勝頼)「1つお願いがあるのだけど……。」

高坂昌信「『長篠に出陣しろ!』でありましょう。上杉との和睦もそのためである事はわかっていますので。」

私(武田勝頼)「其方が(北信濃から)離れても大丈夫か?」

高坂昌信「謙信の事ですか?謙信はこちらが変な事をしない限り約束を守ります。それに……。」

私(武田勝頼)「何か気になる事があるのか?」

高坂昌信「先程の話し合いの中で気になる点がありまして。」

私(武田勝頼)「構わない。教えてくれ。」

高坂昌信「勝ちが続いているためであるとは思われますが、皆が皆。好戦的になり過ぎています。山県については仕方のない所があります。これまで奥三河の国人衆との関わりが強く、その中でも最も重用していた奥平親子に裏切られてしまった。家康に引き抜かれる形で。しかも今、最前線とも言える長篠城を守っているともなれば

『舐められるわけにはいかない。』

となるのは自然な流れであります。

 しかし先程も述べましたが長篠城にそれ程の価値を見出していません。うちからはいつでも攻める事が出来る場所にありますし、それこそ野田城を手に入れれば孤立させる事も可能でありますので。そうなれば、どんな仕掛けを施そうが意味はありません。

……と言う話を本来であれば馬場様や内藤。事務方の長坂様や跡部が制御しなければならないのでありますが。しかしその話が出る事はありませんでした。

 馬場様はわかります。奥三河の衆を最初に束ねたのは馬場様でありますので。山県と同じ思いになる事。理解出来ます。しかし他の連中はそうではありません。冷静に判断する事が出来る立ち位置にいるはずなのでありますが……。まぁ彼らの立場もわかります。山県が結果を残す中、何も出来ていないと感じている内藤の焦り。掛かった費用がわかっているが故に、成果を上げなければならない考えに囚われる長坂様や跡部。

 あまりにも勝ち過ぎてしまっているがため、皆が皆。勝てるものとなっているのが心配でなりません。」

私(武田勝頼)「その中の1人が私です。申し訳ない。」

高坂昌信「内藤を殿の所に連れて行った価値がありました。こちらこそ非礼な行いをした事お詫び申し上げます。」

私(武田勝頼)「で。長篠城の事なのだが。」

高坂昌信「山県に依頼しているのですよね?」

私(武田勝頼)「大岡に探りを入れるよう指示している。」

高坂昌信「それでありましたら殿。」

私(武田勝頼)「どうした?」

高坂昌信「私に考えがあります。」

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