面倒な
跡部勝資「何やら奥で話し合っているのは知っていましたが。」
長坂釣閑斎「まぁ現場の愚痴でも聞かされているのだろうな。ぐらいに思っていたのでありましたが。」
跡部勝資「喜兵衛が『急ぎの用です。』と飛んで来たものだから、慌ててやって来ましたら。」
長坂釣閑斎「『上杉と和睦したいからその段取りを付けてくれ。』でありますか……。」
私(武田勝頼)「信長は強敵故。戦力を1つにせねば対処する事は出来ぬ。頼む。」
長坂釣閑斎「うちらが今、抱えている仕事量わかっていますよね?」
跡部勝資「今年に入ってからと言うもの。美濃と遠江への遠征。それら軍事行動を円滑に進めるためにどれだけの労力を費やしているか御存知ですよね?」
長坂釣閑斎「内藤!」
内藤昌豊「ん!?」
長坂釣閑斎「別に喧嘩を売っているのでは無い。其方も兵站業務をやっていてわかるであろう。無理ないくさが続いている。と言う事を。」
内藤昌豊「昨夜お前何て言ったか忘れていないだろうな?」
長坂釣閑斎「俺らの事情が分かっているのはお前ぐらいしか居ないのだからさ。当たらせてくれよ。」
山県昌景「ただあまりにも的を射過ぎてしまったが故、本気で内藤はお前を亡き者にしようとしていたんだぞ。」
私(武田勝頼)「それで私の所にやって来たんだよ。」
跡部勝資「何と言ったのですか?」
私(武田勝頼)「『無理ないくさをして多くの家臣を失う事になる。』と。」
長坂釣閑斎「無理ないくさをして失態を演じるのは、成果を出していない内藤殿御自身の事ではありませんか?」
内藤昌豊「(言葉にならない何かを発する内藤昌豊。)」
馬場信春「いつも突っ走るだけ突っ走って、後の処理を丸投げしていて申し訳ない。何かあったら私に言ってくれ。」
長坂長閑斎「一番言いやすいのが内藤ですね。馬場殿とは年がほとんど変わらず。高坂山県とは年が離れ過ぎている。殿に至っては親と子ほどの差。」
私(武田勝頼)「内藤との年齢差が丁度いい。と言う事か?」
内藤昌豊「殿。私を怒らせると。わかっていますよね?」
私(武田勝頼)「其方の働きによって、作戦を円滑に進める事が出来ている。いつも感謝しています。」
長坂釣閑斎「ついでに殿にも1つ。」
私(武田勝頼)「どうした?」
長坂釣閑斎「殿が甲斐に入って来た際、高遠からも家臣を引き連れて来ましたよね?」
私(武田勝頼)「それがどうした?」
長坂釣閑斎「甲斐の者。高遠から来た者との調整に一苦労している事をご存知でありますか?」
跡部勝資「『この仕事はあの人の方が出来るから。』
で簡単に業務を変更させるわけにはいきませんし、各々誇りに思っている事があります。今はまだ各自の業務内容を定めている最中。そこに来てのいくさに次ぐいくさ。そして今回の上杉との和睦。これを聞いた事務方はどのような声を発する事になるか?殿自ら体験してみますか?」




