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異変

武藤喜兵衛「当初。どのような策を考えていたのでありますか?」

高坂昌信「策を立案したのは私であります。責任は私にあります。説明は私がします。」

武藤喜兵衛「お願いします。」

高坂昌信「岡崎から侵入する徳川信康と戦うにあたり、長沢から赤坂に掛け5段構えの陣を設定。そこを信綱が戦っては退き、戦っては退きを繰り返していきます。」

武藤喜兵衛「はい。」

高坂昌信「最後の5段目と信康が接触した所で、既に安全な場所に退避していた4段目の兵が信康を狙い。5段目の陣の背後から真田信綱も加勢する手筈となっていました。」

武藤喜兵衛「実際は?」

真田信綱「予定通り実行されました。」

武藤喜兵衛「信康の様子は?」

真田信綱「それまでの4段がうまく行き、信康が側面からの敵を想定していなかったのは確かであります。」

武藤喜兵衛「高坂様の隊の動きは?」

真田信綱「予定通り信康を追い込むのでは無く、岡崎に向け追い出すよう私の居る陣側から敵を搾る動きを見せていました。」

高坂昌信「信康が岡崎方面に退却するのに合わせて、3段目。2段目。1段目と加勢する予定となっていました。」

武藤喜兵衛「しかし信康は想定とは異なる動きを見せた?」

真田信綱「はい。私目掛け突撃を敢行して来ました。」

武藤喜兵衛「その時、高坂様の5段目の部隊は?」

真田信綱「次の鉄砲の弾を準備している最中であります。その時間を作り出すのが私の仕事であります。」

武藤喜兵衛「しかし彼らを守り切るのが難しい状況に陥った?」

真田信綱「申し訳ない。」

武藤喜兵衛「それだけ信康の攻撃が強烈であった?」

高坂昌信「5段目の守備隊を1から4と同じにした私の設定間違いが原因です。」

武藤喜兵衛「ただ信康が岡崎に退却した所を見ると、信康の突撃を食い止める事が出来たのでありますね。」

真田信綱「その通り。」

武藤喜兵衛「ならば問題ありませんし、兄上の功績であります。」

真田信綱「いや、そうでは無い。」

武藤喜兵衛「と言われますと?」

真田信綱「信康を食い止めたのは私では無い。信康を食い止めたのは、私の異変に気付いた高坂様の部隊が持ち場を離れ。駆け付けていただけたからであります。」

武藤喜兵衛「その采配を振るったのは?」

真田信綱「私では無い。高坂様の各隊が独自で判断しての事であります。皆様の助けにより、私は窮地を脱する事が出来た次第であります。それだけではありません。信康が岡崎に退く途中に長沢城があります。信康の攻撃への備えもしていただきました。私がそれを知ったのは、全てのいくさが終わった後の事であります。私の功績ではありません。」

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