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十面埋伏の陣

 最後尾に陣取る鉄砲隊の号砲と同時に、先に役目を終え。安全な場所に退避していた第1段から第4段までの高坂昌信が派遣した計8隊が突如躍り出。斜め後方から徳川信康目掛け攻撃を仕掛けたのでありました。


武藤喜兵衛「十面埋伏の計でありますか?」


 十面埋伏の計は、10の部隊を左右に潜ませ。先鋒隊が囮となって退き、潜んでいる場所に敵が近付いた所を左右から襲い掛かる曹操や竹中半兵衛が実践した計略の事。


高坂昌信「少し味を付けてはいるが、概ね間違っていない。」

山県昌景「そうだな。用兵に長けたお前の隊が逃げただけでは、

『何処かに誘い込まれているのでは無いか?』

と信康に気付かれてしまう恐れがある。」

武藤喜兵衛「兄の性格を考えますと、退くような真似は屈辱以外の何物でもありません。」

山県昌景「それで

『高坂の部隊が言っているのだから。』

の体で後方に下がる手筈を採った。と……。」

高坂昌信「(貶されているようにしか思う事が出来ない。)」

私(武田勝頼)「心配しなくても良いですよ。皆、高坂を認めていますので。」

山県昌景「『下がる事を善しとしない真田信綱が退く事は敵が苦しんでいるから。』

を利用した戦術。見事であります。」

武藤喜兵衛「しかもここまで信康は坂を駆け下って来ました。と言う事は信康が退く道のりは全て上り坂。」


 真田信綱が策を実践し、徳川信康と激突した今の愛知県豊川市赤坂から徳川にとっての安全地帯となる今の愛知県岡崎市までの距離は6キロでその間。標高差70mを延々上る事になります。


武藤喜兵衛「しかも徳川は前後左右囲まれた状態。」

山県昌景「弾薬の方は?」

高坂昌信「抜かりはない。」

私(武田勝頼)「信康が退く動きを見せたらどうする?」

高坂昌信「逃げているとは言え、基本。高所は信康にあります。加えて赤坂からは萩城への分岐点。長沢は文字通り長沢城がありますので、敵を確実に本宿へ追いやるように。あくまで防衛戦でありますので、敵の首を狙う組打ちなどは、思わぬ反撃を受ける危険性がありますので厳禁としています。」

私(武田勝頼)「それで良いのか?」

高坂昌信「徳川方の国人衆に、信康よりもうちの方が強い事を知らしめれば良いのでありますので。」

山県昌景「(謙信との戦いで)痛い目に遭った経験があるのか?」

高坂昌信「どんなに禁止しても……でありました。尤もその事が教訓となっています。今うちに居る者で役目を忘れる者は居ません。」


 しばらくして徳川信康が岡崎方面に退くとの報が入る。しかしその内容は……。

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