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懲罰では無い

戻って。


鳥居強右衛門「そう遠くない時期。越後が乱れる可能性が?」

高坂昌信「あくまで想定の1つに過ぎませんが、後継者となり得る資格を持つ者が2人居ます故。」

鳥居強右衛門「その時、越後との境に居る殿の力が必要となる。と言う事でありますか?」

高坂昌信「そうなってくれる事が私の願いであります。ですので其方の主君。奥平貞昌の処遇は敗軍の将に対する懲罰では無い事を理解願いたい。」

鳥居強右衛門「いえ。本来であれば皆殺しとなって普通の立場にある私を含め、敵方となった者への配慮。感謝申し上げます。」

高坂昌信「それで如何なされますか?」

鳥居強右衛門「私に選択肢があるのでありますか?」

高坂昌信「それを聞くためにここに来たのでありますから。故郷(市田)に戻りたいのでありましたら、そのように手配致します。ただあそこは徳川の勢力圏であり、我らが狙っている地でもあります。最大限の配慮はします。しかしいくさは何が起こるかわかりませんし、徳川から疑われる危険性もあります。ですので我々としましては今。鳥居殿の帰還をお勧めする事は出来ません。」

鳥居強右衛門「はい。」

高坂昌信「選択肢の2つ目として武田の誰かの家臣になる手もあります。武田勝頼含む武田家中全員が今。其方を求めています。今後、厚遇で以ての勧誘合戦が繰り広げられる事になります。加えて賓客として処遇される事になりますので、いくさに出る事もありません。あっても安全な場所で眺めるだけで良い立場での採用となります。」

鳥居強右衛門「ほう。」

高坂昌信「しかし変化に乏しい生活は、退屈以外の何者でもありません。最初は楽しいかも知れませんが。加えて其方の名声を利用しようとする輩が、甘言を弄しながら其方の周りに群がって来る事になってしまいます。武田家中には其方の話を聞いてくれる者がたくさん居ます。時間もあります。そこで良からぬ事に手を染めて、人生を台無しにしてしまった者を私は幾人も見ています。」

鳥居強右衛門「……そうでありますか……。」

高坂昌信「誘導するわけではありませんが。」

鳥居強右衛門「殿の下へ。でありますか?」

高坂昌信「奥平が入る川中島はいくさが終わったばかりの荒れた土地でしかありません。しかしそこには仕事があります。農業土木開発に千曲川の水運を使っての越後との交易事業。加えて3年は生活に困らぬよう武田から支援があります。

 3年後の心配をされるかも知れませんが、我が領内から京へ送られるほぼ全ての物が川中島。奥平の管轄地を通過する事になります。土地も豊かになる可能性が十分にあります。当地から産み出される富は無尽蔵。

 勿論、そこに辿り着くまでの道のりは簡単なものではありません。ありませんが武田はけっして奥平を見捨てる事はありません。鳥居殿。」

鳥居強右衛門「高坂様の思い。十分伝わりました。私は奥平の下に戻ります。」

高坂昌信「ありがとうございます。早速殿(武田勝頼)にその旨を伝えます。」

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