表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

106/349

合流

 少し進めて。


真田昌輝「来ましたね。」


 松山観音堂から兵を進める武田勝頼別動隊の所にやって来たのは……。


内藤昌豊「難渋を極めたよ。ったく……。」


 内藤昌豊率いる小荷駄隊。


山県昌景「何処が難渋だよ。どうせこれに跨って来たんだろ?」

内藤昌豊「何言ってんだよ!お前らがこれから使うんだろうが!引っ張って来たに決まってるだろ!!こんな厄介な荷物初めてだよ……。」


 内藤昌豊が運んで来たもの。それは大量の馬。


馬場信春「内藤。お疲れ。」

内藤昌豊「……本当に疲れました。」

馬場信春「高坂が示した道。とてもでは無いが馬を連れて行くわけにはいかなかった故、其方に無理をお願いする事になった。申し訳ない。」

真田信綱「途中敵に遭遇されましたか?」

内藤昌豊「高坂から『注意して下さい。』と言われた場所はあったのだが、出くわす事は無かった。」

真田昌輝「そうなりますとやはり……。」

内藤昌豊「何かあったのか?」

山県昌景「いや。高坂に言われた松山観音堂。あそこに敵が集まっておって。」

内藤昌豊「いくさになったのか?」

馬場信春「ああ。ただそこで装備を整える手筈になっていたらしく、その最中に到着する事が出来たのが幸いした。」

山県昌景「恐らくであるが、そこから鳶ヶ巣を目指す者と内藤が通って来た方面を目指す者とに分ける予定では無かったかと。」

馬場信春「少しでも遅れていたら、観音堂で屍を晒す事になっていたのは我らかも知れぬ。」

山県昌景「奇襲の部隊だけで数千居た。」

内藤昌豊「そうなると連吾川には……。」

山県昌景「正面から戦って勝てる相手では無い。」

馬場信春「故に今からの策が大事になる。」

内藤昌豊「わかりました。殿に伝えます。」

山県昌景「それで内藤。」

内藤昌豊「どうした?」

山県昌景「観音堂にまだ戦利品が残っている。」

内藤昌豊「拾って帰れって事ですか?」

山県昌景「お前。帰りは俺らが来た道を通るのだろ?馬も無いし。丁度良いだろう?」

内藤昌豊「ここは敵地であります。それに板垣様や甘利様が村上義清とのいくさで討ち死にした理由を御存知でしょう。」


 板垣信方と甘利虎泰は武田信玄の元重臣。村上義清とのいくさの最中に首実検を始めた所を反撃され討ち死に。


内藤昌豊「それにそのような物は、いくさで迷惑を掛けた民が手に入れるべきと考えています。我らは略奪のためにいくさをしているのではありません。さもしい真似はお止め下さい。」

山県昌景「勝ちに驕っていた。申し訳ない。」

馬場信春「本来であれば私が言わなければならぬ事であった。私も驕っていた。忠告。肝に銘じる。」

内藤昌豊「出過ぎてしまいました。すみません。ここからが本当のいくさになります。御武運を。」

馬場信春「内藤も気をつけて戻るように。」

内藤昌豊「わかりました。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ