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「おうおうおう!そこの兄ちゃん!綺麗な姉ちゃんを連れてるじゃねぇかよっ!あ?」


面倒な人に絡まれてしまった…


「そこの姉ちゃんもよぉ…そんな弱っチョロそうな兄ちゃんよりも俺っちと一緒にいた方がいいって思うだろう?な?」

「…殺してもいい?」

「…どうですかね?」


ユナさんと一緒に街に着いて、

素材の買い取りもしてもらい…


お金を稼げたので、食事をしようと、

この店に入ったのが、

間違いだったのかもしれない。


お金の使い方を…

教えてあげたかったんですがね…


「…お腹すいたなぁ」

「…そうですね」

「あ?何シカトしてくれちゃってんだよ!ん?」

「おいおい!可哀想だろ?あんまりいじめてやんなって!ははは〜」


周りの人達は彼と知り合いなのだろうか?

楽しそうに酒を飲みながら騒いでいる。


「俺っちが怖くて何も言えねぇのは仕方ねぇけどよ…まぁ、姉ちゃん置いて、出てけや?な?」

「…はぁ、ユナさん。行きましょうか」

「…ここで食べないの?」

「…他にも店はありますよ」

「…そっか。早く美味しいの食べたい…」


ユナさんと店を出ようとしたら、

大きな声で引き止められた。


「おいおいおいっ!ちょっと待てよっ!出て行くなら、姉ちゃんは置いていきなっ!」

「…ユナさん。彼とご飯を食べますか?」

「…んー…不味くなりそうだから…やだ」

「…そうですか。そういうことですので…失礼しますね」

「ちょっ!ちょいと待ちやがれっ!テメーら!俺っちを舐めてんのかっ!あっ!?」

「…ユナ…舐めてない」

「…そうですね」

「そう言う意味じゃねぇよっ!ふざけやがって!許さねぇ!」


彼は僕の胸ぐらを掴んだ。


「…離してくれませんかね?」

「あ?土下座でもするか?土下座して床でも舐めたら許してやってもいいけどよぉ」


ニヤニヤと笑いながらそう言った。


「おいおい!可哀想じゃねぇかよ!ははは!」

「でもよ!こんな綺麗な姉ちゃんを連れてんのがいけねぇんじゃねぇか?」

「そうだそうだ!弱いくせに調子乗ってんじゃねぇよ!」


周りから野次が飛ばされる。


「土っ下座!土っ下座!土っ下座!」


楽しそうに手を叩きながら、

周りの人達が声を揃えた。


「おら!土下座すんのか?あ?」


僕はため息をついた。


「…テメー…今、ため息つきやがったなっ!?土下座しても許さねぇ!」


僕を殴ろうと大きく腕を振りかぶったので、

胸ぐらを掴んでいる指を捻り、

床へと叩きつけた。


ドスンッ!


彼が倒れた大きな音と共に、

周りの人たちも静かになった。


「っ!」

「お、おい…今の…何が起こったんだ?」

「わ、わかんねぇ…」


僕は掴まれていた胸元を軽く払い、

ユナさんに話しかけた。


「…では、行きましょうか」

「…うん。早く美味しいご飯食べたい…」


何が起こったのか理解できていない彼らを残し、

僕たちは店を後にした。


「…美味しかった」

「…そうですか。よかったですね」


別の店で食事を済ませた。

お金の使い方を何とか理解してくれたが、

また、教えないといけない気がする…


「…お金…返ってきた」

「…そうですね。食事と同じ価値となる分のお金と交換しますので…お金を多く渡した分だけ返ってきたのですよ」

「…んー…?」

「…お金を使って…覚えていきましょうか」

「…わかった」


ユナさんはうん、うんと言いながら、

何度も頷いている。


「み、見つけたぞっ!」


先ほど絡んできた彼が、

息を切らしながらそう言った。


「あ、あんた!つ、強かったんだな!?」

「…どうでしょうかね?」

「た、頼む!俺っちを弟子にしてくれっ!」


彼はそう言って、土下座をした。

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