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「…どこに向かってるの?」


ユナさんは不思議そうに、

首を傾げながら聞いてくる。


「…そうですね。ユナさんがいたような場所がまだあるみたいですので…」

「…そうなんだ」

「…はい。そうですね…僕はあのような施設が好きではありませんので…」

「…どうするの?」

「…そうですね。まずはお話を聞きましょうかね?」

「…その後は?」

「…ご想像におまかせします」

「…んー…?」


ユナさんは考えてはみたようだが、

あまりわかっていないようだ。


「…ここですかね」

「…ホントだ。私のいたところと同じ匂いがする…」

「…そうですか」


僕は歩みを進めていく。


施設から魔物が襲ってきた。

どうやらあの施設を潰したことが、

伝わっていたようだ。


それなら話が早いですね…


僕は心の中でそう思った。


「…氷刃」


ユナさんは襲ってくる魔物を魔法で殺していく。


魔物を殺し、施設の中へと進んでいく。


「お、お前たちか!研究所を潰したやつらは!」


研究者がそう言うと驚いた顔をした。


「っ!お、お前はっ!?No.U007ではないかっ!」

「…その呼び方は好きではありませんね。今は、ユナさんと言う名前があるのです…そう呼んでくれませんか?」


僕は研究者の頭を鷲掴みにしながらそう言った。


「ぐわあぁぁぁあ!」


少し力を込めすぎたのかもしれない…

その場に倒れさせるように突き離した。


「っ!ぐっ!」


近くにあった机にぶつかりながら転んだ。

机の上に置いてあった、

研究資料が地面に落ちる。


僕は研究資料を手に取り、

読みながら、話しかける。


「…貴方の質問にお答えしましょうか。お仲間の施設を潰したのは僕ですよ…少しお話があるのですが…ここではどのような研究をされているのですか?」

「ふ、ふんっ!お前なんぞに教えるかっ!」

「…ここでも同じような研究をされているようですが」

「っ!お、お前っ!それを見てわかるのか!?」

「…わからないと思われましたか?」

「そ、それは…研究者にしか…」

「…研究者にしかわからないとでも?」


彼は驚愕の表情をしている。


「…ですが、ここでは大した結果も出せてはいないようですね」

「当たり前だっ!そんな簡単に結果なんか出せるかっ!我々が結果を出す為に、どれだけの時間と労力を費やしていると思う!あ、アイツが奇跡的に成功しただけでっ!何故、成功したのかもわかっていなかったじゃないかっ!」

「…そのようでしたね」

「そんな簡単に成功するなんて思うなっ!」

「…仰る通りですよ。簡単に成功など…しませんよね?」

「そ、そうだ!だから、我々は研究を続けるのだ!お前にもわかるだろ?な?」

「…わかりませんね」

「な、何だとっ!?」

「…何の為の研究なのですか?魔物の生態を知りたいのですか?違いますよね?…魔物を使って…人を使って…兵器を作ろうとしているだけなのではないですか?それは…本当に必要なのですか?」

「あ、当たり前だっ!そうしなければ、帝国は王国に滅ぼされてしまう!そうならない為に!我々は研究を続けているのだっ!」

「…では、国が主導していると…考えてもよろしいのですね?」

「いや、そういう…わけでは…」

「…国ではないのなら…どこなのですか?そもそも、ただの施設でしかないこの場所が…ただの研究者でしかない貴方たちが…国を憂いて、研究を続けているのですか?人を犠牲にしながら…」

「だが!これが国の為だと、いつかわかってくれる日がくるっ!これは必要なことなんだ!」

「…どう必要なのですか?人を殺す為ですか?そうやっていつまでも人を殺し続ける為には必要なのですよね?」

「ち、違うっ!」

「…何が違うのですか?人を殺す為の…兵器を研究しておきながら…僕の話が通じていないのでしょうか?」

「いつか平和な世界の為に…我々は…」

「…その為に多くの命を犠牲にしているのですね?…ただ自分達が良いようにしたいだけの…言い訳でしかないじゃありませんか…」

「ち、違うん」

「…もう結構です」


僕は彼の頭を殴り潰した。


「…貴方から聞きたいことなど…もう何もありません」


僕は返り血がついていない手で、

研究資料を読んでいく。


「…何て書いてあるの?」

「…そうですね。魔物をいじめた日記ですよ」

「…魔物…可哀想」

「…そうですね。ユナさんはいじめないであげてください…」

「…うん。ユナはいじめない…ちゃんと殺してあげる!」

「…そうですね」


ユナさんはうん、うんと言いながら、

何度も頷いている。


「…終わった?」


研究資料を全て破棄して、

施設も破壊した。


もうこの施設から情報が漏れることはない。


恐らく、この施設が襲われたことは、

伝達されているかもしれないが…


「…終わりましたよ」

「次はどこに行くの?」

「…次も同じですが…まだ遠くになりますので…時間がかかるかもしれませんね」

「…そっか。美味しいご飯…食べれる?」

「…そうですね。街に寄ってみてもいいかもしれませんね…ご飯を食べる為には、何が必要だったのか…覚えていますか?」

「…んー…あっ、お金っ!」

「…正解です」

「やったぁー」

「…それでは魔物の剥ぎ取りを覚えましょうか」

「うん。ユナ…ちゃんと、覚えるね」

「…お願いしますね」


ユナさんは初めての剥ぎ取りも、

氷の魔法を使い、上手に行っていた。


ジンが知ったらどう思うだろうか…

きっと、驚いた顔をするのだろうな…

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