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「…ここですか」
あれからどれだけ調べただろうか?
全く…どこの国でも同じ様なことは、
行われているんだな…
「何だ?お前は?」
「…申し訳ありません。少しお話がありまして…」
「話すことなど何もない!」
「…そうですか」
僕は彼のお腹を殴った。
「…僕には話すことがあるのですよ。通してもらいますね…」
彼はその場に倒れ、何も答えなかった。
「おい!お前!止まれっ!」
施設の中へ入り、歩き進めると、
兵士の様な人間が僕を止めようとしている。
邪魔する人間は殴り殺していく。
「な、何だ!お前は!?」
研究者の様な格好をした男性が、
多くいる場所を見つけた。
「…少しお話がありましてね」
「ど、どうやって入ってきた!だ、誰かっ!こ、こいつを殺せっ!」
後ろから兵士が襲ってくるが、
僕はそれを全て返り討ちにしていく。
「…全く…これでは話も出来ないじゃないですか…」
一人、また一人と殴り殺すと、
もう襲ってくる者もいなくなった。
「…さぁ、これでお話が出来ますかね?」
「お、おおお、お前は…な、何なのだ?」
「…ここでは魔物の研究をされているようですね?間違いありませんか?」
「…お、おい!誰でもいい!アイツを連れてこいっ!」
僕はため息を吐いた。
「…質問しているのですが…聞こえないのですか?」
「お、お前とする話などないっ!」
「…そうですか。ここに来るまでの間に…人の言語を理解する魔物と出会いました。この施設と…何か関係があるのではないですか?」
「っ!な、なんだとっ!」
研究者の男は驚いた顔をしている。
「そんなはずはないっ!人の言語を理解することが出来た魔物は…成功例が…ない…」
「…ですが、研究はされていたのですね?」
「そ、それは何の魔物だった!?」
「…狼のような…魔物でしたよ」
「ま、まさかっ!?あ、アレが?そ、そんなはずは…だが、しかし…」
ブツブツと呟いている。
「…やはり、ここで研究されていたのですね…いや、実験…ですかね?」
「っ!そ、その魔物はどうなった!?」
「…使役魔法で理性を保てなくなりましたので…僕が殺しました」
「な、なんだとっ!?その被験体がいれば!どれだけの研究が進むと思っているんだっ!」
「…そうでしょうね。ですから、殺しました」
理性を保てている内に…
僕が殺したんだ。
「所長!連れて来ました!」
他の研究者が女性を連れてきた。
「そうか!…お前から聞きたいことは聞けた!No.U007!コイツを殺せ!」
「…はい」
僕はその女性を見て、悲しく思った。
ここも一緒なのか…
「…氷刃」
彼女がそう呟くと氷の刃が飛んでくる。
僕はそれを拳で砕く。
何度も何度も飛ばしてくるが、
血を流しながらも砕き続ける。
彼女を見て、何をされていたのか…
わかってしまった。
「こ、こいつ!何者だ!我が研究所の!唯一の最高傑作をっ!」
僕は彼女に走り、近づく。
「…氷壁」
彼女の前に氷の壁ができ、
僕から身を守ろうとしているが…
それも拳で殴り砕いた。
「っ!」
彼女の首を掴み上げる。
「…貴女は…このままでいいのですか?」
「っぐ…」
「…こんなくだらない…施設にいるままで…本当にいいのですか?」
「…っ!」
彼女は僕の腕を掻きむしるように、
必死に抵抗し続けている。
「…貴女とのお話は…後にしましょうか」
僕はそう言って、彼女の首を絞めた。
意識が途絶えたようなので、
その場に寝かせる。
「…さぁ、邪魔者はいなくなりました…お話の続きをしましょうか?」
研究者達は僕を見て絶句していた。