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「この人は誰なんだい?」


トライさんはサニーを見て、そう言った。


「あー、俺の名前はサニーっす。気軽にサニーって呼んでくだせぇ」

「サニー?…聞いたことあるような名前だね…」

「そうっすか?よくある名前なんで聞いたことあるのかも知れないっすね」

「そうかい?」

「そうっすよ。多分」


俺はトライさんにサニーのことを伝えた。


「そうか。一人旅を…それは大変だったね」

「そうっすねぇ…」

「それでこれからはジンくんたちと一緒に旅をするんだね」

「うん!兄ちゃんを探すのを手伝ってくれるんだ!」

「いやぁー、自分探しも坊ちゃんの兄ちゃんを探すのも一緒みたいなもんかなぁと思いやしてね」

「そ、そうなんだね…。それなら私も手伝おうか?」

「トライさんも手伝ってくれるの?」

「私に出来る事なら、お手伝いするよ」

「坊ちゃん!よかったっすね!皇帝の息子さんが手伝ってくれるなら、すぐに見つかるかも知れないっすよ!」

「皇帝の息子?」

「へ?トライさんは皇帝の息子さんすよね?」

「そうなのっ!?」

「坊ちゃん!知らなかったんすか?」

「う、うん。だって…教えてくれなかったから」

「トライさんも人が悪いなぁ…ちゃんと教えなきゃダメじゃないっすかー」

「い、いや、すまない。私の名前でわかっていると思っていたんだが…」

「坊ちゃんは純粋な子供なんすからね!ちゃんと教えてあげなきゃ、わからないっすよー」

「…サニー。どうしてジンが純粋な子供だと思ったのかしら?」

「へ?そんなん見てりゃわかりやすよ」

「…そう」

「ちょっ!姐さん!まだ俺のこと疑ってんすか!?やめてくだせぇよ…」


サニーは悲しそうな顔をしながら話している。


「姉ちゃん!サニーは悪いやつじゃねぇって」

「…そうかしら?」

「坊ちゃん!もっと言ってくだせぇ!」

「…はぁ。まぁ、いいわ」


姉ちゃんはため息を吐いた。


「私は一度、帝都に戻ろうと思っているのだが…ジンくんたちも一緒に行かないかな?」

「え?帝都って?」

「この帝国の一番お偉い皇帝がいる街のことっすよ」

「そうなんだ…でも、俺たちは兄ちゃんを探してるからな…」

「…そうね。帝都に行ったところで彼を見つけられるとは限らないわ」

「そうっすかね?一番大きな街っすからねぇ…何か手がかりでも見つかるんじゃないすか?」

「…彼が帝都にいるとは思えないわ」

「そうっすねぇ…姐さんが行きたくないなら、別にかまわないと思いやすよ?ただ、このまま手がかりも無しに探すのは難しいんじゃないすか?」

「…そう…ね」

「必ずしも手がかりがあるとも言えないっすけど…闇雲に探すよりマシじゃないっすか?」


姉ちゃんは何も答えない。


「とりあえず、帝都を目指しながら探してみてもいいんじゃないすかね?気が変わったんなら、その時にやめてもいいわけですし」

「…そうね」

「なら、決まりっすね!トライさん、帝都までの道案内よろしくっす」

「あ、あぁ、わかったよ」


それから4人で帝都を目指して歩いた。


「いやぁ、坊ちゃん!ホントにお強いっすね」

「そうかな?」

「そうっすよ!惚れ惚れする強さっすねぇ…それに姐さんもすごいっすねぇ!」


姉ちゃんは何も答えない。


「ありゃりゃ…坊ちゃん、まだ姐さんは俺のこと疑ってるんすかね?」

「どうなんだろ?」

「あー、まぁ、こんな訳わかんない奴のこと簡単に信じるのは難しいっすもんねぇ」

「サニーは訳わかんない奴じゃないでしょ?」

「そうすか?いやぁ、そんなこと言ってくれんのは坊ちゃんだけっすよ!これも坊ちゃんの兄ちゃんがちゃ〜んと教えていた賜物かも知れないっすねぇ」

「…それは私の教えは良くないと言いたいのかしら?」

「いやいや!そんな事は言ってないっすよ?姐さんの教えが良いから、坊ちゃんもこんなにお強くなったんすよね?」

「…まだまだ弱いかしら?」

「姐さんに比べたら、ダメっすよ!…坊ちゃんには坊ちゃんのペースがあるんすから。ね?坊ちゃん?」

「…でも、俺は兄ちゃんぐらい強くなりたいから…だから、俺のペースじゃ駄目なんだ」

「それで身体を壊したら意味ないっすからね?」

「…うん。わかってるよ」

「そうすか!それならいいんすけどねぇ」


サニーは鼻歌を歌いながら歩いている。


「彼は…騒がしい人だね」

「…そうね」

「でも、彼のおかげでエルナさんが一緒に帝都を目指しているんだ。感謝はしているよ」

「…私じゃなくて本人に伝えたらどうかしら?」

「はははっ、遠回しにエルナさんと一緒に帝都を目指せて、嬉しいと言ったつもりだったんだけどね」

「…そう。私は彼が見つかるならどこへでも行くわ」

「そうなんだね。少しだけ嫉妬してしまうよ」

「トライさん?ナンパすか?坊ちゃん!トライさんが姐さんをナンパしてやすよ!」

「え?ナンパってなに?」

「それはですねぇ…兎にも角にもふかぁ〜いお話なんすけどね…」

「う、うん…」

「男が…女を…お茶しなぁ〜い?って誘うことっすよ!」


ダダン!と音がしそうな勢いでサニーは答えた。


「お茶しなぁ〜い?」

「あー、坊ちゃんにはまだ早かったすかねぇ」

「サニー。私はナンパなどしていないよ」

「そうっすか?姐さんに言い寄ってる感じがしたんすけど?」

「私は私の気持ちを正直に伝えただけさ」

「そうっすか」

「え?サニー!ナンパって何だよ!?」


サニーは結局、

ナンパの意味を教えてくれなかった。

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