表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/71

50

俺は姉ちゃんと一緒に走った。


「ヤンっ!」


朝はあんなにみんな笑っていたのに…


魔物に食い殺された子供が…たくさん…


「く、クソぉおお!」

「泣き言は後よっ!」


姉ちゃんに言われて、ハッとした。

まだ生きてる人もいるかもしれない!


姉ちゃんと魔物を倒しながら、

建物の中を進んでいく。


だけど…みんな殺されていて…


涙を堪えながらも魔物と戦う。


「ジンっ!」

「っ!」


ヤンの声が聞こえた。


「ヤンっ!生きてたのか!」

「バウバウッ」

「おぉ!カムカムっ!」


カムカムが異変に気付いてくれたのか、

ヤンを守ってくれていたようだ。


「カムカム!よくやったな!」

「バウッ!」


ヤン以外の子供は、みんな殺されていた。


それからは姉ちゃんとカムカムと一緒に、

魔物を倒していく。


「よっしゃ!これで最後っ!」


最後の魔物を倒した。


「…ジン!カムカム!ありがとう!」

「へへっ!俺らは友達だかんな!」

「アンタら!大丈夫だったのかい!?」

「あっ!お姉さん!大丈夫だったんすか?」

「アタシは大丈夫だったよ…何とかね…でも、子供達は…」


悲しそうな顔をしている。


「それより…その魔物はどうしたんだい?」

「えっ!?あ、そ、その…えっと…お、俺の友達なんだ!」

「へぇ〜…アンタの友達なのね。使役してるのかい?」

「しえき?しえきって何?」

「何だい…使役も知らないのかい…」


そう言ったと思ったら…


カキンッ!


響くような音がした。


「…アンタね…油断し過ぎじゃないかしら?」

「っ!」


女性の手にはナイフが握られていた。


「な、何でっ!?」

「ちっ!油断させて殺そうと思ったのにね!」


そう言うと、ホニャララと呟いた。


「ぐ、グルルルルルッ!」

「か、カムカム?どうしたの!カムカムっ!」

「グァアオオオオオオオ!」


カムカムは叫ぶとヤンを突き飛ばした。

カムカムの身体が異常なほど、大きくなる。


「ふふっ!使役してないのは本当だったんだね」

「…魔物使いだったのね」

「そうだよ!」


カムカムが俺と姉ちゃんを襲ってきた。


「ちょっ!ちょっと、待てよっ!カムカム!俺だって!な?わかるだろ?カムカムっ!」

「もう無理よ!わかるでしょ?あのババアに操られてるの!だから、殺すしかないわ!」

「で、でもっ!」

「それとも何っ!?私たちが殺されてあげるのかしら?」

「っ!」


俺は何も言えない。


だが、カムカムを傷つけることも出来ない。


「キャァァァァ!」


ヤンの声だ!


声がした方を見ると、

ナイフが胸に突き刺されていた。


そして、カムカムの前に放り投げられる。


「ほら!食いな!それで、奴らを殺すんだよっ!早くしなっ!」


ヤンはカムカムと俺の間に転がった。


「や、ヤン…ヤンっ!」

「グポッ…じ、ジン?」


ヤンは血を吐きながら呟いた。


「ああ、ああ!俺だよ!ジンだよ!」

「…ジン。あ、…ありが…とう。ご、ご飯…美味しかった…カムカムを…よ、よろ」


話している途中で死んでしまった。


「ヤン?…ヤン!…ヤァァァァァァンっ!」


涙が…涙が、止まらない。


「カムカムなら任せろ?な?お、俺が…俺が!」

「早く食いな!そいつらを始末するんだよ!」

「テメーは黙ってろよっ!」


俺が叫ぶとカムカムも叫んだ。


「グァアオオオオオオオ!」


カムカムは俺とヤンではなく、

魔法を使った女性を襲った。


でも、その姿は…まるで…

泣いているように俺は見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ