表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/71

47

「え、えっ!?」


ジンと魔物の間に入るように少女は立ち、

両手を広げて立ち塞がっている。


まるで魔物を守るかのように…


「あ、危ねぇって!そこどけよ!」

「やめてっ!カムカムを殺さないでっ!」

「か、カムカムっ!?」


ジンは少女の行動に、

頭の中が疑問でいっぱいな顔をしている。


「に、兄ちゃん?ど、どゆこと?」


ジンは訳がわからないようで、

僕に尋ねてきた。


「…ジン。剣を…」

「え?で、でも…」

「…大丈夫です」

「わ、わかった…」


ジンは剣をしまった。


「…カムカムとはその子のことですか?」

「カムカムを…殺さないで…」

「…僕たちを襲わないのであれば…殺しませんよ」


よく見ると魔物はまだ小さい…

そして、僕たちに怯えているようだ。


「カムカムは私のお友達なの…」

「…そうですか」

「兄ちゃん?…と、友達って?」

「…そのままの意味ではないですか?彼女にとって…あの魔物はお友達なのですよ」

「えっ!?で、でもさ!魔物じゃん!」

「…そうですね」


ジンは少女のことをよく理解していないようだ。


「…カムカムの食事の時間だったのではないですか?…驚かせてしまったお詫びに…食事のお手伝いをいたしますよ?」

「…いいの?」


少女はまだ警戒しているようだが、

カムカムに食事を与えたいと思っていたようで…


「…かまいませんよ」

「カムカム…お腹すいてるの」

「…そうですか」


僕たちは少女と一緒に歩き出した。

カムカムは少女の後ろをついて歩く。


「なぁ、兄ちゃん…大丈夫なのかよ?」

「…大丈夫ではありませんか」


僕はカムカムを変わった魔物だと思った。


「兄ちゃん!魔物だぜ!」

「…見つけましたね」


ジンは見つけた魔物と戦っていると、

カムカムが一緒に戦いはじめた。


「うわぁっ!び、ビビるじゃん!」


ジンは驚いた声を上げながらも、

カムカムと一緒に戦う。


ジンの攻撃に合わせて、

タイミングよく攻撃をしていく。


「すげぇ…」


ジンはそう言葉を漏らした。


魔物を倒すとカムカムは、

キラキラした瞳で僕たちを見つめる。


「…貴方の為にお手伝いしたのですよ」


僕がそう言うと、少女を見上げた。


「うん。お食べ」

「ガウッ!」


カムカムは嬉しそうに魔物を食べはじめた。


「食事って魔物を食べることだったんだね」

「そりゃそうでしょ?このオオカミも魔物なんだもの。魔物は魔物を食べるわよ」

「…ありがと」


少女は小さな声で感謝を告げた。


「いや、なんか…ごめんな。魔物だからってさ…お友達をイジメられそうになるのはイヤだもんな…お友達とは思ってなくてさ…えっと…」

「ヤン…私の名前は…ヤン」

「ヤンって言うんだな!俺はジン!カムカムだよな!カムカムもごめんなっ!」

「バウッ!」


ジンが謝るとカムカムは返事を返した。


「カムカム強いんだな!ビックリしたぜ!」

「バウバウッ」

「カムカム…私、そろそろ帰らなきゃ…」

「クゥーン…」

「また明日会いにくるから…ね?」

「バウッ!」

「ヤンはどこに帰るんだよ?」

「私はすぐそこの村に住んでるの…でもね、カムカムを連れて行ったらビックリされちゃうでしょ?だから、カムカムとはお外で遊ぶのよ」

「そうなんだな!兄ちゃん!俺たちはどうする?」

「…そうですね」

「一緒に…村にくる?」

「俺らも行っていいのか?」

「うん。よく村に人がくるから大丈夫だよ」

「それなら、行きたい!いいだろ?兄ちゃん!」

「…でしたら、そうしましょうか」

「わかった」


僕たちはヤンに案内してもらい、

村へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ