表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/71

46

「ありがとう。君たちのおかげで無事に着くことが出来たよ」


マイルさんは笑顔でそう言った。


「…いえ、こちらこそありがとうございます」


結局、ジンは食べるだけ食べて…

街に着くころには、

マイルさんが用意していた食糧を、

食べ切ってしまったのだ。


「ま、マイルさん…本当にごめんっ!」

「は、ははは…うん。いや、いいんだよ」


マイルさんは苦笑しながらも、

そう言ってくれた。


僕は食糧を分けると伝えたのだが、

マイルさんは受け取ってくれなかった。


「次に会うことが出来たら…もう少し多めに用意しておくよ」

「…本来なら護衛の食事を用意する必要などないのですが」

「いや!君の為なら!私は用意すると決めたんだっ!」


何だか、もう意地になっているような…


「それと、私が出来ることなら…君の力になるからね。それは覚えていて欲しい」

「…ありがとうございます」

「うん。それじゃ、本当にありがとう。また会える日を楽しみにしているよ」


マイルさんはそう言って立ち去った。


「ここが帝国なの?」

「帝国って言っても端っこよ。王国と対して変わらないんじゃないかしら?」

「うん…なんか、よくわかんね」

「…まぁ、そういうものかもしれませんね」


街を見て回ったが、

ジンの感想はよくわからないだった。


それからは変わらず、旅を続ける。


パチッパチパチッ…パチッ


「…エルナ。お願いがあります」


ジンが寝静まった後に話しかけた。


「何かしら?」

「…もしも…僕に何かありましたら…ジンをお願い出来ますか?」

「嫌よ」

「…そうですか」

「貴方に何かあるなんて、考えたくもないわ。そんな話しないでくれるかしら?」

「…ですが…この先、何があるかわかりませんからね」

「…はぁ、貴方はもう忘れたかもしれないけれど…私の全ては貴方に捧げているのよ?貴方に何かあるぐらいなら…私は…」

「…僕は死にませんよ」

「そんなことわかっているわ」

「…もしも、僕に何かあって…ジンと離れてしまった場合には…僕が戻るまででかまいません。ジンを頼みますね」

「…戻ってくるまでよ?」

「…はい。それでかまいません」

「…わかったわ」


ため息を吐くように答えてくれた。


「へへっ!俺は騙されないっつーのっ!」


助けた人が盗賊だったようだ。

だが、ジンは騙されなかった。


「っぐは!」

「っち!退くぞ!」


ジンを騙した盗賊を気絶させると、

盗賊の仲間は散り散りに逃げていった。


「よし!起きたら、いい奴になってろよ?」

「なるわけないでしょ?バカなの?」

「なってるかもしれねぇじゃん!」


このやり取りも何度目だろうか?


ジンは騙されそうになっても、

盗賊の命はとらない。


「アンタね…殺しなさいっていつも言ってるでしょ?聞いてないのかしら?」

「でも、兄ちゃんは俺が決めていいって言ってくれてるから!俺は殺さないねっ!」

「そう…なら、もういいわ」


気絶させたまま、そこに放置していく。


「兄ちゃん、帝国ってさぁ…王国よりも盗賊の数が多くね?」

「…そうかもしれませんね」


王国と同じく、人の善意につけこむような、

盗賊もいれば、直接襲ってくる者もいる。


確かに帝国の方が盗賊の数は多いかもしれない。


ただ、僕たちが、

多く遭遇しているだけなのかもしれないが…


「兄ちゃんっ!女の子が襲われてるっ!」


ジンは指差しながらそう言った。

その方向を見ると狼の魔物に襲われている、

少女を見つけた。


「助けなきゃっ!」


ジンはすぐさま剣を抜き、走る。


魔物を斬ろうとした瞬間…


「やめてぇぇええええ!」


少女の叫ぶような悲鳴が聞こえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ